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スマホ料金の引き下げが相次いだ2021年、モバイル業界を振り返る(4ページ目)

2021年は安価な料金プランが続々投入され大きな話題をさらっただけでなく、2万円台の激安なスマートフォンも急増するなど業界全体での料金引き下げが急速に進んだ年だったといえます。2021年の携帯電話業界を改めて振り返ってみましょう。

佐野 正弘

執筆者:佐野 正弘

携帯電話・スマートフォンガイド

5Gはようやく“面”に、楽天モバイルは正念場が続く

料金に関する動きが非常に大きかった2021年ですが、10月には内閣総理大臣が岸田文雄氏へと変わったことから、料金をめぐる動きは今後落ち着きを見せるものと考えられます。岸田政権は「デジタル田園都市国家構想」を掲げ、地方からのデジタル実装を進めて都市との差を縮めることに力を入れていくようですので、今後は5Gのネットワーク整備が関心を呼ぶかもしれません。

その5Gエリア展開に関しては、ある程度面的なカバーも進んで都市部であれば5Gが使えるエリアもだいぶ増えてきた印象です。ですがまだエリア整備が途上だというのも確かで、その影響から5Gのエリア境界付近で、アンテナが立っているのに通信ができなくなる「パケ止まり」という事象が多く発生。SNSなどで不満の声が相次いだことから、携帯各社はその対処に追われることとなりました。
携帯業界2021

5Gの利用が増えると共に話題となった「パケ止まり」。5Gのエリアの端にいると起きやすい現象で、2021年半ば頃から携帯各社はパケ止まり対策に力を入れるようになった

またそのエリアに関して、注目されたのは楽天モバイルです。同社は2021年10月時点で4Gネットワークの人口カバー率94%を突破するなど、急速にエリア拡大を進めてきました。一方でエリア整備を急拡大したことで世界的な半導体不足の影響が直撃。部材の調達が思うようにできなくなり、2021年夏には人口カバー率96%を達成する予定であったのが、2022年春頃まで後ろ倒しすることとなりました。
携帯業界2021

楽天モバイルの4Gエリアは人口カバー率94%を超える所まで達したが、半導体不足が直撃して夏までの人口カバー率96%達成は実現できなかった

ですが楽天モバイルは、10月より39都道府県の一部でKDDIとのローミングを終了させており、自社回線のエリア拡大を受けローミング終了に向け本格的に動き出している様子も見せています。それゆえローミング終了後のエリアに“穴”が多く発生することも懸念されており、楽天モバイルのネットワーク整備にはまだ課題が目立つというのも正直なところです。

このように、2021年も携帯電話業界は非常に大きな動きが相次ぎました。2022年には周波数オークションの議論が本格化し、5Gの実力をフルに発揮できるスタンドアローン運用への移行が進み法人の5G利用が活発化するなど、一般ユーザーには見えづらい部分で大きな動きが相次ぐことが予定されています。そうした業界の裏側で起きている動きが、我々にどのような影響を与えるのかが、2022年には関心を呼ぶこととなりそうです。


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