亀山早苗の恋愛コラム

「夫婦が別居だなんて、みっともない」と思っていたけど…。夫婦が敢えて「別居」を選んだ理由

歌手の田原俊彦さん(60歳)、ミュージシャンのダイヤモンド☆ユカイさん(59歳)が、立て続けに「妻と別居」していると報じられた。夫婦の間にさまざまな問題があったりしたのかもしれないが、離婚ではなくあえて「別居」を選択しているところが興味深い。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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別居する夫婦、変わる「結婚」の形

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歌手の田原俊彦さん(60歳)、ミュージシャンのダイヤモンド☆ユカイさん(59歳)が、立て続けに「妻と別居」していると報じられた。田原さんは子どもがすでに成人、ユカイさんは10歳の双子と、ひとつ年上の長女の3人ともまだ小さいが、それでも妻はあえて別居を選んだようだ。

これまでの結婚生活に不満があったり、夫婦の間にさまざまな問題があったりしたのかもしれないが、離婚ではなくあえて「別居」を選択しているところが興味深い。
 

夫婦にとっての適切な距離

「実はうちも別居しています。経済的には厳しくなったけど、お互いに前よりやさしくなれたような気がします」

そう言うのはヒデコさん(46歳)だ。結婚して18年、昨年秋、夫は徒歩15分ほどのところにワンルームマンションを借り、そこで寝泊まりするようになった。昨年来、コロナ禍で夫婦が顔をつきあわせることが増え、いさかいが激増したのだという。

「もともと夫とは合わないと思うところが多々あったんです。でも共働きだし、以前だったら顔を合わせるのは週末くらい。高校生の娘がなんとなく中和剤にもなっていた。だけどコロナ禍でふたりとも在宅勤務となってから、だんだんお互いの存在自体がうっとうしくなっていったんです(笑)」

今は余裕で笑えるが、当初は夫との間に殺気だった雰囲気すらあったという。狭い2LDKのマンションで、どちらが広いリビングで仕事をするかの争い、リモート会議の時間が重なった場合の苛立ちなどが積み重なっていった。

「このままだと夫婦関係が破綻する可能性があると思い、話し合ったんです。夫はパソコンと資料を抱えてワーキングスペースなどを利用するようになりました。夫がいなくなると私は深く息が吸える。でも夫が帰ってくると、やはり息苦しい。だんだん顔も見たくないと思うようになっていきました」

夫がほとんど家の中のことをしないのも大きかった。それまで夫は平日、家で食事をすることがほとんどなかった。共働きとはいえ、ほぼ定時で帰れるヒデコさんが家事のほとんどを担っていた。だから夫としては妻の負担を減らすために「平日は自分の食事は用意しなくていい」と言っていたようだ。

それが毎日三食、家で食べるようになると妻の負担は増すばかり。ワーキングスペースで仕事をしても、店もやっていないので夕飯は家でとらざるを得ない。出かけること自体に感染リスクも伴う時期だったため、ヒデコさんも「出かけてほしいけど、出かけてほしくない」という複雑な気持ちだった。
 

別居して戻りつつある思いやり

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おそらく夫も同じように感じていたのだろう。「少し別居してみようか」と言い出した。夫婦が別居だなんてとんでもないと、最初、ヒデコさんは思ったという。

「世間体を考えればみっともないと感じたし、そのまま離婚につながるのも抵抗がありました。夫とは3年間の大恋愛で結婚したと私は思っていたんです。だけど生活に流されていつの間にかお互いが見えなくなってしまった。ただ、夫がいないと私の気持ちが楽になるのも事実。そのあたりのことも率直に話し合いました」

夫としては特に妻に不満はなかったようだが、いつも疲れていて笑顔も見えないのが気になっているし、それは自分に原因があることもわかっていると言った。だから少し離れたほうがいいと思うとも。

「確かに“家族だから一緒にいなくてはいけない”わけでもない。そのうち娘は独立していくでしょうし、そうなったらまた夫婦だけになる。その前に関係を修復できるなら、それもいいかなと思って渋々ながらOKしたんです」

夫は車を借り、布団と身の回りのものだけもって越していった。シングルベッドを並べて寝ていたふたりだが、ヒデコさんが夜中に目を覚ましても夫の姿はない。その光景に慣れるのにしばらくかかったが、慣れてしまうと快適になっていった。

「朝起きて、娘と私、ふたり分の弁当を作り、娘がパンを焼いたりして朝食を作ってくれる。娘は学校へ、私は家で仕事。昼は弁当を食べて夕方まで仕事をしたら夕飯の支度。娘が塾に行く日もあるし、部活の日もある。それに合わせて一緒に夕飯をとる。生活がシンプルなんです。週末はふたりで1日中家で映画を観たりすることも。夫のいる週末は、全然、体が休まらなかった」

最初のうち、夫は月に1度くらいしか現れなかった。週末は寝てばかりいると苦笑していたそうだ。夫もまた、結婚生活に疲弊していたのかもしれない。

「主従関係があるわけでもないし、モラハラされたという意識もないけど、無意識ながら気を遣ったり相手にイラついたりしていたんでしょうね」

別居1年を“祝って”、先日、ふたりきりでディナーに出かけた。

「ふだん一緒にいないから会話が新鮮でした(笑)。夫が何を考えているのか知りたいと思ったし、夫のほうも『あらためてヒデコっていいヤツだなと思う』なんて言って。いいヤツって言われたのはうれしかったですね。夫婦という枠に縛られていない気がするから。お互いに夫婦はこうあるべきと思い込んでいたのかもねと一致しました」

これからもしばらくは別居のまま様子を見ることで夫婦は意気投合した。ふたりの適切な距離感は、子どもの成長や結婚年数によって変わっていくのかもしれない。そうだとすれば別居などで微調整をはかることも大事なのではないだろうか。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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