亀山早苗の恋愛コラム

一応「有名企業」勤務のサラリーマンなだけ。スポーツジムに入会したら「自称セレブ」と化した勘違い夫

家族が健康であってこそ家庭は平穏だ。中年になって「健康診断でひっかかるようになった」夫が、さすがに「このままではいけない」と一念発起。スポーツジムに通い始めた夫が、いつしか週末までジムに入り浸るようになり……。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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家族の健康は大事だけれど……

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家族が健康であってこそ家庭は平穏だ。中年になり、「夫が健康診断でひっかかるようになって」心配していた妻に、夫は「がんばって運動する」と言いながら、相変わらず飲んだり食ったり……というのはよく聞く話だ。

 

夫がようやく自分の健康を考えはじめた?

「10年近く前から、夫はいつの間にかお腹が出てきました。私も出産後に太ったから人のことは言えないと思い、最寄り駅の2つ手前で降りて歩いたり、子どもと縄跳びをしたりして1年で8キロ痩せました。それからは結婚前の体重を維持しています。でも夫はまったくそういう努力をしなかったんです」

ヒロコさん(45歳)はそう言った。結婚して15年、47歳の夫との間に14歳と11歳の子がいる。彼女自身も大学を卒業して入った企業で、今も働いている。

「子どもが小さいときはなるべく定時で帰るようにしていたので、保育園の送り迎えも子どもたちの面倒も私が見て、さらに仕事を持ち帰ったりもしていました。夫はその間、残業と称して飲み屋を梯子していたようです。いつもけんかが絶えませんでした」

近くに夫の従姉妹が住んでおり、見かねてよく手伝ってくれた。だからこそ、あの大変な時期を乗り越えられたとヒロコさんは言う。

「離婚したほうが楽だと思ったこともありました。でも上の子が小学校に上がったころから、夫も週末だけは家事をけっこうしてくれるようになった。ただ、平日は変わらず外食が多かった。

8年ほど前から、夫は健康診断で黄色信号が出ていたんですよ。中性脂肪が高い、血糖値も高い、と。肝臓も悪くなりつつあった。だけど夫はあまり気にしていなかった」

5年前には、精密検査を受けなければならなくなり、さすがの夫も「このままではいけない」と思ったようだ。

 

スポーツジムに通うようになったと思ったら……

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夫はウォーキングをするとか食事制限をするとか、そうやって「ちまちま痩せるのは性に合わない」と言い出した。

「スポーツジムに行く、と。会費を聞いたらそれほど高くはないし、夫の健康のためには必要だと思ったからもちろん賛成しました。それでもなんだかグズグズしていて、結局、夫が入会したのはそれから1年後でした」

最初は週に1回だったジム通いが、案外気に入ったのか週に2回、3回と増えていった。もちろんヒロコさんは見ているわけではないから、夫の言い分を信じていた。

「半年ほどでだいぶ筋肉がついてきました。夫は『もっとマッチョになったほうがいいかな』とまんざらでもなさそう。どっちでもいいわよ、健康ならと私は言いましたが……」

1年もすると夫は週末もジムに入り浸るようになった。なんだかヘンだと思いながらも、「健康になるなら」と詰問することも控えていたとヒロコさんは言う。

「上の子が受験したいというので、夫に塾の特別授業の費用を負担してもらえないかと聞いたら『オレ、貯金があんまりないんだよ』と言うんです。うちは収入に応じて生活費を分担するシステムで、貯金はそれぞれがすることにしていた。夫は私より収入が多いのに、貯金がないってどういうことかと聞いたら……」

夫はいつの間にか、超高級スポーツジムに入会していたのだ。入会金が100万を超え、月会費が5万を超える。会員同士でそれなりのつきあいもあり、いろいろな出費もあるらしく、普通のサラリーマンが通える場ではない。

「夫は一応、有名企業に勤めてはいますが、エグゼクティブでもなんでもない。社名での信用と、夫の学生時代の友人でもある弁護士からの推薦があったそうです。そのとき『親の遺産が入ったから会費は払える』と見栄を張ってしまったんだそう。確かに夫の父親は数年前に亡くなりましたが、遺産はほとんどなかったのに……」

夫はそのジムで確かに健康になった。体つきも変わったし、身のこなしも素早くなり、仕事への意欲も高まったそうだ。とはいえ、このままジムを続けていたら、子どもの学費はどうなるのか。

「もう少し安いジムに行けばいいじゃないと言ったんですが、夫は自分もセレブだと勘違いしているみたいで。いちばん居心地がいいからやめたくないとダダをこねています。今年中に別のところに行かなければ離婚だからと先日、最後通牒をつきつけました。子どもたちを連れて実家に戻ったほうが私としてはずっと気楽だし、養育費も要求できる。家族がいるのに自分のことしか考えず、しかもただ見栄を張りたいだけなんて、父親としてどうなんだろうと思いますね」

一瞬、間があってヒロコさんはふっとため息をついた。

「もしかしたら、夫はそんなに見栄を張りたいほど、今の生活に満足していないのかもしれない。そうも思ったんです。それならそれで、家族と離れたところで彼自身の幸福を追求したほうがいい。趣味に没頭するのは悪いことじゃないけど、身分不相応が過ぎると私は思っています。夫は何がいけないのかわからない、と不機嫌になっていますけど」

単なる見栄なのか、夫が言うように「居心地がよすぎて抜けられない」のか、あるいは別に理由があるのか。少しそこを見極めないといけないですねとヒロコさんはつぶやいた。
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