“食”の不一致で家庭崩壊に至るケースも……

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漫画『妻の飯がマズくて離婚したい』がいま、大きな話題を呼んでいる。実際、「妻のメシがまずくて」離婚に至った夫婦を、子どもの視点で話してくれた女性がいる。

 

母は料理をしなかった

「うちの母は、よく『鍋を洗うのが嫌だ』と言っていました」

そう言うのはカオリさん(38歳)だ。共働きの両親のもとに育ち、小学校に入るまでは同居していた母方の祖母が料理を作ってくれていた。

「ところが私が小学校に入ったころ、祖母が急死したんです。代わりに母が作るのかと思いきや、母は何もしませんでした。料理が嫌いだったんでしょうね。たまに父が作ってくれたけど、あとは近所のお弁当屋さんで毎日、弟と自分の弁当を買っていました」

お弁当屋さんはそんな彼女をかわいそうに思ったのか、熱々の唐揚げをおまけにくれたこともあったという。近所では、毎日お弁当を買う姉弟として有名だったようだ。

「母はそういうことを気にしていなかったみたい。週末は父がよく外食をさせてくれましたね。母は来ないんです。外出するのがめんどうだと言って。父は母の分をテイクアウトして持って帰る。両親がけんかをしているのは見たことがないけど、父はそんな母が不満だったんだと思います」

彼女が小学校4年生のとき、けんかひとつしなかった両親は離婚。父親だけが出て行った。親が一緒には住まないことになると聞いたカオリさんは、父親に「私はお父さんと一緒にいたい」と言った。

「すると父は涙ぐんで、『いつでも会えるから』と。『お母さんを頼む』とも言われました。あとから知ったんですが、父は料理上手な女性と再婚したようです。母と生活しているときから女性とつきあっていたみたいですけどね。今になると、そんな父を責めることはできないなと思います」

母は悪い人ではないとカオリさんは言う。だが、その後もキッチンに立つことはほとんどなかった。

「鍋を洗うのが嫌、何のために料理するのかわからないと言っていました。おいしいとかまずいとか、そういう感覚もあまりなかったのかもしれません。親の離婚後は私がキッチンに立つようになりました。私は料理が楽しいと思った。弟が料理番組を見ては『これが食べたい』と言い、それを作ることが多かったですね。夜遅く帰ってくる母にも残しておくときれいに食べてくれたけど、おいしいと言われたことはなかったような気がする」

祖母の料理を食べて育ったはずなのにと思うが、今から思えば、祖母も決して料理上手ではなかった。幼い孫たちのためにやらざるを得なかっただけだろう。

 

弟は料理人に、そして私は……

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中学生になると、カオリさんは部活が楽しくなり、あまり料理をしなくなった。代わって今度は3歳下の弟が作るようになっていく。

「結局、弟は高校を出てから調理学校へ通い、今は中華料理店に勤めています」

そしてカオリさんは、今、あの当時の母親と同じような状況になっているという。

「5年前に結婚してひとり息子もいますが、私はほとんど料理をしていません。味覚音痴なんですよ、私。だから結婚しないほうがいいと思っていたけど、3歳年下の夫が『料理は僕がするから』と言ってくれた。それでも夫が忙しいときは私が仕事から帰って用意するしかない。夫の作り置きがなくなり、私が作ると息子はあまり食べてくれないんです。先日は多忙でいらついていた夫が『努力する姿勢くらい見せろよ』と珍しく声を荒げて」

自分は母親失格なのではないだろうかとカオリさんはひどく落ち込んだ。まだ3歳の息子に、味が濃い冷凍食品や買った惣菜を与えることに夫は反対している。

「ほうれん草をさっと茹でたりしただけだと息子は食べないし。レシピを見ればいいじゃんと夫は言うけど、見たってその通りにはできない。味だって私がいいと思っても、夫は首をかしげるんです。味覚って個人差があるし。毎日のことだから本当に気が重い。やっぱり家庭なんて持たないほうがよかったんじゃないかと思う……」

計算が極端に苦手な人に経理の仕事は無理だし、事務能力がない人に事務をさせるのもむずかしい。ところが妻や母の立場の女性の場合、どんなに料理が苦手でもやらざるを得ないときもある。食べるものに関心がない人は確かにいるので、それが「女性として、母としての努力不足」と思われるのは気の毒だ。

「私ひとりならコンビニでじゅうぶんなんです。コンビニや外食でささっと食べて、早起きして目一杯仕事をするのが私の本来の願い。でもこのままだと夫に本当に呆れられてしまうのが目に見えていて、なんだかちょっと焦っています」

日常生活に「食」がどの程度、重要なのか。そこを一度、腹を割って話してみるしかないのかもしれない。

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