キッチンのレンジフードの風量切り替えスイッチ、使い分け方法を聞いてみた
キッチンのレンジフードに付いている、「強」「中」「弱」の風量の切り替えスイッチ、皆さんはどのように使い分けていますか?
実は「強」と「弱」とでは2倍以上も風量が違い、上手に使えば節電・省エネに。最近では自動で風量の調整をしてくれるレンジフードもあります。
今回は、キッチンメーカーでレンジフードや換気扇も製造しているパナソニックに、一級建築士で住宅リフォームを専門とする筆者が、上手な使い分け方法や、使い分けのメリットなどについて聞いてみました。
とりあえず「強」? 音がうるさいから「中」?「常時」スイッチはどう使う?
最新のレンジフードはよりスリムに。センサーで自動的に風量を切り替えて、省エネ運転をしてくれるタイプもあります(ラクシーナキッチンのエコナビ搭載レンジフード / パナソニック)
先日、ひとり暮らしを始めて間もない若手編集者から、キッチンの換気扇の「強」「中」「弱」を、どのように使い分けたらいいか分からずモヤモヤしている……という声が寄せられました。
確かに、とりあえず「強」ばかりを使っている、音がうるさいからいつも「中」以下にしているといったような声も少なくありません。最近では、それに加えて「常時」というボタンがついているタイプも。
ちなみに、若手編集者がいうキッチンの換気扇は、一般的にはレンジフードと呼ばれています。レンジフードとは、換気扇のファンを覆うようにフード(カバー)が設置されている換気設備のこと。調理をする際の油煙や臭いを効率よく集めて排出してくれる設備です。
「強」と「弱」とでは2倍以上も風量が違う! 上手に切り替えれば節電・省エネに
レンジフードの「強」「中」「弱」「常時」では、それぞれ排出する風量が異なります。パナソニックによると、風量は機種によっても違いがありますが、およそ以下のような風量になっています。
・強運転:440~530立法メートル/h
・中運転:300~350立法メートル/h
・弱運転:180~240立法メートル/h
・常 時:135~170立法メートル/h
(※いずれも静圧0paの値)
こうやって見ると、「強」と「弱」とでは2倍以上も風量が変わることが分かります。これは調理の際に、火力や油煙の多さ、臭いの発生状況によって、自分で風量調整をするためのもの。上手に使い分ければ無駄な電気を使わずに済み、節電・省エネになります。
例えば、揚げ物や炒め物などの火力が強い調理をする際には「強」、煮物や湯沸かしなどは「中」もしくは「弱」といったように使い分け。「常時」は、調理後の油煙や湯気、臭いが気になる場合に使うといいそうです。
もちろん料理の内容によっても異なり、ニンニクを使った時は「強」、ちょっと目玉焼きを焼くだけなら「中」か「弱」といったように、自分で工夫しながら使い分けるようにするとよさそうですね。
また「常時」は24時間換気にも使えるとのこと。24時間換気とは、シックハウスを防ぐために常時換気をすることをいい、2003年の法律改正で、それ以降の新築住宅には24時間換気システムを取り付けることが義務づけられました。
つまりそれ以前の家には、このような換気システムが無いことも。換気の大切さがいわれている今の時代、「常時」スイッチがあったら換気のために活用するのもよさそうです。
自動で風量をコントロールして節電・省エネができるレンジフードも
自動的に換気風量を切り替えて省エネ運転をするエコナビ搭載のレンジフード。自動で節電・省エネに(パナソニック)
最近では、自動で風量をコントロールしてくれるキッチンのレンジフードもあります。こちらはパナソニックのエコナビ付きレンジフードで、「調理センサー」が調理物の温度を検知し、自動的に換気風量を切り替える仕組みになっています。
これなら自分でいちいち調節する必要がなく、自然に節電・省エネ運転をしてくれるのでとてもラク。手動に比べると電気代を約35%削減(※)できるのだそうです。
およそ10年の「寿命」に合わせてレンジフードの見直しも手
換気設備の寿命はおよそ10年程度。不調を感じたり、コンロを交換して火力が上がったりなどした際には、レンジフードの見直しをしてみるのもよさそうです。(リフォーム前)
(リフォーム後)
レンジフードを使う際の注意点!「空気の入口」を確認して
レンジフードを上手に使いこなすポイントは、空気の入口を確保することです。換気のためには、排気と同等の給気量が必要です。昔と違って現代の住まいは気密性が高いため、そのままでは給気不足になってしまうことも。給気は不足すると、吸い込み不良や換気扇からの異音、すきま風の音が大きくなる、玄関や室内ドアの開閉に異常が起きるなどの可能性があります。
吸気口がない、もしくは家具などでふさがれている場合は、窓を少し開けて給気をするなど、空気の取り入れを意識してみてくださいね。
レンジフードを上手に使いこなして、節電・省エネに快適に暮らしましょう。
(※)日本電機工業会・IH調理器技術委員会調べによる標準的な4名家族世帯の1週間の標準的な料理メニューを1品ずつIHクッキングヒーターで調理した場合の数値。レンジフードのファンの電力消費量は、ダクト配管35m相当時のもの。