法事とは? 法要との違い、それぞれの意味
法要とは、仏を供養するという仏教用語であり、「追善(ついぜん)供養」ともいいます。この世に残された者が、仏の供養によって故人にあの世での良い報いを向けるために行うものです。法要後の会食は「お斎(とき)」といって、出席者を感謝の気持ちの意味でもてなすもの。この会食などを含めた行事が法事と呼びます。
法要は仏教儀式、法事はその後の会食までの流れ、と覚えておけばよいでしょう。法要と法事の微妙な違いがありますが、一般的にはそこまで細かく区別することはありません。どちらの呼び方でも間違いではありません。
法事参列前に確認すべき3つのポイント
■ポイント1:案内状が届いたらすぐに返信する法事の案内状が届いたら、すぐに出欠の返事を出します。施主側には、法事後の宴席の手配など準備の都合があるからです。一般的に返信用ハガキが同封されているため、遅くとも1週間前までに出すこと。
なお、法事は内輪だけで済まされることが多いため、招待を受けた場合だけ出席するようにします。法事の日が近づいても、こちらから催促する行動は慎みましょう。
どうしても出席できない場合も早めに返事を出します。電話や返信用のハガキにお詫びの言葉を添えるのがマナー。また三回忌までの法事なら、お供え物に代わる「御仏前」「御供物料」と表書きした金包みを現金書留に入れて送ったり、香や供花などを贈るのが一般的。必ず法事の前日までに届くように手配します。
一周忌までならお線香など、供花を送る場合、三回忌までは白い花がよいでしょう。また先方の都合を尋ね、別の日に改めてお参りするのもよいでしょう。供花は花束やアレンジメントにしてもかまいません。
■ポイント2:供物料を包み法事に参加する
本来、せんこう、ろうそく、菓子などの供物や供花を持参するものでしたが、近年は供物料である現金を包むのが一般的になっています。供物料の金額は、地方によっても違いますが、「お斎(料理)代」+「引き物(みやげ)代」で1万円くらいのため、それを見込んで1万円から2万円程度を包むのが一般的です。身内では供物と現金の両方を供える場合もあります。
法事の出席の際、供物や供物料はいきなり仏壇や祭壇にお供えしないで、必ず施主に「御仏前にお供えください」と直接差し出すようにします。
■ポイント3:他の法事や告別式と重なった場合
法事はあらかじめ日程がわかっているため考える余裕はありますが、告別式は突然連絡がきます。もしも重なってしまったら、家族で分かれて出席して、誰が出るのか事前に先方に伝えておくとよいでしょう。
それも難しい場合、故人との最後の別れになるため、告別式を優先するべきだと思います。もし法事を優先するなら、告別式の会場に弔電を送り、後日お参りに行く方法もあります。またお通夜と告別式のうち、法事と日程が重なっていなければどちらか一方に参列することもできます。
法事における香典金額の相場
香典金額の相場は、法事の規模や地域の慣習により違ってきます。また法事は親族や故人と付き合いの深かった人だけが招かれ出席するものです。あくまでも目安として参考にしてください。■法要後に会食に出席する場合
- 四十九日、一周忌法要
・親族以外(お世話になった友人や知人):1万円~3万円
- 三回忌以降
・親族以外:1万円~2万円
■法事後に会食に出席しない場合
- 四十九日、一周忌法要
・親族以外:5000円~1万円
- 三回忌以降
・親族以外:5000円~1万円
法要後は会食の席が用意されています。また四十九日や一周忌は、他の法事よりも金額を多めに渡すのが一般的となっています。七回忌以降は親族のみで行なわれることが多く、年忌法要は時間が経つごとに金額の相場が低くなります。
法事・お布施の金額相場
■お布施とはお布施とは他人に施しを与えること。もう少し分かりやすくいうと、見返りを求めずに施すことです。葬儀や法事・法要の際、僧侶・寺院に読経など仏事を営んでもらった謝礼として、あるいは無償の恵として、金品を与えることです。僧侶への謝礼というよりも、ご本尊へ捧げるお布施だと思っておいて下さい。
■お布施の金額相場 お布施の金額をどのくらいにするかは、難しい問題です。宗教や住む地域、お寺の格、また主催者の経済事情により異なってくるからです。
お寺にお布施の金額を直接聞いても失礼にはなりませんが、「お志で」とはっきりしない場合が多いようです。同じ檀家の方や親戚筋、またお寺を紹介してもらった場合は葬儀社の人などに相談するとよいでしょう。
一般的な相場は以下を参考にして下さい。
- 四十九日
- 一周忌
- 三回忌
法事の服装
法事は回をおうごとに略式にもっていき、服装の色も薄れていくといわれます。施主側は三周忌までは喪服を着用しますが、最近では葬儀の時以外は略礼の方も見られます。ただし、納骨法要や一周忌には喪服着用することがマナーです。一般参列者は地味な色合いの外出着でもよいでしょう。ただし、喪服を着用する参列者が多い場合はそれに合わせます。住む地域によってはしきたりがあると思いますので、事前に確認しておけば安心です。
■法事にふさわしい男性の服装
ブラックスーツに黒のネクタイ、タイピンは付けません。白のワイシャツ、靴、靴下は黒。三回忌以降はダークグレーや濃紺など地味な色の外出着やネクタイでOK。
■法事にふさわしい女性の服装
プレーンなデザインの黒のスーツかワンピースが基本です。黒のストッキング、黒のバッグと靴。光らない素材を選ぶならグレーや濃紺でもOKです。アクセサリーも華美にならないように注意しましょう。三回忌以降は平服に近い服装で大丈夫ですが、グレー・紺・茶色など地味な色のものを選ぶようにします。光る素材や派手なアクセサリーはNG。結婚指輪、時計、真珠のネックレス程度にしておくことです。
法事におすすめのお供え物
法事に出席する際には、供物や供花を持参しますが、今は供物料である現金を包むことが一般的になってきました。ではそんな中で何を選べばよいのか、おすすめのお供え物をご紹介しましょう。■果物
仏壇を飾るのに向いているといえば果物。腐りやすい、痛みやすいものは避け、常温で長持ちする果物を選びます。リンゴやメロン、また柑橘系の果物は持ちが良いです。果物屋さんで購入する際には、お供え用として伝えれば詰め合わせてくれます。ネットでもいろいろな価格帯のものが出ていますので、利用してみてはいかがでしょうか。
■あられ
お供えによく選ばれるものは、食品や花、線香など消費されてなくなる物が主流。その中でもあられは、消費期限が長く常温でも保存可能。また個別に包装されているので衛生面で安心です。男女問わず子どもから年輩の方まで好まれます。
■缶ビール
ビールなど酒類はお供え物としてよくないと思われる方もいるようですが、故人がお酒の好きな人であれば差し支えないと思います。特に故人が好きだった銘柄のビールの詰め合わせをお供えすれば、故人をしのぶ気持ちが施主側に伝わり喜ばれます。
法事が終わった後は、お供え物を小分けして包み、出席した人に「おさがり」として持ち帰ってもらいます。そのためお供え物は、小分けにできる、年齢を考えて誰にでも大丈夫なもの、軽いものを選んでおくとよいでしょう。
法事・法要を何回忌まで行うべきかは、宗派や住む地域によって異なります。一周忌、三回忌、以降は七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十七回忌、三十三回忌と続き、その後も五十回忌、百回忌となります。三十三回忌の法要を「年忌明け(弔い上げ)」といい、一般的に打ち切ることが多いようです。
故人の供養のための大切な儀式法事・法要は、同時に親族、親しい友人達のが語らいの場です。招かれたらできるかぎり出席してくださいね。