二分の一成人式(ハーフ成人式)とは……10歳を祝うセレモニー
ハーフ成人式にあたる10歳の子。「ティーンの入り口」に立つ子に親として伝えたいメッセージとは?
成人式は、大人の権利と義務を自覚し、社会で活躍できる年齢になったことを祝って行う公的な儀式です。一方のハーフ成人式は非公式なものですが、10歳まで育ってくれたことへの感謝の意味を込めて、学校や家庭などでささやかなお祝いを行っていることが多いようです。
「前思春期」の10歳……子どもから大人に変わるティーンの入り口
ハーフ成人式にあたる10歳は、ティーン(10代)の入り口の年齢であり、多くの場合、小学4年生にあたります。心理学では、思春期の前段階を「前思春期」と呼び、この年頃は「ハーフ成人式」にあたる10歳前後に相当します。思春期に向けて心と体が少しずつ変化していき、「大人っぽい言動」が増えていく年齢です。したがって、ハーフ成人式には単に子どもの成長を喜ぶだけでなく、子どもから大人に変わる年齢を祝う意味も込められています。だからこそハーフ成人式に、親が「大人の代表」として子に贈る言葉は、とても重要な意味を持つのだと思います。
「前思春期」について詳しく知りたい方は「10~12歳の「前思春期」の育てにくさ…親がすべきこと」もあわせてご参照ください。
ハーフ成人式の「親からの手紙」の書き方は? 込めたい3つのメッセージ
一般的にハーフ成人式では、子ども自身が「未来の自分に贈る言葉」や「親への感謝の思い」を手紙にすることが多いと思います(学校などでしばしば行われています)。それもとても素敵ですが、ぜひ家庭では「親からの手紙」も書いてみませんか? ティーンの入り口に立つ子の心に、とても大きな影響を与えるものと思います。手紙では子に伝えたいことを自由に書けばよいと思いますが、筆者がお勧めしたいのは、「感謝・意味・願い」という3つのメッセージを込めた手紙です。それぞれのメッセージについて解説しましょう。
1. 感謝……10歳まで育ってくれたことに「ありがとう」の言葉を
ファーストメッセージには、ぜひ親だからこそ感動できた子どもの成長への感謝の気持ちを伝えましょう。誕生からの10年間、子どもにはたくさんの喜びと苦労がありました。成長の過程を見守り、寄り添ってきた親としての思いを、心からの「ありがとう」と共に伝えていくとよいと思います。
たとえば、発育が遅くて心配だったが、懸命に成長してきたこと。学校生活になじめないこともあったが、楽しみを見つけながら頑張ってきたこと。人知れず努力してきた姿、一つのことに打ち込んできた姿勢……。
こうした子どもの様子を、いつも間近で見守ってきたのではないでしょうか? そうした具体的なエピソードを、ぜひ成長への感謝の気持ちと共に伝えてみてください。
2. 意味……10歳という年齢が持つ意味。ティーンの心の変化を伝える
セカンドメッセージでは、次のお祝いである20歳の「成人式」に向けて、ティーンの心に何が起こるのかをわかりやすく解説しましょう。小学校高学年から高校時代にかけて、子は「思春期」という重要な年齢を経験します。思春期には、「第二次性徴」という体の大きな変化が訪れ、心も大きく揺れ動くということ。心に生じる変化は人それぞれであること。すべての変化は成長の証であるということ。
この激動のティーンの年代に、親はいつも子どもの心に寄り添い、いつでも子どものことを大切に思っている。そんなメッセージもぜひ伝えてみてください。
3. 願い……親として、子にどんな大人になってほしいか、願いを込める
ラストメッセージは非常に重要です。「大人の代表」として子にどんな大人になってほしいか、親としての願いを伝えましょう。「大人になること」への思いは、人それぞれだと思います。ですが、「自分らしさ」を大切にしながら、他者と協力して社会の一員として活動してほしいという気持ちは、すべての親に共通する願いなのではないでしょうか。
そして大人になることには、苦労が多い分だけ喜びもあります。周りの人と信頼関係を築きながら、幸せになってほしいという思いもまた、どの親にも共通する願いなのではないでしょうか。親としての願いを、ぜひご自分なりのメッセージで伝えてみてください。
親からの心のこもった手紙は、子の一生を支える大切な「お守り」
どの子も、大人になることへの「期待」と「不安」の気持ちの両方を抱えています。ハーフ成人式にあたる「前思春期」は、そんな期待と不安の気持ちが膨らんでいく年齢です。だからこそ、ハーフ成人式には、親からの「感謝・意味・願い」を込めた手紙が重要な意味を持つのだと思います。心のこもった言葉で、ぜひ子どもの「期待に膨らむ心」に寄り添い、「不安に沈む心」に勇気を与えていきましょう。10歳のときに親からもらった手紙は、これから「大人への道」を歩んでいく子どもの大切な「お守り」です。そして、子どもの一生の宝物になると思います。