渋谷区の公共トイレが生まれ変わっています
散歩者にとってトイレの情報はとても重要です。私の場合、散歩に出かける前にあらかじめ公共トイレの場所を調べておかないと落ち着きません。さて、そんなトイレですが、現在行われているTHE TOKYO TOILETというプロジェクトをご存じでしょうか。これまであまりいいイメージがなかった公共トイレを性別、年齢、障害を問わず、誰もが快適に利用できる公共トイレに建て替えようというプロジェクトです。しかも、トイレのデザインをするのは世界で活躍するクリエーターたちで、2021年度中に渋谷区内17カ所に設置されるそうです。
今回はそんなTHE TOKYO TOILETで生まれ変わった公共トイレを歩いてめぐってみたいと思います。スタートは、JR恵比寿駅です。
<目次>
佐藤可士和さんによる恵比寿駅西口公衆トイレ
片山正通さんによる恵比寿公園トイレ
田村奈穂さんによる東三丁目公衆トイレ
槇文彦さんによる恵比寿東公園トイレ
隈研吾さんによる鍋島松濤公園トイレ
安藤忠雄さんによる神宮通公園トイレ
NIGO®による神宮前公衆トイレ
佐藤可士和さんによる恵比寿駅西口公衆トイレ
2021年7月15日から使用が可能になったという佐藤可士和さんデザインの恵比寿駅西口公衆トイレ。白い立方体はまるで大きな角砂糖のようです。清潔感がありますね。入ってみると、その新しさにめちゃくちゃ感激しました。というのも、これまであったような男性用、女性用という区別がありません。そしてすべてが個室になっているのです。これはいい。私は自宅では座って小をするので、公共トイレでの男性用の立ってする便器に戸惑いを持っていました。ついに男性が小でも個室を使えるようになったのかと感慨ひとしおです。
最初にうかがった恵比寿駅西口公衆トイレはデザインも素敵だし、そのコンセプトの新しさにも感動。悪い予感のかけらもない散歩のスタートを切りました。
片山正通さんによる恵比寿公園トイレ
JR恵比寿駅西口から歩いてすぐの場所にある恵比寿公園トイレにやってきました。恵比寿公園は樹木なども茂り、小さな子供向けの遊具などもあって、多くの人で賑わっています。
公園トイレにカメラを向けていると、次々と利用者が現れます。たいていは、タクシーの運転手さんです。さっと車を止め、さっと利用していかれます。
こうして、多くの人が利用している姿を見ると、このTHE TOKYO TOILETというプロジェクトで作られた公共トイレは単なる鑑賞物ではなく、利用されることでその素晴らしさがわかるものだということを実感しました。そういう意味ではこちらの恵比寿公園トイレは公園や町になじんだ公共トイレになっていると思いました。
田村奈穂さんによる東三丁目公衆トイレ
恵比寿公園からJRの高架下をくぐり、山手線の外から内側へ。と、高架下の横に真っ赤な公共トイレが見えてきました。これはやられたなぁと思いました。
近づいてみると「渋谷区東三丁目公衆便所」という標識がありました。トイレではなく便所という表記がいいですね。ただ、THE TOKYO TOILETの公式ページを見たら、「東三丁目公衆トイレ」とありました。デザインをされたのは、ニューヨーク在住のプロダクトデザイナー、田村奈穂さん。
高架下のそばにある狭い土地に建てられたトイレはハッとする赤ですが、タクシーの運転手さんや近隣の方々でしょうか、使用している人はひっきりなしに現れて、ちゃんと機能しているトイレだなという印象でした。
この東三丁目公衆トイレから恵比寿駅方向へ歩くと恵比寿東公園が見えてきます。恵比寿東公園は、別名、タコ公園と呼ばれるタコのいる公園です。
槇文彦さんによる恵比寿東公園トイレ
恵比寿東公園にやってきました。トイレを見る前にこちらをご覧ください。恵比寿東公園がタコ公園と呼ばれるのは、このタコの遊具があるからなんですね。そして、こちらが恵比寿東公園トイレになります。
槇文彦さんによれば、タコに対してイカをイメージされたデザインだそうです。そして、このトイレの素晴らしいのはベンチがついているところです。
ベンチ付きのトイレって珍しいですよ。散歩者にとってはうれしいですね。ただ、ベンチが女子への矢印がついているほうにあるので、男性が座っていいのかちょっと迷いましたが、座らせていただきました。そんなに歩いているわけではないのですが、この日はとても暑く、汗だくです。
水分補給などをし、ここでひと休みして、明治通りを渋谷駅方向へ歩きます。次は隈研吾さんデザインのトイレを行きますよ。
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