中長期的には給料ダウンよりもキャリアの継続ができないことのほうが問題

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キャリアの継続を求めた転職・副業前提の転職が最近の流れ

コロナ禍の時代に積極的に転職活動をする人に目立つ傾向は何かといえば、緊急避難的な転職であるようだ。たとえば、長年営業畑で実績を積み、顧客との関係は良好で、営業は自分の天職だと感じている人の場合、事業部閉鎖により会社都合で総務部に異動になったとしたら、それはキャリアの継続の道が閉ざされたことになる。

コロナ禍で特に大きな打撃を受けた航空会社の社員が他業界へ出向することになり話題となったが、自分の経験やスキルをうまく応用して、むしろ活躍できる世界を広げた人もいるだろう。一方、自分がやりたい仕事ができなくなり、伸ばしたい能力も磨けず、悩んだ結果、転職することにした人もいるはずだ。

会社に留まることが前提なら、どんな境遇になっても、その中で頑張り、何か得るものを見つける努力をするしかない。一方、会社を辞める前提に立てば、自分にとって優先すべき職場や仕事は、今の会社以外の場所にあることは明白となり、現在はそうした人が転職活動をしている。

なかには運悪く職を失って転職活動をせざるを得ない人もいるが、何が幸いするかわからないのが人生であり、ビジネスキャリアである。新しい会社で前の会社以上の活躍をし、待遇や評価が大きく改善するかもしれない。

一方、サラリーマンは命じられたことは何でもやるべきという意見もある。ただし、それは一昔前の価値観となってしまったのかもしれない。もちろん経理も営業も、どちらも経験していることは、中長期的な視点に立てば、ビジネスパーソンの成長につながることもある。

ただし、転職市場では、どちらかといえば浅く広く経験しているジェネラリストよりも、深く一つの業務を掘り下げてきたスペシャリスト志向のある人をより歓迎して高く評価する傾向があるのも事実である。

働く会社を辞めない、辞めさせられない前提に立てば、様々な職種を短期間ずつでも経験するキャリアを続けることも総合力を養うことに繋がるかもしれないが、異なる業界、異なる会社、自分をよく知る従来からの人脈の外にいる人たちに自らのキャリアやサービスを評価してもらう場合は、キャリアの継続(経験・スキル・実績の蓄積)が自らへの評価を高め、待遇改善にも直結することが多いものだ。
 

収入と仕事満足度は本業・副業合算で、人間関係がより重要に

私達が働く環境に起きている変化の一つに、会社が副業を認めるようになったことがある。これは大きな変化であると私は考える。副業を本業に活かしてほしいというのが会社の建前であり、本業から給料をもらう以上、それは当たり前のことかもしれない。しかし、本業を上回る成果を副業が出し始めたとしたら、本業は本業のまま、維持されるだろうか。

当面は本業と副業を合算した収入と仕事、そして仕事から得られる人脈や満足度がバランスをもって共存していくが、サラリーマンの場合、もしかしたら本業よりも副業の方が得意な人、副業に熱が入る人が出てくるかもしれず、そうなれば本業と副業が逆転する日も近いかもしれない。

副業を積極的に解禁した会社の先読みとしては、社員が自ら副業を本業化して会社を去ることも想定し、社員の自然減を見込んでいる可能性もある。今後理想の転職先として、副業に寛容な会社を考える人が増えていくのではないか。

そのような時代を迎えた場合、おそらく今以上に大切になるのが、仕事を通して知り合った人間関係、そして互いの信頼関係である。

サラリーマン時代は、その大切さを真剣に意識しなかったとしても、顧客や同僚との人間関係は、今の会社を辞めた後も必要な人脈になる可能性が高く、相手がどんな人であっても(仮にウマが合わないとか、気に入らない相手だったとしても)、今後その人が取引先や顧客、仕事のパートナーになる可能性がある。

そう考えれば、そう簡単に相手と対立し、年齢や立場の上下によって相手を乱暴に扱うようなことはなくなるに違いない。いい人脈を得られる会社、それが理想の転職先ランキング上位に上がる日は近いのだ。
 

2021年夏ボーナスの減少から見えた未来の働き方

Withコロナも2年目になり、この間多くの時間を在宅勤務で過ごし、自分の生活、特に時間の使い方、過ごす場所など、見直した人も多いことだろう。その中で、新しい価値観や就労観が芽生えた人も多いはずであり、今後も数々の想定外の出来事が起きるに違いない。

コロナ禍でボーナスの支給額が下げ止まらない状態が続いているが、これは会社業績が低下しているという問題だけではなく、今後会社としても社員の給料を上げる必要をあまり感じていないことの表れではないだろうか。

実のところ、転職することで待遇を改善できる人は10年前の転職市場と比べれば、かなり減った印象がある。年功序列や終身雇用が未来型の雇用形態でないことも、よく論じられている通りだ。

人工知能や自動化・IT化のさらなる進化によって、社員数はますます少なくても済むようにもなる。安定した会社やつぶしのきく仕事に人気が集まりがちな時代が続いたが、そうした会社や仕事も、10年後、もしくは遅くても20年後にはほぼなくなり、大企業だから社員の雇用が守られると考える合理的な理由も、今後はあまり説得力がなくなる時代が来るのではないだろうか。

2021年夏のボーナスがまたも下がったというニュースを見ながら、この減少はコロナ禍による企業の業績不振の結果だけではないと考えたとき、背筋が寒くなるのを感じた。まさに新しい時代がもうそこまで来ていることに気づかされる。

未来の転職市場は本業と副業の合算で考える時代であり、安定した会社、待遇のいい会社を求める転職活動は、ほぼ意味を持たなくなるだろう。安定した会社や雇用形態はなくなること、そして多様な働き方(場所、時間帯、時間数、ツールの活用等)は今後も進化を止めず、私達は柔軟な判断と決断をしながらサバイバルしていく時代に生きていることを忘れてはならないのだ。

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