今回は給与から天引きされる項目および月収25万円の会社員の手取りがいくらになるかを解説します。
給与からは税金と社会保険料が天引きされています
会社員が毎月もらう給与からは、所得税と住民税、および社会保険料として厚生年金保険料、健康保険料(40歳以上は介護保険料も)、雇用保険料が天引きされています。その他に組合費、共済費などが引かれる方もいるかと思いますが、誰もが天引きされているのは税金と社会保険料です。
給与からは税金と社会保険料が天引きされています
給与から天引きされる税金の計算方法とは?
給与から天引きされる税金には、所得税と住民税があります。それぞれのどのように計算されているのでしょうか。●所得税
所得税額は、月の給与から社会保険料(厚生年金保険料・健康保険料・雇用保険料)を引いた額と、扶養している人数を「給与所得の源泉徴収税額表」に当てはめて計算されています。そのため単身者なのか扶養している家族がいるかで税額が変わり、当然扶養家族がいる場合は安くなります。
なお給与から天引きされるのはあくまでも暫定額(源泉所得税)であり、年末調整で正しい所得税額が計算されます。
《参考》国税庁/令和5年分給与所得の源泉徴収税額表
●住民税
住民税は、前年の所得をもとに計算され、翌年6月から1年間給与から天引きされます。そのため通常新卒の新入社員は住民税の負担はありません。標準税率は所得割が10%、均等割が5500円(*)であり、住民税を納める自治体から会社を通じて届く「住民税特別徴収税額通知書」に毎月の税額が記載されています。
*平成26年度~令和5年度までは東日本大震災の復興財源の目的で県・市民税それぞれ500円上乗せされた額になっている
給与から天引きされる社会保険料の計算方法とは?
給与から天引きされる社会保険料には、厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険料があります。それぞれのどのように計算されているのでしょうか。●厚生年金保険料
厚生年金保険料はその年4~6月の給与額面の平均値を「厚生年金保険料額表」に当てはめ、該当する額(標準報酬月額)に保険料率をかけて計算します。保険料率は18.3%ですが、会社と折半のため本人負担は9.15%となります。 たとえば4~6月の給与額面平均が25万円であれば、標準報酬月額は26万円であり、厚生年金保険料の本人負担額は2万3790円となります。
《参考》日本年金機構/令和5年度厚生年金保険料額表
●健康保険料(40歳以上は介護保険料も)
健康保険料は、「協会けんぽ」に加入しているのか「健康保険組合」に加入しているのかによって異なります。また「協会けんぽ」に加入している場合でも、都道府県ごとに保険料率が異なります。
保険料は、厚生年金の際に使用した標準報酬月額(4~6月の給与額面の平均値該当額)に都道府県ごとの保険料率をかけて計算します。また、健康保険料も会社と折半である点や、40歳以上の方は介護保険も加わりますので保険料率が異なる点には注意してください。 たとえば4~6月の給与額面平均が25万円、長崎県の「協会けんぽ」加入企業にお勤めの方であれば、健康保険料の本人負担は1万3273円であり、40歳以上の方であれば介護保険料を含みますので1万5639円となります。
《参考》協会けんぽ/令和5年度保険料額表
なお「健康保険組合」加入者は、独自料率(通常は従業員負担が低い率)が用いられていますので計算する場合はその率を使用ください。
●雇用保険料
雇用保険料はお勤めの会社の業態に応じて本人負担率が異なり、令和5年4月1日以降、一般の事業であれば0.6%、農林水産・清酒製造・建設業であれば0.7%となっています。なお計算の際は給与額面に料率をかけて計算します。
たとえばその月の給与額面が25万円の場合であれば、一般の事業にお勤めの方は1500円、農林水産・清酒製造・建設業であれば1750円が雇用保険料となります。
《参考》厚生労働省/令和5年度雇用保険料率
月収25万円の人の手取りはいくら?
それでは給与の月収(額面)25万円の人の手取りはいくらになるのでしょうか。ボーナス支給月数や扶養家族の人数ごとにいくつかのモデルケースで計算してみました。 この図が示すように、ボーナスの支給月数が増えるほど月の手取り額が少なくなっており、理由の一つに住民税が挙げられます。住民税はボーナスを含んだ前年所得をもとに計算されるため、ボーナスが多ければ当然住民税は高くなります。しかしながら住民税はボーナスからは天引きされることなく、12等分され毎月の給与から天引きされる仕組みなので、ボーナスの多い方は毎月の給与の手取り額が少なくなるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、給与から引かれる項目の解説および月収25万円の会社員のボーナス支給月数や家族構成に応じた手取り額を計算してみました。給与から何がどのように引かれているのかを知れば、給与明細を見て「少ない!」と感じることも少なくなるのではないでしょうか。
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