不動産売買の法律・制度

「相続したら売ればいい」は大間違い、売れない空き家を持たないためのチェックリスト

今回オールアバウトでは50代以上に向けて空き家に関する調査を実施しました。空き家に関する意識や事情を共有し、空き家予備軍の対処法を紹介します。

大石 泉

執筆者:大石 泉

シングルのマンション購入ガイド

売れると思っている空き家、売れない可能性も?

総務省の平成30年調査によれば、空き家総数は849万戸と、この20年で約1.5倍に増加。なかでも賃貸用や別荘を除いたいわゆる空き家は349万戸で全体の増加率を上回っています。

今回オールアバウトでは50代以上に向けて空き家に関する調査を実施しました。空き家に関する意識や事情を共有し、空き家予備軍の対処法を紹介します。

 

実家を相続したら家を売却できるか? 約半数が「考えたことがない」と回答

空き家に関するアンケート

 

調査によれば、「空き家を持っている」「持っていた」「空き家となる可能性の不動産がある」の回答合計は、全体の44.0%。約4割が現状で空き家との関わりがあるという結果でした。
「考えたことがない」が33.0%

「考えたことがない」が33.0%

また、同設問で「空き家を持っていない」との回答者に、「実家を相続したらどうするか」を訊ねると、「考えたことがない」がトップで33.0%。次いで「住む」25.9%、「売却する」24.1%と続きました。


>>相続する家を持っている人は今すぐチェック!売却前のチェックリスト

50代だと親は70~80代。まだまだ現役であり相続のことは考えられないし、親には言い出しにくい、という事情もあるでしょう。しかし、同世代の44.0%が空き家や相続に関わっていることを考えると、他人ごとではない身近な課題であるとも言えます。

興味深いのは、「空き家を持っていない」との回答者に訊いた、「相続した家を売却できると思うか」との設問です。53.6%は「考えたことがない」との回答。「できると思う」が25.0%と「できないと思う」の17.9%を上回りました。

「持ってない」方への質問のため、個々で不動産を想定して回答下さったのでしょう。現在、空き家の取得原因の第一位は、「相続」です。少子化で家余りとなれば、売却できるのは好条件の不動産に限られます。今後、インフラが整えば地方物件にも勝機はありますが、マーケティングせず短絡的に「相続⇒売却」と考えるのは、少々甘い想定だと言えそうです。

アンケートには、「空き家問題や相続については考えたことがない」「相続したら売ればいい」という傾向が出ています。しかし、空き家に関わった回答者や総務省や国交省の調査からも「売りたいが売れない」という実態が浮き彫りになっています。相続し、空き家になってからでは遅いのです。

 

〇「売るに売れない」という実態

空き家を持つ期間は2極化する結果に

空き家を持つ期間は2極化する結果に

空き家を売却したことがある方に、売却までの空き家の保有期間を訊ねたところ、もっとも回答が多かったのは1~3年未満(29.0%)。次いで、10年以上(27.4%)でした。両極端な結果ですが、「売却するなら短期集中が好結果につながる」と推測できます。「売れたらいい」「買いたい人が見つかったら売ればいい」といったメリハリのない売却行動は、保有コストを積み重ねるだけで、もったいないと言えます。

アンケートには、「解体費がかかりそう」「古いから売れないだろう」などのコメントも多数ありました。解体費は見積りをすればわかりますし、そもそも古家は売買価格には反映されにくいものです。

築年数や状態にもよりますが、買い手は古家付きの土地取引と考えていることも多く、「古いから」という点は、「希望価格に満たない」という要素はあるものの、売却の阻害要因にはなりにくいのです。

では、保有するコストと解体するコスト、売却するときに発生するコストについて考えてみましょう。

 

〇保有と解体と売却のコストについて

相続した不動産の取り扱いは、シンプルに「保有する」か「解体する」か「売却する」かの3択です。保有の場合は、「住む」「貸す」「利用する」の3つの選択肢があります。

保有すると、固定資産税・都市計画税・維持管理費が発生します。現在、持ち家の方はこれらの費用は想像がつくでしょう。また、現在、実家があれば、これらはすでに発生しているため把握は簡単。将来の修繕・改修費の予算を加えれば、おおよその検討がつきます。

解体コストは、住宅の構造、広さ、状態、立地条件のほか、地域の相場などによって異なります。木造<鉄骨造<鉄筋コンクリート造の順に解体費用は高くなる傾向です。

木造・30坪程度で100万~150万円などのデータもありますが、重機が使えなかったり、アスベストなどの飛散防止措置が必要になったりするケースなど、個別事情によって大きく変わります。不動産は個別性が高いため、見積りが欠かせません。相見積もりをとることも重要です。

売却費用はどうでしょうか。負担が大きいのは不動産会社の仲介手数料ですが、最大売却価格の3%+6万円に消費税。さらに、登記関連費用が必要です。
 

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