亀山早苗の恋愛コラム

甘えたいときの猫みたいに。男に媚びることしかできない「バツ3の母」が心の底から嫌いな私

女性が男性に何を求めるのか。時代や個人の考え方によって大きな違いがある。それはたとえ母であろうと親友であろうと押しつけることはできないはずだが……。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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バツ3の母のようには男に媚びることができない

母と娘

女性が男性に何を求めるのか。時代や個人の考え方によって大きな違いがある。それはたとえ母であろうと親友であろうと押しつけることはできないはず。だが、「母の男性観」を押しつけられ、それに反発しながら生きていると話す女性がいる。

 

ずっと違和感をもっていた

「物心ついたときには、うちは母と私のふたりきりの生活でした。でも小学校に入ったころ、家に男の人がいるようになって……。母に言い含められたのか自分でそう思ったのかはわからないけど、その人を“お父さん”と呼ぶようになりました。母の2度目の夫だった人です。いい人でしたけど、信じられなかったのは母の態度」

ユミさん(32歳)はそう言って苦笑した。母は、ユミさんに対しては「けっこう感情の波があって、機嫌がいいときと悪いときがはっきりしていた」が、夫に対しては甘えまくり、媚びまくっていたと彼女は言う。

「お父さんが帰ってくると、母はそれまでソファでぐだっとしていても飛び起きて玄関に迎えに行く。甘えたいときの猫みたいにじゃらじゃらとじゃれつくんですよね。お父さんは、そんな母にチュッとキスをする。そうすると母は1オクターヴ高い声で反応しながら、お父さんの好きなつまみをテーブルに並べるんです。私の夕飯なんて適当なものばかりで、ときには菓子パンなんてこともありましたが、お父さんのつまみだけは買ってきたものだとしても数多く並べていました」

ユミさんが7歳のころ、母は29歳。今思えば「若い女だったんですよね、母も」ということになるのだが、それでも彼女から見れば当時は大人の女性であり、母親であった。

「私の実父である最初の夫は学生で、喫茶店で働いていた母と恋人関係になったそうですが、母が妊娠したとわかると逃げたそうです。母はひとりで私を産んで育てたと言っていました。でも最近、祖母に聞いたところでは『あちこちで男から金をせしめて生活費にしていた』らしいんですよ。祖母は、まだ若いのだから手に職をつけて地道に生きろと母にいつも言っていたようですが、母は結局、男に媚びることしかできなかったんでしょうね」

ユミさんは少し毒のある言い方をした。それでも2度目の夫はいい人だったし、ユミさんの大学の入学金も出してくれた。

 

あっけなく乗り換えた母

ユミさんが大学に入ると、母は離婚。

「私からすると、えーっという感じです。初年度の納入金を払ってもらって離婚って、あんまりじゃないですか。でもお父さんとはその後も会っています。私にとっては実父よりずっと親しい人だから。実はこのお父さん、結局、4年間、ずっと学費を出してくれたんです。私が大学2年のとき、母は一回り年下の3番目の夫と結婚したのに」

大学に入ると彼女は家を出て下宿した。「お父さん」と別れた母は、おそらく別の男性を引き込むだろうと予測していたからだ。そしてその予測は当たった。42歳の母は28歳の男性と3度目の結婚をしたのだ。

「そのとき、母は私に『彼、若いけどすごく稼ぐ人なのよ。あなたもこういう男を見つけなさい。それが女の幸せなの』と言ったんですよ。私はその言葉と母の態度にものすごく嫌悪感を持ちました。そういえば母はずっと男に媚びて、男に面倒をみてもらって生きてきた人なんだなあ、と。それからは必死に勉強しました。母のようにならないために」

そしてユミさんは優秀な成績で大学を卒業、とある有名企業で女性の力を生かせる職場で働くようになった。

「初任給で、お父さんに食事をごちそうしました。喜んでくれましたね。そのときお父さんに『あんな母のどこがよかったのか』と聞いたんです。そうしたら微笑するだけで何も答えてくれなかった。男にとってはそそる女だということなんでしょうか」

ついでに彼女は「初任給の記念」として、自分のためにネックレスを買った。たまたまそれをつけて母に会うと、「あらあ、誰からのプレゼント?」と言われたそうだ。

「母にはアクセサリーを自分で買うという発想がないんですね。自分で買ったと言ったら、『あなたって女として本当にダメね』と。腹が立つより笑うしかなかった。私はそういう母に、あなたこそかわいそうな女ねと言ってやりました」

それから10年、母とは数えるほどしか会っていない。母は3度目の離婚をしたものの、50代になっても若い男性とつきあっているようだ。

「ああいう人は一生、変わらないんだと思うし、今はそれで本人がいいならよしとしようと思っています」

ただ、ユミさんには弊害もある。「男にかわいがってもらうために、必死でかわいくいようとすること」を母にこれでもかと見せつけられたので、ユミさんは「かわいい女」を毛嫌いするようになっているのだ。

「私は別に男性嫌いではないので、それなりにつきあった人もいるんですが、男性が『かわいい』と言った瞬間、嫌になってしまうんです。私は愛玩動物ではないと言ってしまったこともあります。かわいいって、絶対、下に見ているから出てくる言葉だと思う。私は対等な関係を築きたいんです。そこにこだわりすぎてると友人には言われますが」

かわいいと言われるとぞっとする。そんなタイプの女性もいるのだ。私の性格を理解して対等な関係を築こうとしてくれる男性を早く見つけて、母に見せつけてやりたいと彼女はきっぱりと言った。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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