「かき混ぜるだけ」で飲み物を美味しくする
マドラーといえば、飲み物をかき混ぜるための棒なので、このVANTECH(以下ヴァンテック)の「220mm」が6600円(税込)もするのは不思議に思われるかも知れません。ステンレスのバレル研磨製で、デザインは現代のプロダクトデザイナーの第一人者といっても過言ではない秋田道夫氏。その見た目と220mmという長さ、仕上げの美しさは、それだけで、只者ではないムードを醸していますが、それにしても、やはり高価に感じられると思います。実は、このマドラー、「飲み物を美味しくするマドラー」なのです。というと、何だかとても胡散臭いし、実際のところ、私もその効果自体にはあまり期待せず、単にカッコいいからという理由で入手したのですが、せっかく手に入れたので、ついでに、いろいろな飲み物を、このマドラーでかき混ぜて実験してみました。
すると、飲み物にもよりますが、10回ほどかき混ぜるだけで、ハッキリと味が変わることが分かりました。美味しくなるのかどうかは、好みもあると思いますが、少なくとも私は、安いコーヒー、甘口の白ワイン、ヌーボーや安い赤ワイン、紅茶、ココアなどは、かなり美味しくなると感じました。
化学変化を促進する触媒技術の応用
味が変わる秘密は、マドラー先端に施された「触媒加工」です。触媒加工自体は、特殊なものではなく、廃水処理にも使われています。もともとは、金属表面の加工によって、水と不純物の分子間結合エネルギーを弱めて、それらを分離しやすくする技術で、化学変化を促進する働きがあります。これを例えば、ワインに応用すると、ワインの経年による化学変化を促進することになり、つまり、たっぷりデキャンタージュした状態や、ヴィンテージのような味わいになるということです。
私が試した感じでは、分かりやすい変化としては、尖った感じが少なくなり、まろやかな飲み口になると思いました。なので、甘いけれどちょっと甘さがべたつくような甘口ワインに使うと、雑味が減って飲みやすくなりましたし、抜栓したばかりの赤ワインをかき混ぜると、うまくデキャンタージュしたような、飲みやすい口当たりになりました。
この効果が一番分かりやすかったのが、カフェチェーンなどのコーヒーで、個人的には、まろやかな風味になりつつ、後味がスッキリしたように感じられました。
ベストマッチのタンブラーもある
もともとは、同じヴァンテックの「78mm Premium」1万7600円(税込)という、やはり触媒加工を施したステンレス二層構造のタンブラーと合わせて使うことを想定されたマドラーなのですが、どちらも試したところ、触媒加工による効果は、マドラーの方がよりハッキリと感じられました。もちろん、この「78mm」も、とても良くできたタンブラーで、その高さも直径も78mmの円筒形というデザインと、結露しにくい二層構造による飲み口の曲線の口当たりの良さなど、本当に素晴らしい製品なので、実は私は触媒加工が施されていないノーマルタイプの「78mm」8800円(税込)を愛用しています。触媒加工付きは、焼酎を飲むと絶品だそうですが、それはまだ試していないのです。
飲み物の味の変化を試す楽しさ
単にかき混ぜるだけで、飲み物によっては美味しくなるのですから、持ち歩くと、かなり役に立ちます。私は、持ち歩くためのケースまで自作してしまったほどです。とはいえ、合わない飲み物もあります。例えば、炭酸飲料に使うと炭酸が弱まります。私は炭酸が苦手なので、結構、炭酸にも使ってしまうのですが、一般的には避けた方が良いでしょう。他には、シャープな飲み口だからこそ美味しい、例えば冷やした煎茶や、ファーストフラッシュのダージリンなどは、これで混ぜると輪郭がぼやける感じになります。
また、とてもバランスの良いコーヒーやワインは、特に使う必要がないでしょう。単にかき混ぜたい時は、細くなっている方を使って混ぜれば、触媒加工の無いマドラーとして使えます。かき混ぜる回数は、好みもあるので各自、いろいろ試してみることをおすすめします。個人的には、美味しくなるからというより、味の変化が面白くて、色んな飲み物に試すこと自体を楽しんでいます。
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