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エリア別・都市別に見る平均貯蓄額2021年!
2021年5月に発表された、総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)2020年」によると、二人以上世帯の全国平均貯蓄額は1791万円(中央値1061万円)で、勤労者世帯に限ると、平均貯蓄額は1378万円(中央値826万円)という結果でした。【関連記事をチェック!】
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こうした平均値は、一部の富裕層や東京、大阪などの都市部のデータによって引き上げられていて、地方では、生活実感とかけ離れている、と考えてしまいます。しかし、地域別、主要な都市別で見ていくと、必ずしもそうとは言い切れないことがわかります。集計世帯数が全国で約6100なので、各都市別にするとサンプル数が少なくなっているため、あくまでも参考値ということになりますが、意外な結果が見えてきます。
この記事では、全国平均では見えない、各地域の状況を紹介していきます。
エリア別の平均貯蓄額 TOPは関東で2108万円!
まず、大きなくくりであるエリア別で見ると、平均貯蓄額のトップは関東の2108万円。次いで東海の1919万円。3位に中国の1711万円という結果になりました。一方、負債額の平均で最も多かったのが関東の644万円。ついで四国の622万円。3位が東海の606万円となっています。となっています。貯蓄額から負債額を差し引いた「純貯蓄額」では、トップが関東の1464万円。次いで東海の1313万円。3位が中国の1236万円となっています。
年収に対する貯蓄額を表す貯蓄倍率では、関東がトップの3.04倍。次いで近畿の2.91倍。3位が東海の2.90倍。
今回の調査では、平均貯蓄額、純貯蓄額とも3位が中国になり、三大都市圏が上位とはなっていません。ちなみに、エリア別では「北海道」と「沖縄」が単独でデータが出されています。県民所得が常にワースト1位の沖縄ですが、北海道と年収差が50万円あるにしても、貯蓄額で554万円もの開きがあります。地域特性では片づけられない深刻な問題かもしれません。
勤労者世帯でも貯蓄額トップは関東の1630万円
二人以上世帯のうち、勤労者世帯だけではどうでしょうか。 勤労者世帯でも、関東がトップで1630万円。次いで東海の1515万円。3位が中国の1415万円。負債額が最も多いのは、関東で965万円。次いで近畿の871万円。3位に東海の846万円となりました。負債額については、やはり土地・住宅価格が高い3大都市圏では多くなってしまいます。勤労者世帯でも、年収が高く貯蓄額が一見多そうに見えても、負債の状況次第では、純貯蓄額で順位が入れ替わっています。トップは中国の738万円、2位が東海の669万円。3位に関東の665万円と続きます。
いくら貯蓄があれば安心か、と一概にはいえませんが、都市部では、貯めても、貯めても不安、という状況になっているかもしれません。
主要都市別の平均貯蓄額トップは東京都区部の2542万円!
全国主要都市、東京都区部の計52の貯蓄額のランキングは以下のようになります。エリア別より、1都市のサンプル数がさらに少なくなりますので、参考程度にとどめていいと思いますが、必ずしも大都市が上位になっているわけではないことにも注目です。 トップの東京都区部の平均貯蓄額は2542万円で、これは全国平均の1791万円より750万円以上多い数字です。昨年2位だった長野市は23位に後退。代わって今年2位の名古屋市は昨年の19位から急上昇。貯蓄額も2333万円という結果になっています。千葉市、横浜市と並んで、徳島市、奈良市が上位に食い込んでいます。奈良市は2014年以降トップで、昨年は7位でしたが、上位に常にランクインしています。また、9位の富山市、10位の岐阜市も昨年から急上昇しています。一方、昨年9位の宇都宮市は27位と後退しました。
もちろん、昨年と同じ調査対象者ではありませんから、単純に比較はできませんが、大都市である大阪市は、昨年26位、今年は41位とふるいません。必ずしも大都市だから貯蓄が多いとはならないのです。逆に、下位の都市もそれほど変動がなく、51位の青森市、52位の那覇市を除き、年収が低いから貯蓄が少ないというわけでもなく、貯蓄への意識の違いとしか言いようがないかもしれません。 ランキングは貯蓄額で並べたものですが、都市によって暮らしぶりが大きく異なるので、貯蓄額が多ければいい、少なくて大変ということではありません。いくら貯蓄があれば安心なのか、ということでもないでしょう。しかし、平均貯蓄額といった全国平均の数字を細かく見ていくと、その都市の生活実態に沿ったものであったりするのかもしれません。
確かに、ワースト1位の那覇市の平均貯蓄額は734万円と全国平均を大きく下回っており、本当に日常の生活に不安はないのか、老後は大丈夫なのかと心配になります。それでも、東京や大阪など都会での生活とは異なるので、一概にこのデータだけでは語ることはできないでしょう。
今回ご紹介したデータから、自分が住む都市はどうなのか、そこで生活している自分の貯蓄額はどうなのか、この先の貯蓄プランや生活の仕方などを考えるきっかけになればと思います。
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