最新のiPhoneに加え「AirTag」なども販売
日本で最も人気のあるスマートフォンといえば、アップルの「iPhone」シリーズであることに間違いないでしょう。ですが携帯4社の中で、これまでiPhoneシリーズを扱っていなかったのが楽天モバイルです。楽天モバイルは2020年に本格サービスを始めたばかりということもあって、アップルとの取引ができておらずiPhoneを扱っていませんでした。ですが2021年4月30日より、楽天モバイルはiPhoneをはじめとしたいくつかのアップル製品を販売開始。他の携帯3社と同様、iPhoneと通信回線をセットで購入・契約できるようになったのです。 楽天モバイルが当初販売するアップル製品は、1つにiPhoneの現行モデル「iPhone 12」シリーズ4機種と、第2世代の「iPhone SE」の5機種。「iPhone 12」「iPhone 12 mini」は発表されたばかりの新色、パープルも販売されるとのことです。 そしてもう1つは周辺機器で、ワイヤレスイヤホンの「AirPods Pro」のほか、こちらも発表されたばかりの忘れ物防止タグ「AirTag」などが販売されています。一方で対応するサービスを提供していないこともあってか、他の3社が扱っているiPad/iPad ProやApple Watchなどはまだ販売していないようです。
楽天モバイルのネットワーク正式対応が真のメリット
ですがiPhoneの販売よりも重要な意味を持つのが、iPhoneが楽天モバイルのネットワークに正式対応したことです。これまで楽天モバイルのSIMをiPhoneに挿入して通信すること自体は可能でしたが、正式に対応していた訳ではないことから、利用の際にはいくつか制約があったのです。具体的には、楽天モバイルのSIMを挿入しただけでは通信ができずAPN(Access Point Name、アクセスポイント名)などを手動で設定する必要がある、楽天モバイルの回線とKDDIのローミング回線との自動切り替えができない、ETWS(Earthquake and Tsunami Warning System)が利用できず緊急地震速報が届かない、5G対応のiPhone 12シリーズで5Gが利用できない……等々。かなり多くの制約があったことが理解できるでしょう。
ですがiPhoneの販売開始とともに、iPhoneが楽天モバイルのネットワークに正式対応し、そうした制約を受けることなくiPhoneを利用できるようになったのです。その対象となるのはiOS 14.4以降を搭載したiPhone 6s以降のiPhoneとのことですが、楽天モバイルの発表によるといくつか注意点もあるようです。 1つはiOS 14.4、iOS 14.4.1、iOS 14.4.2を搭載した「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」「iPhone 7」「iPhone 7 Plus」、そして第1世代の「iPhone SE」は、緊急通報時の位置情報測位の精度が低くなってしまうこと。こちらはiOS 14.5にアップデートすることで改善するとのことです。
そしてもう1つは、iPhone 12シリーズより前のiPhoneで、楽天モバイル回線とパートナー回線の自動切り替えができない場合があること。切り替わらない場合は機内モードのオン・オフや再起動が必要としています。それゆえ楽天モバイルのネットワークをフル活用するにはiPhone 12シリーズが最適ということになりますが、他のiPhoneでも従来と比べれば多くの制約がなくなり、使い勝手が大幅に向上したことは間違いありません。
そして楽天モバイルのネットワークに正式対応したことにより、これまでiPhoneでの使い勝手を理由に楽天モバイルを敬遠していた人が安心して使えるようになったことは、ユーザーだけでなく楽天モバイルにとって重要な意味を持つといえます。なぜなら国内で最も多いiPhoneユーザーが楽天モバイルに乗り換えやすくなったことで、楽天モバイルの契約増につながる可能性が高いからです。
必ずしも安いとはいえない販売価格
ただ楽天モバイルでiPhoneを購入する際には注意点もあります。とりわけ注意が必要なのは端末価格です。楽天モバイルはiPhoneを販売するに当たり、他社よりも安い料金に設定したとしています。例として「iPhone 12 Pro Max」の128GBモデルを挙げますと、販売開始当初の楽天モバイルでの一括価格購入は14万1700円。同時期のドコモオンラインショップ(14万2560円)やauオンラインショップ(14万1900円)、ソフトバンクオンラインショップ(15万1920円)と価格を比べると、確かに一番安いように見えます。 ですが他の3社はスマートフォンを分割払いで購入し、途中で返却する代わりに一定期間分の残債支払いが不要になる、端末購入プログラムを提供しています。これを最大限適用すると、購入したiPhone 12 Pro Maxは将来返す必要があるものの、NTTドコモで9万5040円、auで7万5900円、ソフトバンクで7万5960円と、かなり安価に利用することが可能。楽天モバイルには同様のプログラムがないので実質的な価格は高くなる可能性があるのです。
さらにいえば、Apple StoreにおけるiPhone 12 Pro Maxの128GBモデルの販売価格は12万9580円と、楽天モバイルより一層安い値段で販売されていますし、24回までの分割払いなら金利0%と購入しやすい仕組みも整っています。そうしたことを考慮すると、端末購入プログラムのない楽天モバイルでiPhoneを購入することのメリットは薄いともいえる訳です。 ただ楽天モバイルは、iPhoneの販売記念キャンペーンとして、販売開始から当面の間、iPhoneの購入と同時に同社の料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」を契約することで、最大2万ポイントを還元するキャンペーンを実施していることから、そちらを考慮すればお得と見ることもできるでしょう。楽天モバイルでiPhoneを購入する際は、さまざまな条件をよく考慮することをおすすめします。
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