23区にある無人駅、東武大師線の大師前駅
東武伊勢崎線(通称「スカイツリーライン」)に北千住駅から郊外に向かって乗ると急行で一駅5分、普通でも4つ目、8分で西新井駅に着く。ここで大師線に乗り換えると次が終点の大師前駅。出入口には、かつての改札口があるけれど、駅員の姿は見えず、自動改札機も何もなくフリーパスで外へ出てしまう。ここは23区内にある無人駅なのだ。 東武大師線には中間の駅はなく、西新井駅と大師前駅の間を片道2分かけて2両編成の電車が往復しているだけ。伊勢崎線との乗換駅では、大師線ホームへ向かう通路に関所のように改札機を設けていて、ここで大師前駅で下車するときの運賃を精算してしまうのだ。いわば大師前駅の改札機が西新井駅に置いてあるともいえる。したがって無人駅にしても運賃を取りはぐれる恐れはなく、合理化を図っているというわけである。大師前という駅名のように歩いて5分の所に西新井大師總持寺があり、地元の客以外では参拝客の利用が多い。正月など大混雑する日には派遣された係員が臨時で交通整理にあたることがある。
西新井大師西駅など新交通システムの駅は、ほとんどが無人駅
西新井大師から東武大師線の駅とは反対方向に向かって20分ほど歩いていくと、西新井大師西駅がある。この駅は新交通システム日暮里・舎人(にっぽり・とねり)ライナーが発着している。新交通システムはコンクリートの軌道上をゴムタイヤの車両が走る案内軌条式鉄道で運転士も車掌もいない無人運転を行っている。駅も日暮里などごく一部の駅をのぞいて無人駅で自動改札機、ホームドアを完備し、近未来の鉄道の様相を呈している。
同じ新交通システムのゆりかもめ、横浜市内のシーサイドラインも無人運転で一部の駅をのぞいて無人駅ばかりだ。
無人駅が多い東急世田谷線
路面電車風の2両編成の車両が走る東急世田谷線。すべて専用の軌道を走るものの、もともとは路面電車「玉電」の支線だったので、路面電車のシステムを取り入れている(法律上も軌道法が適用される)。したがって、駅と呼ばれているものの両端の三軒茶屋駅、下高井戸駅、それと車両基地のある上町駅以外は無人駅だ。路面電車の都電荒川線は、駅ではなく停留場(電停)を名乗っているので同列には扱えないが、すべて「無人駅」だ。
鶴見駅以外はすべて無人駅、JR鶴見線
JR鶴見線は、工場地帯を走る路線で朝夕の通勤時を除けば、利用者が極めて少ない。したがって、起点の鶴見駅をのぞいてすべて無人駅となっている。 昭和レトロの国道駅、一般人は公園へ行くしか出口がない海芝浦駅、駅員の姿はないけれど猫が大勢たむろしている扇町駅と浅野駅。鶴見線と南武支線との乗り換えは道路を横断しなければならない浜川崎駅、建て替えられてモダンな駅となった弁天橋駅と武蔵白石駅など、それぞれに個性がある。東京都内、多摩地区の無人駅
東京都内といってもJR青梅線の青梅以遠は山間部を走り、人口の少ないところも多い。したがって青梅駅と終点・奥多摩駅の間にある11駅は、すべて無人駅だ。また、山間部に入る手前の平野において、4つの路線が乗り入れる拝島駅の隣の駅である五日市線の熊川駅、八高線の東福生駅が無人駅であるのは興味深い。時間帯によって無人となる駅
完全な無人駅ではなく、駅員が配置されているにもかかわらず、早朝や深夜など時間帯によっては駅員が不在となる「一部の時間帯における無人駅」が都心にもある。国立競技場の最寄りとなるJR千駄ヶ谷駅、信濃町駅、北区の尾久駅(上野東京ラインに乗ると、上野の次の駅)をはじめ、少しづつ増えている。少子高齢化によって退職者の代わりとなる新卒採用の減少、コロナ禍による鉄道会社の業績悪化に伴う人員削減合理化の影響である。サービスの低下を招くだけでなく、障がいのある人が利用するときや事故発生時に迅速な対応ができない、などデメリットもあるだけに業務委託による人的サービスの確保、エレベータやホームドアが未設置の駅においては設置を急ぐなど慎重に対応してほしいものだ。
首都圏は広いので、埼玉県、千葉県、神奈川県などの周辺部においては無人駅は数多い。鉄道を利用するときは、無人駅の情報を事前に入手しておいて慌てたり困ることのないよう対応しておくことも必要であろう。
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