文房具の新しい流れを象徴するような文具店の誕生
文房具が勉強や事務仕事のための必需品だった時代は、IT化の波の中で終わりかけていますが、それでも、筆記具やノート、ハサミや糊などは、生活や仕事の中で、なくてはならないものであることに変わりはありません。むしろ、消耗品としての利用が減った分、一つ一つの文房具選びを、個性として楽しむ人が増えてきました。インクブームやマスキングテープの人気などは、その一端でしょう。ancora(以下、アンコーラ)は、そういう流れの中で、事務機器や文房具のメーカーであるプラス株式会社と、老舗の万年筆メーカーであるセーラー万年筆株式会社が組んで始めた、ギフトショップ的な側面を持つ新しい形の文具店です。
「書く」「描く」を中心にした品ぞろえで、文房具を持つ楽しさや驚きを提供するというのが、そのコンセプト。その一号店は銀座六丁目の外堀通り沿いに路面店としてオープンし、さらに、アンコーラブランドのオリジナル商品は、Webショップでも販売されています。
20万通り以上の組み合わせを愉しめるオリジナル万年筆
これまでにないタイプの文具店らしく、さまざまな、他では買えないアイテムがそろっていますが、個人的には店頭のみで販売している、「アンコーラ My 万年筆」(税込3850円)が気に入っています。この万年筆はセーラー万年筆の「プロフィットJr.」をベースに、軸、キャップ、首軸、蓋栓、尻栓の5つの樹脂パーツがそれぞれ10色、さらに金色か銀色の金属パーツを組み合わせて、自分だけのオリジナル万年筆を作ることができるというサービスです。 まるでかつてのキャンディショップのように、さまざまな色のパーツがディスプレイされている棚から、好きな色のパーツを選んだら、店頭のスタッフがその場で組み立てて、カートリッジインク2本と合わせて、箱に入れてくれます。なんといっても、ちょっとくすませた感じの樹脂の色が良いのです。また、透明パーツも用意されているのも、インクを楽しむ現代の万年筆ユーザーの気持ちが分かっているセレクション。箱入りなのでギフトにも使えます。筆者も1本作りましたが、完全に自分の趣味に偏った、多分、製品化されることがない配色のペンが持てるのは、思っていた以上にうれしいものです。
144色のインク、100色の色鉛筆が試せる
店頭では、他にも、セーラー万年筆の144色に及ぶインクの全てが販売され、試し書きもできるようになっています。海外市場でしか売られていなかったインクまで並んだ店頭は圧巻。試し書きスペースで椅子に座って書けるので、落ち着いてインクや万年筆が選べるわけです。もちろん、アンコーラブランド限定のインクも「桜」「富士」の2色を用意。試し書きはインクや万年筆だけではなく、三菱鉛筆の色鉛筆「ユニカラー」の全100色も試せるようになっています。 紙製品の方も、5色の表紙、3色のリング、4種類の中紙を組み合わせて、3つのサイズのスケッチブックが作れるサービス(税込1320~4070円)や、アンコーラオリジナルのインクカード、アピカの「紳士なノート」の紙で作った原稿用紙(税込440~528円)、イラストレーターのmizutamaさんデザインによるオキナの「プロジェクトペーパー×mizutama」(税込429~528円)など、ここかアンコーラのwebサイトでしか買えない製品がそろっています。
ギフトや自分へのご褒美に使える高級万年筆
もちろん、セーラー万年筆の高級万年筆をベースにした、オリジナル万年筆も用意されています。中でも面白いのは、14金のペン先の「プロフェッショナルギアスリムミニ」をベースに作られた、「誕生石×誕生花の万年筆」(税込2万4200円)。誕生石をイメージしたラメ入りの軸に、誕生花をあしらったペン先と蓋栓を組み合わせたもので、誕生石のイメージの再現度がかなり高くて、良くできていました。しかも、ベースになっている「プロフェッショナルギアスリムミニ」のキャップを付けた状態でたったの11cm弱しかないコンパクトなサイズ感が、とてもデザインにマッチしていて、「持っていたい」と思わせる万年筆だと思いました。スリムミニ用のコンバーターも発売されたし、6月の万年筆を買おうかなあとか考えています。 「黒軸のプロフェッショナルギアスリム」と「白軸のプロフェッショナルギアスリムミニ」をセットにした「夫婦万年筆」(税込4万2900円)も面白いアイデア。濃いグレーの半透明な軸の輝きが見事な「プロフィット/プロフェッショナルギア 銀座ブラック」(税込4万1800円)などは、Webショップからも購入可能。もちろん、店舗に行けば試し書きもできます。
インク工房も開催、Web情報を見逃すな
ギフトを意識したショップというだけあって、オリジナルのパッケージやショッパー、包装紙なども、センスの良いデザインのものでそろえられていて、品ぞろえも含めて、オリジナリティがとても高い店になっています。 また、店頭では不定期ながらインクブレンダー石丸治氏による「インク工房」も開催(要予約)。自分好みのインクを、石丸氏と相談しながら作ることもできます。あっという間に予約が埋まるイベントですので、Webサイトでの開催予定をチェックしてください。筆者は、このイベントで長年求めていた、本当に自分好みのグレーのインク「碧銀」を作ることができました。「書く」「描く」に興味がある人、個性的なギフトを贈りたい人は、店頭またはWebサイトを覗いてみることをお勧めします。ancora(アンコーラ)銀座本店
東京都中央区銀座6-4-8 曽根ビル1階
TEL : 03-6274-6522
FAX : 03-6274-6521
公式HP:https://www.ancora-shop.jp/
Webショップ:https://bungu-shop.plus.co.jp/products/list?category_id=31
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