新型コロナウイルス検査、市販キットでのセルフチェックは危険?

新型コロナウイルス検査について悩む人

新型コロナウイルスの市販検査キットは安くて便利なのでしょうか? 検査の精度や意味について、正しく理解しておく必要があります

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の診断のために行われる「抗原検査」「抗体検査」。これらの検査において重要なのは「精度」です。感度、特異度の高さはもちろん、検査結果の意味や活かし方を正しく知っておく必要があります。

今月26日、新型コロナウイルスの検査キットを不当な表示で販売したとして、消費者庁が数社に対し行政指導を行ったことを発表しました。あわせて市販キットの使用に対する注意が呼びかけられています。詳しく解説します。
 

新型コロナの「抗原検査」「抗体検査」の違い・特徴

新型コロナウイルスの検査法として、よく聞く「抗原検査」「抗体検査」。ごく簡単に言うと、
  • 「抗原」……ウイルスの一部
  • 「抗体」……ウイルスの一部に対して体内にできるタンパク質である免疫グロブリン
を指します。

体内にウイルスがあれば抗原検査で陽性になります。検査時点でウイルス感染の早期であれば「IgM抗体」が確認でき、以前感染していたもののウイルス自体は体内にほぼなくなっている状態であれば「IgG抗体」が確認できます。このウイルスに対してできた抗体が、ウイルスを中和する抗体であれば、それ以降再びウイルス感染した場合に役立つ免疫と判断されます。ただ、抗体検査の結果だけでは、抗体があっても免疫として有効な中和抗体かどうかまではわかりません。
 

新型コロナウイルス検査は保険適用される? 検査の種類・流れ・費用

医療機関での抗原検査で陽性が出た場合、新型コロナウイルスの確定診断となります。陰性だった場合は、確定診断のために再度PCR検査が必要です。ただし、発症2~9日以内の有症状者については、抗原検査キットとPCR検査の結果の一致率が高いため、この時期に抗原検査が有用です。

医療機関での抗原検査の費用は7440円ですが、保険適用で行われる検査の場合、検査を受ける人自身の負担はありません。帰国者・接触者外来を設置している医療機関等において実施する保険適用の検査については、前述の行政検査と同様の観点を有することから、同検査を実施する医療機関に対して、都道府県等から行政検査を委託しているものと取り扱い、当該検査費用の負担を本人に求めないことになっているためです。この条件に当てはまらず、自身の希望で検査を受ける場合は自費になります。自費の場合の負担額は1~2万円ほどの医療機関やクリニックが多いようですが、税金や手技料などを含むか含まないかでも違い、医療施設によって異なります。また、実施していない医療機関もあります。

抗体検査は現在保険適応ではありませんので自費です。現在、日本国内で体外診断用医薬品として承認を得た抗体検査はありません。精度については、検査時期や検査方法によりますが、感度が66.0~97.8%まで、特異度が96.6~99.7%と考えられています。抗体検査可能な医療機関が限定されています。さらに保険診療ではありませんので、費用もすべて自費です。こちらも大体1~2万のようですが、税金や手技料などを含むか含まないかで違い、医療施設によって異なります。
 

市販の新型コロナ検査キット、知っておくべき注意点・問題点

冒頭でも述べましたが、消費者庁は、新型コロナウイルスの検査キットを不当な表示で販売したとして、数社に対し行政指導を行いました。サイト上でも「研究用抗原検査キット及び抗体検査キットについては、国が認めた体外診断用医薬品ではありません」とし、「自己判断で新型コロナウイルス感染の有無を調べる目的で使用しないようにしてください」と呼びかけています。

市販の抗原検査キットは、厚生労働省に認可されていません。認可されていないということは、正しく審査が行われていない可能性があるということです。精度に信頼性がない検査は、そもそも検査として無意味ではないでしょうか。

医療機関も検査だけをしているわけではありません。検査結果を含めて診療を行っているのです。例えていうなら、内視鏡の検査を受けても、がんなどの異変をしっかりと発見できる医師がみなければ、正しい結果が得られません。「検査」を受けたことだけに満足するのでは意味がありません。

また、抗体検査については医療機関でも保険適応になっていないため、信用性についてはまだ不明な部分が多いと考えられます。
 

新型コロナ感染や抗体有無が気になる人は医療機関での検査を

もし新型コロナウイルスに感染していないか不安でどうしても調べたい場合は、医療機関で検査を受けることをお勧めします。より精度の高い検査を受けるのが大切なことはもちろん、検査結果をどう考えるかを教えてもらうことも大事だからです。医療機関では検査を行う際に、精度についても説明があります。100%常に正確な検査はないからです。

新型コロナに感染しているか不安な人、また、抗体があるか調べたい人は、信頼のおける医療機関で検査を受けること。検査自体の意味について正しく説明を受けられるかどうかが大切という点をぜひおさえてください。

■参考
新型コロナウイルスの研究用抗原検査キット及び抗体検査キット使用についての注意(PDF)(消費者庁)
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