身体的DVより怖い夫からの強要

DV夫

先日、内閣府の女性に対する暴力についての専門調査会がまとめた、DV=ドメスティック・バイオレンスの新たな対策についての提言が発表されました。

現状、裁判所が加害者に対し被害者に近寄らないよう命じる「保護命令」申し立てが“身体的な暴力”のみになっている現状について、“精神的”また“性的”な暴力なども含むよう保護命令の範囲を拡大すべきと指摘している点が注目されています。

実際に、こうした見た目ではわかりづらいDVは見過ごされがちですが、実は身体的な暴力よりも深刻である場合もあります。

 

たった一度の過ち。そこから夫からの嫌がらせが過激に

彩乃さん(36歳・仮名)は結婚6年目。夫からの性的いやがらせに悩んでいます。

「結婚した当初から、子供ができないことを夫に責められ続けています。夫は地元で代々続く会社の長男。夫の実家からは結婚した当初から『早く跡継ぎを産んでちょうだい』『息子を産まないなら嫁をとった意味がない』などと言われていました。私も覚悟はしていたので、夫の求めには必ず応じてきましたし、妊娠に良いといわれることは、食事やサプリメント、運動、ご祈祷に至るまで何でもしてきました。もちろん医学的な検査も受けましたが、何の問題もありませんでした。ちなみに、夫のほうも検査は受けました。精子は少なめでしたが、妊娠が不可能なほどではないという診断でした」

そんな子作りプレッシャーのなか、彩乃さんは一度だけ過ちを犯してしまったそうです。

「夫と義実家へのストレスが最高潮になっていた結婚3年目の時、学生時代の仲間と久しぶりに同窓会をしました。その際ある男性に、酔った勢いで夫のことを相談しているうちに精神的に不安定になって号泣してしまって……。気づいたら彼の家にいました。もちろん、仲間の女性に連絡を取って彼女の家に泊まったアリバイ作りをしたのですが、狭い田舎町なので、誰かが私たちのことを見ていたんでしょうね。彼の家に泊まったことはすぐに夫にバレてしまいました」

子供ができない上に浮気となれば、即離婚も覚悟していた彩乃さん。しかし夫は離婚を選ばず、その代わりに彩乃さんの弱みを逆手にとって、性的ないやがらせをしてくるようになりました。

「『ほかの男にしたことをしろ』『けがらわしいやつだ』など、ひどい言葉を投げつけながら性行為を強要してきます。そのほかには家の中で下着を身に着けずにいるように命令して、その様子を動画で撮影したり、ここでは言えないようなこともたくさんあります。コロナ禍によるステイホームで彼もストレスがたまっているのか、言動もエスカレートしてきている気もします。でも、もともとは自分の過ちから起きたことだと思うと、今は我慢をするしかないです。子供ができれば、夫も変わってくれるのではと思っています」

夫の望むように子供が生まれれば性的いやがらせもなくなるかもしれないと期待している彩乃さんですが、すでにパートナーの精神面に問題がみられる以上、その望みも薄いと思われます。自分に過ちがあったことが足かせになり「逃げよう」という意識がなくなっていることに気づいてほしいと伝えました。ただご自分の生活の保証がないからか、今の状態がベストと考えている部分もあります。大変複雑な状況です。

夫婦間であっても性的DVは成立します。

「自分が悪いから」と思わず「おかしいことはおかしい」「嫌なものは嫌」と自分の気持ちをしっかり尊重し、まずは外部への助言を求めることが大切です。


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