春は変化の季節
春になると憂鬱になるのは、花粉のせいだけではないかもしれません。
花粉や寒暖差で体調も思わしくない中、自分ばかり忙しくて貧乏くじを引いているような気がする……。そんなふうに感じる時は、自分の行動パターンを振り返ってみましょう。
特徴1:断れない
多忙な時期は、時間を逆算して「あと何分!」と作業をすることも増えますね。あれもしてこれもして、と脳みそはフル回転。「なんとか終わりそうだ」とようやく胸をなでおろした時、あるいは、タスクのどれかを先延ばしにしなければと優先順位を考えている時、
「ついでにこれもやっておいて」
と言われたら、あなたはどうしますか?
「なんで自分ばっかり……」と思いがちな人は、断るのが苦手です。なんで今!?と戸惑いながら、「えっ、あっ、はい……」と、つい引き受けてしまいます。「ついで」にできる「ちょっとした」ことなら、と。引き受ける前に、そんな些細なことなら頼んできた人がやればいいのでは?という考えは浮かびません。
断れない理由は人によって様々ですが、ベースにあるのは「断ってはいけない」という思い込みです。「期待には応えなければならない」「断ると嫌われるのではないか」「能力のない人間だと思われるかもしれない」と、無理して引き受けていませんか?
ちょっとしたことを断ったくらいで、関係は悪くなりませんし、自分の評価も下がりません。「悪いけど、今は無理」と断ってみましょう。意外とあっさり断れるはずです。
少々ヘヴィな案件を断る時には、「大変そうですね(共感)。手伝いたいのですが(自分の気持ち)、私もいま手一杯なんです(自分の状況)。他の人に頼んでもらえますか?(提案)」などと言えばよいでしょう。
特徴2:頼めない
断れない人は、人に頼むのも苦手です。周囲を頼れない人のベースにあるのは「迷惑をかけてはいけない」とか「できないやつだと思われたくない」といった考えです。しかし、自分が何かを頼まれた時を想像してみましょう。ほとんどの場合、「迷惑をかけられた」とは思いませんし、「できないやつ」とまで考えることはまずないでしょう。
「断られるのが怖くて頼めない」という人もいます。断られると「自分は嫌われているのではないか」などと深読みしてしまうのです。しかし実際は、相手も忙しいといった単純な理由で断られることがほとんどです。
「自分が全部把握しておかなければ」とか「自分がやったほうが早い」という考えの人も少なくありません。そう、仕事をため込む上司にありがちなタイプです。過保護の親もそうですね。でも、それでは人は育ちません。
「今、テンパってるから、手伝ってくれない?」と頼んでみましょう。「今、仕事どんな感じ?」などと相手の状況を尋ねるのではなく、自分が困っていることを簡単に説明してから頼むのがコツです。
特徴3:手を抜けない
こだわりが強すぎて、自分で余計な仕事を増やしてしまっている人も少なくありません。他の人が誰も見ていないようなところに神経を使いすぎて、消耗してしまうのです。完璧主義で「自分ルール」が多いのが特徴です。例えば「掃除機は毎日かけなければならない」とか「本の背表紙は揃えなければならない」とか「お弁当に冷凍食品は使わない」とか。
仕事の面では、パワーポイントのクオリティが高く、アニメーションをふんだんに使ったり動画を入れ込んだりした、わかりやすくスタイリッシュなプレゼン資料を作るようなタイプの人です。
いずれも、サービス精神が旺盛で、細かいところまで気を配れる「できる人」だと評価されています。しかしそれらのこだわりは、必要な範囲をはるかに超えた、趣味の領域であることが少なくありません。
楽しんでやれているうちは、いいでしょう。でも「なんで自分ばっかり……」と思うようになったら、相手が求めているクオリティと、自分が提供しているもののレベルにズレがないか考えてみましょう。
注意したいこと
これまでお話ししてきたのは、安全な関係においてのことです。もしも「断ったり頼んだり手を抜いたりしたら、自分が不当に傷つけられるのではないか」という恐怖があってできない場合は、相手との間に、暴力を伴う力関係があると考えられます。夫婦間ならDV、親子間なら虐待、職場や学校ならハラスメントやいじめの可能性がありますので、相手との関係の苦しさを専門機関に相談してみましょう。
「なんで自分ばっかり……」と思うのは、自分が疲れているサイン。断ったり頼んだり手を抜いたりして自分をケアする時間を作り、忙しい春を乗り越えましょう。