子育て

家事の役割分担は「なくす」が正解! モメる夫婦に必要な発想転換

日々発生するちょっとした家事や育児の役割分担への不満が、夫婦間のイライラの元になっていることは多いものです。話し合いにより解決できればよいのですが、そうもいかない家庭は多いでしょう。家事育児の役割分担が不向きというご家庭は外注化を考えてはいかがですか?

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

<目次>

家事の役割分担は「なくす」が正解? 名もなき小さな仕事たち

家事の役割分担は「なくす」が正解?

子どもが毎日学校へ持っていく水筒洗い、お茶作りも、やることを分解すると小さな作業がいっぱい……

一般的に家事・育児というと、料理や洗濯、掃除、子どものお世話などがパッと頭に浮かびますが、実際に1日を回している身からすると、「そんなもんじゃない」というのが本音。「それの10倍、いや100倍ある」と言う方もいるでしょう。

例えば、まだ大人と同じ食事ができない赤ちゃんの場合、ご飯や野菜をすり潰したりなどした離乳食をまとめてつくり置き、毎回の食事で解凍したりして準備をし、ひと口ずつ食べさせてあげるのはかなり根気の必要な作業です。親は自分の食事を摂るどころではない中、それとは別に家族のご飯も用意する必要があります。

その他、コロナ対策として増えた

・毎日、体温を測って学校の健康カードに記入する
・学校に持っていく水筒の準備から、パーツごとの洗い物
・小さな子どものマスク紐の長さ調整

といったことまで……ひとつのタスクとしては認識されていないかもしれないけれど、滞りなくこなしている作業って本当にたくさんあります。

このような、あえて言葉には出されないけれど、毎日際限なく繰り返されている作業をまとめて夫婦の役割分担へ活用する目的でつくられた、「名もなき家事・育児のタスク表」がネット上で時おり話題になっています。
 

「名もなき家事・育児のタスク表」は、家庭により向き・不向きがある

なぜタスク表がたびたび話題になるのか。それは、夫婦で共働きが主流の時代になったにもかかわらず、家事・育児の大半を母親が続行しており、時間的に回らなくなってきているからです。私が受ける育児相談でもよく聞く話ですが、何かを手放していかないと、体だけでなく、心も摩耗してしまうのです。

以前AERA誌上で紹介された「共働きの家事育児100タスク表」も、保育園に子どもを預けている共働き家庭を想定して作られており、夫婦ともに忙しい中での家事分担を楽にするということが目的のようです。

ただ、一見便利そうなこのタスク表も、ご家庭によっては向き・不向きがあるように思います。「これは便利そう!」「さっそく夫に見せてみよう」と言える方は、きっと向いているご家庭です。その場合は、オリジナル版をもとに自作した方が、よりそのご家庭にカスタマイズされたバージョンになると思われます。

「やる気はあるけれど、何をやっていいのかわからない」というパパは、このように細かく可視化されることで、全く気づいていなかった「名もなき家事」を目の当たりにし、ママの普段のイライラの原因をそこに見出すかもしれません。ママが自作したバージョンを見て「なるほど」と意識を変えてくれるパパはいいですが、なじみの深い雑誌AERAに載ってたという触れ込みの方が、腑に落ちるようであれば、まず第一段階はオリジナルを使うのも手かもしれません。

しかし実際、このタスク表が活用できる割合はどれくらいなのでしょう。意外と「活用したくてもできない」と悩んでいるご家庭の方が多いのではないかと私は感じています。

心理カウンセラーという仕事上、お悩みを抱えている親御さんからのお話を多く聞くので、その点で偏りがあるのかもしれませんが、このような「便利そうなもの」が取り沙汰されると、逆に「うちはムリ……」と心を痛めているご家庭が多いのも事実ではないかと思うのです。
 

家電、外注……家事育児の分解リストを「手放す化」の検討に使う

「このタスク表が手に入ったところで、夫に相談の余地なし」
「だから、最初から話にも出さないだろうなと思う」
「この表を活用してくれるような夫であれば、元から色々と協力してくれていそう」

そんなお話も聞きます。今は、働くママが7割を超えているのだから、夫も家のことをすべきなのはもっともなこと。でも実際にはそうはいかず、タスク表すら使えない。
 
こういう場合、そのことを考えること自体がストレスになることも多いので、方向を切り替えるのが賢明です。心の中にあふれる文句や不満が、私たちの感情を逆なですることが多いからです。

やりやすいのは、タスク表の中から手放すことが可能なものを拾い出すことでしょう。どれかを諦められないか、諦められないのなら外注できないか。自分もできない、夫もできない、ならば外注。こういう発想は、今後ますます女性が外に出ていく上で重要になってきます。
 
なんとか回してしまうとなんとか収まってしまうので、手放すことが可能な家事を可視化するのは非常に大切だと思います。
 

「食洗器では汚れが落ちない?」……家電懸念派も妥協が必要

「食洗機はきれいに洗えていないのでは」という懸念がある人もいるでしょうが、妥協は必要

「食洗機はきれいに洗えていないのでは」という懸念がある人もいるでしょうが、妥協は必要

外注というと、「家事代行」や「ハウスクリーニング」という形を想像する方が多いかもしれませんが、家電に任せるのもそのひとつ。1日の家事で大変だなと感じるのが、3度の食事を作ることはもちろんのこと、食べた後の食器の後片づけ、洗濯物、掃除。まともにやっていたら、かなりの時間を要します。食器の後片づけは食洗機に、洗濯物は干すのが手間なので乾燥機を、そして掃除はロボット掃除機……。夫を頼れないのなら、家電を頼るべきというのが私の考えです。
 
食洗機をすでに使っている方の中には、それ自体が食器棚化している方もいるでしょう。毎日使う食器は似通っていたりするので、洗い終わった食器をそこから出してまた使うことで、結果的に食器の片づけが省かれていることは多かったりします。
 
洗濯乾燥機も、そこから出して使う、つまりタンス代わりにしているご家庭もあります。タスク表の中でも、とくに時間がかかるこれらの家事を機械に任せ、それ以外の「名もなき家事」に自分の力を配分するというのは、なんとか日々を回すための1つのアイデアだと思います。

「食洗機はきれいに洗えていないのでは」「乾燥機は縮みが心配」「ロボットでは角を丸く掃除している」と気にされる方もいますが、機械でさばけない「名もなき家事」よりは、扱いやすいのがこれらの家事。理想はすべてを夫婦で首尾よくこなすことかもしれませんが、それができない以上、できる部分での妥協は必要で、タスク表のうちの家電消化できる部分を拾い出すというのは、適切な妥協案だと思います。

大きな家事を家電に頼り、家電でできないタスクを自分でやる。これが夫が頼れない場合のタスク表の活用法ではないでしょうか。自分でやらないのに、家電導入も反対、というご家庭もあるかと思いますが、そこはしっかり現状の矛盾を伝えていかないと身が持ちません。毎日のイライラや夫婦喧嘩を減らすことにもつながるはずですので、ぜひ一考してみてください。

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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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