世帯年収は学力に影響する?
世帯年収が高いほど、子どもに教育費をかけることができるようになるため、学力にも少なからず影響があるという調査研究結果(※)もあります。では、世帯年収1000万円以上のご家庭では、どんな習い事をしているのでしょうか?今回オールアバウトでは、小学生以下のお子さんのいる世帯を対象に、「子育てのお金に関するアンケート」調査を実施しました(2020年12月実施。子育て世帯の約300人が回答)。その回答から、世帯年収が1000万円以上あるご家庭はどんな習い事をしているのか、まとめてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。
世帯年収1000万円以上の家庭では、どんな習い事をしている?
世帯年収が1000万円以上ある家庭の子どもたちは、どんな習い事をしているのか、見てみましょう。一番多かった習い事は「学習塾・通信教育」で52.4%。次に「水泳」33.3%、「ピアノ・エレクトーン」27%、「英語・英会話」25.4%という結果でした。では、どのような理由や目的を持って習い事をしているのか、寄せられたコメントの一部をご紹介します。
■学習塾・通信教育に通っている理由
- 学習塾は高いと思っているが、中学受験のために通っている。
- 塾代は高いけれど受験のために、2人とも学習塾に入れている。
- 第1子が小学生の時は、月10万円くらい中学受験塾や習い事にお金をかけていた。将来の選択肢を増やしてあげたかった。
「学習塾・通信教育」に通っている理由は、受験のためというのが多く、無事進学できるまでは学習塾の費用は高くても仕方ない……という親の思いが伝わってきます。一方、学習塾や通信教育の金額に納得しているご家庭のご意見もありました。
- 学習塾は適正な料金だと思う。家にいると、スマホで動画を見ているばかりで、勉強しないため必須。子どもたちも楽しんで通っている。
- 塾を嫌がるので、気休め程度に通信教育をさせている。本人は気にいっているし、コスパがよい。
- バス代含めた金額で、児童館への送迎もあるため利用しやすく、子どもから習いたい、と言い出したため。
- 喘息持ちなので体力作りのため。
- 両親ともに水泳をやっており、家族全員の共通の趣味であり特技でもある。子どもたちは選手育成コースであるため、月謝は妥当な料金だと考える。
- 水泳は、基礎体力の向上と泳力獲得のため。
■英語・英会話に通っている理由
- 通信の英語教材をやっているが、親もそれなりに時間を割かなければならない。また、日々の生活に習慣として取り入れるのは難しいと痛感している。
- 実際英語を学んでいるというよりも、授業開始までの外遊びが楽しくて通っている。外で遊んだり体を動かしたりする機会が少ないので、それも含めての費用とみている。
- 考える力や語学力をつけさせるために、まずは通信教育から始め、来年以降は通いの習い事を検討している。
- 英語は将来必要なため、身近に感じてほしくて習わせている。学童タイプの英語教室に通っているが、月謝は高いと感じている。
世帯年収と習い事の月額支出
世帯年収と習い事の月額料金をグラフ化してみると、以下のようになりました。世帯年収と習い事の月額支出
世帯年収が1000万円以上の場合、習い事の月額料金は2~4万円という場合が多くなり、1000万円以下だと月額2万円までが多いということがわかります。
同じ習い事でも月謝が安い教室もあれば、高い教室もあります。家計に余裕があれば、高い教室に入れて質の高いものを与えたいと思うものでしょう。次にも挙げていますが、世帯年収が増えると習い事の数も増えがちなため、結果的に金額も増えていきます。
世帯年収と習い事の数
3つ以上習い事を掛け持ちしている場合を調べてみると、年収1000万円以上の世帯で27%、500~1000万円未満の世帯で17%、500万円未満で3%となりました。習い事を3つ以上掛け持ちしている場合、どのような習い事を組み合わせているのか、掛け持ちしてでも通わせている理由などを聞いてみました。
- 習い事代は高い(サッカー、塾、そろばん)と思っているが、学校以外でのスポーツや学習の成長を感じて親子で取り組んでいるため、必要経費だと考えている。
- 料金は適切(体操、塾、水泳、ピアノ)で、基本的には体を動かしたり、感性を身につけたりさせたいから通わせている。通信教育は、学習習慣を身につけさせるため。
- 月謝は高いと思うが(英語・ピアノ、ダンス、通信教育)、子どもがやりたいと意欲的だし、将来の選択肢を増やすためにも通わせている。
- 自発的に通っている(塾、将棋、ドラム)。将棋道場は1回1000円で安いと思う。
- 小学生の間にやりたいことを幅広く見てほしい。いろんなジャンルを基礎からまずは習い始め、本人の興味があるものを見つけてほしい(塾、ロボット教室、英語、水泳、ピアノ、ドラム)。
- 習い事代としては高いと感じるが(ピアノ、体操、知能教室、絵画造形)、それ以上に経験や体力・精神などの向上を期待して習わせている。
子どもが興味や関心を持つものには、できるだけ経験させたいという親の気持ちがあっても、3つ以上の習い事を掛け持ちするには、やはり経済的に余裕があり、送迎ができる親や祖父母の存在が必要になります。
中学受験をする場合、高学年になると塾が忙しくなるため、習い事を減らさざるを得ない状況になります。また、中学生になれば部活があるため、学習塾以外の習い事が極端に減るのも特徴です。
いかがでしょうか? 世帯年収が多くなればなるほど、学習・運動・教養と多岐にわたり習い事をさせることができます。しかし、世帯年収が1000万円以上あるからといって、全てにおいて金額や内容に納得しているわけでもありません。
子どもの習いたいという意思を尊重したり、「目標達成のために」と習い事をする目的が明確になっていたりする場合は、習い事のお金が高くても「生きたお金」として捉えているといったことがわかりました。
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【参考文献】
- ※平成29年度「学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究」(お茶の水女子大学)