ズバリ答え!財産、収入、成長、そして価格
株式投資とはつまり、「株の価値を見極めて、安いと判断したものを買う」ことです。少し難しいのですが、会計用語に「割引現在価値」という言葉があります。詳しい説明は避けますが、この考え方では、株の価値は「企業が持っている財産と、収入と、成長性で決まる」とされています。だから、理想は「財産をたっぷり持っていて、収入もたっぷりあって、成長性の見込みも高い会社」の株を「激安で買う」ことです。ちなみに、ガッツリ勉強したい方はジョン・バー・ウィリアムズ著「投資価値理論」(1)という本があります。数式ばかりで難しいですが、同書をご参考ください。
株式投資は結婚と似ている?
よく、「株式投資は結婚と似ている」と言われます。だから、ここでは結婚にたとえて考えてみましょう。たとえば、あなたが「お金持ちになりたい!」と考えているとします。できれば、「お金持ちになれなきゃ、人生に意味がない」くらいの過激な思想をもった自分を想像してみてください。そんなあなたの前に、何人かの結婚相手候補がいます。あなたはお金持ちになりたいので、「誰と結婚すればお金持ちになれそうか?」と真剣に考えます。このときにまず注目するのが、結婚相手の「財産」と「収入」、「成長性」です。
投資先選びは、結婚相手選びと似ている
ポイント1:財産
1つ目の判断材料は「財産」です。結婚で考えてみましょう。あなたが「とにかく手堅くお金持ちになりたい」と考えるなら、財産がたっぷりある相手が望ましいでしょう。たとえば、「借金まみれで、これから定年までローンの返済に追われている人」か、「すでに1000万円くらいの貯金がある人」なら、後者のほうが有望です。株式投資は「企業の一部を買収すること」です。
だから、100億円の財産を持っている会社を50億円で買収できれば、かなりお買い得といえるでしょう。
ポイント2:収入
2つ目の判断材料は「収入」です。結婚で考えてみましょう。残念ながら、あなたの結婚相手候補には、「すでにお金持ちな人」がいないとします。そんなときは、なるべく収入がたっぷりある相手が望ましいでしょう。たとえば、「年収100万円で生きるだけでも大変な人」か、「年収1000万円で懐に余裕がある人」なら、後者のほうが有望です。これは株式投資も同じです。
たとえば、同じ10億円の予算で買収できるとしたら、「利益が1億円」と「利益が2億円」の似ている2社があったら、後者のほうがお買い得だと期待できます。
ポイント3:成長
3つ目の判断材料は「成長」です。また結婚の話で考えてみましょう。残念ながら、あなたの結婚相手候補には、「すでにお金持ちな人」も「高収入な人」もいないとします。そんなときは、なるべく「成長できる見込みがある」相手が望ましいでしょう。たとえば、「無気力で働くつもりがなさそうな人」か、「快活で生き生きと働きそうな人」なら、後者のほうが有望です。これは株式投資も同じです。
たとえば、同じ利益を出す会社に投資するにしても、「これから衰退の一途をたどりそうな会社」と「まだまだ伸びそうな有望な会社」なら、後者のほうがお買い得といえるでしょう。
ポイント4:価格
4つ目の判断材料は「価格」です。また結婚の話で考えてみましょう。幸運にも、あなたは素晴らしい結婚相手を見つけました。結婚の話で終わりなら、「良いパートナーを見つけて、結婚してめでたし」です。ですが、ここでは「私と結婚をしたいなら、お金を払いなさい」と言われたとしましょう。無理やりな設定ですが、ここでは株式投資について説明するのが目的です。だから、この結婚は「特殊なものなのだ」とお考えください。
あなたは考えます。「この人と結婚するために、私はいくらまでなら支払えるのだろうか?」「この人との結婚には、いくらの価値があるのだろうか?」この損得勘定をしたうえで、「安い」と思えば結婚をするし、「高い」と思えば結婚を見送るのがよいでしょう。
たとえば、10億円の財産を持っている人と結婚するときに、「結婚したいなら1000万円を払え」と言われたとしましょう。1000万円というお金は高いですが、それでも結婚したら「10億円の財産」と自分が紐づくのです。(日本の法律的には厳密には違うでしょうが、ここでは「そういうものだ」と考えてみてください)
そう考えると、この結婚は「安い買い物」でしょう。一方、一文無しで借金まみれな人と結婚するときに、「結婚したいなら10円を払え」と言われたとしましょう。10円というお金は安いですが、それでも結婚したら「結婚相手の借金」と自分が紐づきます。これは「高い買い物」でしょう。
株式投資もこれと同じです。「会社の財産や収入、成長の一部が自分のものになる」と考えたときに、「株価は高いか?安いか?」を判断する必要があるのです。
まとめ
以上が、株式投資に欠かせない4つの判断材料です。「株式投資は結婚と似ている」と考えると、分かりやすくないですか?さらに詳しく株を分析する方法については、これまでにもたくさん記事を書いてきました。ぜひ、本記事とあわせてお読みください。
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【参考文献】
- 書籍:ジョン・バー・ウィリアムズ, 2010, 投資価値理論, ぱんろリーリング
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