亀山早苗の恋愛コラム

私は不幸?あのときの義実家への「違和感」を軽視したばっかりに…

親が反対しようと、本人たちが結婚するという意志をもっていれば結婚できるのだ。だが、現実はどうだろう。やはり両家の親に挨拶に行く人が大半だし、親に反対されれば考えを翻すケースもあるだろう。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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相手の親を意識することなく結婚することはできるのか

嫁姑

「結婚」は憲法24条において、「両性の合意のみに基づいて成立」すると規定されている。つまりどんなに親が反対しようと、本人たちが結婚するという意志をもっていれば結婚できるのだ。だが、現実はどうだろう。やはり両家の親に挨拶に行く人が大半だし、親に反対されれば考えを翻すケースもあるだろう。

「結婚したから今度、紹介する」というわけにはいかないことがほとんどだ。相手の親に問題があるように見えた場合も、結婚をためらう人は少なくない。

 

彼の親に借金が

2年つきあった彼と結婚を約束したものの、それから1年近くがたっているというユウコさん(35歳)。

「コロナ禍で、なかなか結婚できなくてと友人知人には言っていますが、本当は別の理由で迷っているんです」

1年と少し前、ユウコさんは彼の自宅へ行った。彼の親に会うためだ。

「彼は、うちは親子でも別人格だとみんな思っているから来なくてもいいと言ったんです。でもこういうことはやはりきちんとしておかないとと私が強行突破。彼はしかたなくついてきた感じでした」

彼の両親は、お世辞にもきれいとは言えないアパートに暮らしていた。ユウコさんが行くと歓迎してくれたが、父親は昼間からお酒を飲み出す。

「酒ばっかり飲んで。この人がちゃんと働いてくれれば、息子に苦労させなくてすむんだけどね、とお母さんがいきなり泣き出すし。『よろしくね』と手を差し出されたので思わず握ったんですが、あとから考えると握るべきではなかったと思いました」

というのも、彼はユウコさんには黙っていたのだが、毎月、生活費として親に仕送りをしていた。家計は母親のパート代と彼の仕送りでまかなわれていたらしい。そこでよろしくねと言われて手を握ってしまったのだから、ユウコさんの給料も仕送りにあてなければいけないのではないか。彼女はそう感じたのだという。

「お父さんはかなりアルコールに依存している状態に見えました。『おまえ、ずいぶんな美人を連れてきたもんだな』とニヤニヤしながら、私をなめ回すように見るのもすごくイヤで。帰り道、彼に『ごめんな、あんな親で』と言われたんですが、悪口も言えないし褒めることもできないし困りましたね」

その後、彼から「実は親には借金がある」とも聞かされた。父親はもとは腕のいい建築関係の職人だったのだが、大けががきっかけで働けなくなったこともわかった。

「借金の額は500万円。知人数人から借りているので利息は高くないし待ってもくれる。だから彼がボーナスで少しずつ返しているそうです。それを聞いて、ますます私たちは結婚できるのかしらと思いました」

ただ、どうしても彼にそういう本音は言えないまま。コロナ禍を理由に結婚を引き延ばしているのが現状だ。

「彼と家庭を作りたい気持ちはあるんです。でもあの両親にお金をせびられるのは目に見えている。そこが怖いんですよね」

彼女はそう言って、大きなため息をついた。

 

嫁役割を期待されて

ひとりっ子同士の結婚はむずかしい面がある。すでに結婚していても、親を意識せずにはいられない人もいる。

「私たちはふたりで話し合って、それぞれの親のめんどうは自分でみる、相手に負担はかけないと約束して結婚したんです」

アイカさん(38歳)はそう言う。結婚するにあたって、特に両方の両親から反対はなかった。同い年の彼と結婚して5年。今は3歳になる双子がいる。

「結婚してから、親との距離の取り方が彼と私では違うんだなと何度も思いました。私はそんなに頻繁に親と連絡をとらないんです。父も母も定年にはなりましたが、今も嘱託で働いていますし、休日はそれぞれに趣味に没頭して生活を楽しんでいる。第二の新婚生活を邪魔しても悪いので(笑)。ただ、彼の両親はお父さんがサラリーマンで、すでに定年で家にいるみたいなんです。義母はもともと専業主婦、夫婦仲もよくないので、夫が頻繁に行っています。ちょっと行かないと義母から電話がかかってくる。働きながら双子を育てるのは大変なのに、週末、夫が実家に帰ってしまってまったく休めないことも多々ありました」

結婚前は、夫がそれほど実家に帰っているとは知らなかったアイカさん。実家に寄って帰るという夫に「こっちのほうが大変なんだから早く帰ってきてよ」と言ってケンカになったこともある。

「義母は子育てにも口を挟んでくるんです。夫が少し行かないとうちに急にやってきて、『離乳食、出来合いのをあげてるの? 自分で作ったほうがいいわよ』とか。仕事をしているから時間がないのをわかっているはずなのに。しかもじゃあ、手伝ってあげるとは言わないんですよ。一度、どうしても仕事で遅くなることがわかっていて、夫もどうしても早く帰れないというとき、思い切って義母に頼んだんです。そうしたら『私が今まで、あなたに何か頼んだことある?』と言われて。夫の実家のほうが近いのに、しかたがないから実母に頼みました」

それでいて具合が悪くなると、「アイカさん、看病くらいしてよ」と命令口調になる。夫はわかっているので「行かなくてもいい」と言うが、実際には看病してやってほしいと思っているのが見え見えなのだ。

「私は行きませんけどね。実際、行っている時間はないので。ただ、結婚してひとつの独立した家庭をもっている私たちが、どうして夫の両親に振り回されなければいけないのかという憤りが常にありますね」

まだ介護問題が発生しているわけでもないのに、夫の親に家庭をかき回されている子ども世代。このままだと夫婦関係が危ういとアイカさんはつぶやいた。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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