女性の基礎体温……体質判断の指標にもなる基礎体温表
基礎体温は女性の体質を測る指標になる
つまり眠っているときの体温なのですが、睡眠中は体温を測ることができません。そこで、朝目が覚めたらその場ですぐ測ることで、より基礎体温に近い体温を知ることができます。女性は男性と違い月経があります。そのため、ホルモンの変動により心身ともに変化が出やすいと言えます。
筆者が行う漢方相談には、基礎体温を測って来ていただくことが多いです。基礎体温表を見せていただくことで、毎月の身体の変化はもちろんのこと、月経や排卵の様子なども把握しやすく、体質を判別する上で大変有用な指標になります。
女性の基礎体温の平均は? 低温期・高温期の体温の違いと平均月経周期
基礎体温は、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の変動により、低温期と高温期の二層に分かれます。一般的に、低温期は36.3℃前後、高温期は36.7℃前後とされ、低温期と高温期は0.3~0.5℃の差があることが理想とされています。また、正常な月経の周期は25~38日で、理想は28日±3で。低温期・高温期ともに14日前後が理想です。
基礎体温からわかること・測るメリット
2つのホルモンバランスの影響から、女性の身体の調子や気持ちなどが変化しやすくなります。基礎体温を測るメリットの一つとして、自分自身でそれらの変化をある程度予測できることが挙げられます。また、自分が今どの時期なのかを把握することで、時期に応じた身体づくりにも役立ちます。例えば、高温期には黄体ホルモンが分泌され子宮内膜が厚くなっていくため、中医学では、身体を温め、血流を良くすることで、より子宮内膜の環境が良くなり、内膜の厚みや感受性が維持できるようになると考えられています。
また体質によっては、基礎体温が二層に分かれない、なかなか高温期にならない、周期が長いまたは短いなど、様々なタイプの方がいらっしゃいます。中には排卵がしっかり起きにくい「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」や、卵巣機能がきちんと働いていないケースなども考えられるため、原因となる疾患がないかどうか調べることも大切です。少しでも気になる点がある方は、一度婦人科を受診し、検査されると良いでしょう。
基礎体温の正しい測り方・注意点・婦人体温計の選び方
基礎体温は、朝目が覚めたら起き上がる前に、できるだけ動かず寝たままの状態で測りましょう。できるだけ毎日同じ時間に測れるとなお良いです。婦人体温計の先を舌の裏の奥(付け根)にあて、測り終わるまで口を閉じておきます。婦人体温計は、一般的な体温計と違い小数点第2位まで測ることができ、一般的な体温計では測りきれないより細かな体温の変化を測ることができます。そのため、基礎体温の測定には必ず婦人体温計を用いましょう。また、婦人体温計には予測式と実測式があります。忙しく、時間を取って測ることが負担な方には、検温時間が短い予測式がおすすめですが、実測式の方がより正確と言えます。
途中で起きてトイレなどに行った日やお酒飲んだ日や、測る時間の違いによって多少のズレが出てくることがあります。できるだけ誤差の少ない基礎体温表にするために、毎日測定・記録するのが望ましいですが、毎日測ることがストレスになるようだったら、無理をせずに2~3日に1回程度の計測でも大丈夫です。
体質の見極めにも重要な基礎体温……まずは1ヶ月間、計測を
漢方相談では、詳しく問診を行い一人ひとりの体質を見極めることが重要になっていきますが、冒頭に述べた通り、その際に基礎体温も参考にします。また、中医学では、低温期には潤い(陰)が、高温期には身体を温める力(陽)が必要と考え、それぞれを養う漢方を用いるのですが、それらの処方をする際にも基礎体温を参考にすることが多いです。これから基礎体温を測ってみようという方は、まずは1か月測ってみて、ご自身の体温の変化を見てみてください。初めは慣れずに「測り忘れた!」という日があっても構いません。少しずつ朝測ることに慣れていきましょう。ご自身の基礎体温表で、「これはどうなんだろう……?」と気になることがあった場合は、ぜひ漢方の専門家に相談してみることをお勧めします。