12月に翌年分の生命保険料を支払った場合は、どの年の年末調整・確定申告にあてはまる?

年末調整の手続きができる期間は会社によりますが11月下旬~12月始めがほとんどです。私たちが納めている所得税には一定の所得控除があり、これを利用して課税所得を少なくすることによって節税することができます。その中の一つが生命保険料控除です。

生命保険料控除は、1月から12月に実際に支払った保険料を申告できます。12月ギリギリに払った場合は年末調整には間に合わず、確定申告をすることで税金が戻ってくることがあります。

今回は、年末調整に間に合わない保険料の支払いについて具体的なケースを挙げて解説します。
 

ケース1‥‥11月20日に契約して最初の保険料引き落とし日が12月27日の場合

保険の種類:終身保険
保険の契約者・被保険者・保険料負担者:Aさん
契約日:令和2年11月20日
保険期間:終身 
保険料:月払いの口座振替
保険料の引き落とし日:令和2年12月27日(翌月27日払いの後払い)

この場合に支払った保険料は、令和2年の生命保険料控除の対象ですが年末調整の提出期限には間に合いません。令和3年3月15日までに確定申告をすることによって、還付を受けることができる可能性があります。確定申告をする時にも控除証明書の添付は必要ですので、手元にない場合には、保険会社へ連絡しあらかじめ発行もしく再発行の依頼をしておくと安心です。
 

ケース2…保険の契約日は12月20日だが、翌年1月に保険料を後払いした

保険の種類:医療保険
保険の契約者・被保険者・保険料負担者:Bさん
契約日:令和2年12月20日
保険期間:終身 保険料:年払いの口座振替
保険料の引き落とし日:令和3年1月27日(翌月27日払いの後払い)

生命保険料控除は、生命保険料を支払った日がいつなのかで判断するため、この場合は令和3年に支払っているため、令和3年の生命保険料控除の対象です。
 

ケース3…11月に翌年1年間の年間保険料を支払った

保険の種類:個人年金保険
保険の契約者・被保険者・保険料負担者:Cさん
保険期間:65歳満了 
保険料:年払いの口座振替
契約日:令和2年11月20日
保険料の支払い日:令和2年11月20日(当月払い)

令和2年11月に翌年にまたがった1年間の保険料を支払っています。この場合は、実際支払った年である令和2年に支払った、1年分の保険料が控除の対象となります。令和3年3月15日までに確定申告をすることになります。
 

ケース4…長期の火災保険に加入した

保険の種類:火災保険(地震保険付帯)
保険の契約者・被保険者・保険料負担者:Dさん
保険期間:平成29年12月10日~令和9年12月10日(保険期間:10年)
保険料:10年長期一括払い・地震保険5年自動継続(1年目と6年目に5年間分ずつ地震保険料を支払う)
保険料の引き落とし日:平成30年1月27日に、火災保険料10年分と地震保険料5年分、次回5年後に後半5年分の地震保険料のみ引き落としとなる。

火災保険料は控除の対象にはなりませんが、地震保険料は控除を受けることができます。具体例は平成30年1月27日に5年分の地震保険料を支払っています。この場合、令和2年に地震保険料は支払っていませんが、平成30年1月に5年分の地震保険料を支払っているので、保険料を5年(地震保険の契約年数)で割った額を毎年支払ったとして地震保険料控除を受けることができます。

保険会社から毎年10月くらいに「地震保険料控除証明書」が送付されてくるので、毎年年末調整で地震保険料控除の手続きをすることになります。手元に控除証明書がない場合には、代理店や保険会社へ連絡すると2週間くらいで再発行ができます。期限ぎりぎりになる前に余裕をもって準備しましょう。
 

ケース5…保険期間の途中に解約してしまった

⽕災保険(地震保険付帯)を保険期間中に解約をして解約返戻⾦を受け取ったが、⼿元にある控除証明書は解約する前のものとします。

保険の種類:火災保険(地震保険付帯)
保険の契約者・被保険者・保険料負担者:Eさん
保険期間:平成29年12月10日~令和9年12月10日(保険期間:10年)
解約日: 令和2年12月10日
解約返戻金: 2万6000円

解約する前の控除証明書は年末調整に使えるのかどうかについては、使えない、というのが正しい答えです。⽀払った保険料から解約返戻⾦を差し引いた⾦額を申告することになりますので、控除対象となる保険料を修正した控除証明書を発⾏してもらうことになります。代理店、保険会社に依頼して発⾏してもらいましょう。

また、解約返戻金を受け取ると一時所得となり課税対象となります。一時所得の計算式は下記の通りです。

一時所得=一時所得の対象となる総収入額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)

一時所得は、計算した一時所得の金額の1/2に相当する金額を給与所得などの他の所得の金額と合計して総所得金額を求めた後、納める税額を計算します。

具体例では、受け取った解約返礼金は2万6000円です。一時所得の計算をする際、最高50万円の特別控除を受けることができるので、原則50万円以下の解約返戻金を受け取った場合は、確定申告での手続きは不要です。

また、このEさんが、年末調整で地震保険料控除の⼿続きをしてしまったとします。その後解約をして解約返戻⾦を受け取りましたが、年末調整の修正は必要なのかどうかについてですが、地震保険料を⽀払っていないのに控除を受けてしまっているので、令和3年3⽉15⽇までに確定申告で修正する必要があります。

2万6000円の解約返戻金を受け取っていますので、受け取った解約返戻⾦が1000円以上の場合は、所得税の計算に影響されるため確定申告にて修正申告が必要です。しかし、受け取る解約返戻金が1000円に満たない場合は、所得税の計算に影響はないので確定申告は必要ありません。また前述のとおり、解約返戻金を受け取ると一時所得となり課税対象ですが、一時所得を計算する時は、最高50万円の特別控除があるので、Eさんの場合、確定申告をする際の一時所得の手続き(支払い)は不要です。

いかがでしたでしょうか。保険契約の内容によっていつどのような手続きが必要となるのか、きちんと把握して、しっかり節税していきましょう。


監修・文/深川弘恵(ファイナンシャルプランナー)

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