亀山早苗の恋愛コラム

「奥さんの顔が見たくて…」不倫相手の妻にいやがらせした女性の心理

夫に浮気されてもただひたすら「耐え忍ぶ」妻たちは激減した。同様に、不倫相手となる女性もじっと相手を待っているだけではない。ときに妻を挑発することさえある。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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してはいけないとわかっていたのに……妻にいやがらせした不倫女性の心理

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夫に浮気されてもただひたすら「耐え忍ぶ」妻たちは激減した。同様に、不倫相手となる女性もじっと相手を待っているだけではない。ときに妻を挑発することさえある。「してはいけないとわかっていたのに箍が外れてしまった」ということがあるようだ。

 

家庭を壊すつもりはなかった

家庭があるのをわかっていながら、会社の先輩と3年前に「恋に落ちてしまった」アカネさん(38歳)。

「30代半ばになって周りが婚活している中、私は妻子ある男性に恋をするなんて最悪だと思っていました。だけど好きになった気持ちを止めることはできなかった」

彼は2歳年上で、そのころアカネさんのいる部署に異動してきた。話せば話すほど好きになっていく。仕事上、ふたりで移動することも多かった。一緒にいると相手の人間性に触れる時間が増える。今でも不倫の関係は職場内がいちばん多いのはそういう理由だろう。距離的な近さは心の近さでもある。

「私が彼に相談をもちかけたのがきっかけで、さらに距離が縮まって。お互いの気持ちが一致しているのがわかって、とうとうそういう関係になってしまったんです」

ただ、男女の関係になって初めて、彼女は彼の家庭を非常に意識するようになった。それまでは笑って聞いていた妻の話も、聞いている自分の顔がひきつっていくのがわかる。彼が離婚などするはずもないし、家庭を壊してほしいとも思っていないのに、彼の背後の家庭が気になってたまらない。

「私が育った家庭は複雑でもう両親もいません。ひとり暮らしなので、連休や年末年始はひとりでいるのがつらくて。彼は家庭を大事にしていたから、週末はめったに出て来ない。つきあって半年ほどたった最初の年末は30日に来てくれましたが、大晦日や元日はひとりぼっち。前年もそうだったんですが、彼がいなくてひとりなのと、彼と言える人がいるのにひとりなのとでは全然違うんですよね」

自分がそういう恋に足を踏み入れたという自覚も覚悟ももっているはずだった。それなのにだんだん「これは不公平だ」と気持ちが変わっていった。

 

彼の妻を見てみたい

それでも彼との関係は順調だった。彼も彼女を気にして、休日に連絡をくれることもある。仕事だと偽って日曜日に彼女の家の近くの居酒屋でのんびり過ごしたりもした。

「関係が固まっていったんでしょうね。私は常に彼に会いたかったし、彼も少し無理して会いに来てくれた。彼の気持ちはじゅうぶんわかっていたつもりです。だけど関係が深くなればなるほど、私はやはり彼の家庭が気になって……。妻の顔が見たいと思ったんです」

どうして妻の顔を見たいと思ったのか、自分でもわからないとアカネさんは言う。ただ、見たいと思ったら自分を止めることはできなかった。彼女が動き出したのにはひとつのきっかけがある。

「それ以前から妻のSNSをこっそり見ていたんです。ある日、妻がおしゃれなカフェの写真をアップしていた。『今日は夫とデートです』なんて書いてありましたが、そのカフェ、私が見つけてきて、彼と以前行ったところなんです。そういう店にあとから妻と行くって、どういう神経なんだろうと思って、彼にも妻にも怒りがわいた。まあ、妻のほうは知らずについていっただけなんでしょうけど」

妻は自分の顔はさらしていたので、家の近所に行けば会えるだろうと予測、ある日、有休をとって行ってみた。マンションを探し出したとき、たまたま出てくる妻を見つけた。

「なぜかそのまま尾行してしまったんです。妻は駅ビルに入っている店で仕事をしていました。総菜やお弁当を売っている店です。1時間ほど時間をつぶして昼時にその店に行き、お弁当を買いました。さわやかで愛想がよくて、素敵な女性だった。近くの公園でお弁当の写真を撮ってSNSにあげました。ここの店員さん、感じがいいとも書いて」

自分は彼女を知っているが、彼女は自分の存在を知らない。それが少しだけ気持ちよかったとアカネさんは言う。

「それからときどきそこに行くようになったんです。他にお客さんがいないときは、毎日いらっしゃるんですかとか、少しずつプライベートな話をするようになりました。彼女のパート帰りに遭遇したこともあります。これから保育園にお迎えなのーと明るく去っていきましたね。私の自宅からその駅までは30分くらいかかるんですが、時間があると通っていたんです」

そんなことをしても何もならない。自分たちの関係を信じているなら、あえて妻に接触する必要などないのに。

「わかっていました。それでもなぜか妻に会いにいくのをやめられなかった」

どこかで自分の存在を妻に知らせたいという意識があるのかもしれない。

夜はパートなどしていないのをわかっていたのに、彼に会えない日の仕事帰り、行ってしまったことがある。2ヶ月ほど前のことだ。

「その駅ビルで彼が妻と腕を組んで歩いているのを見てしまったんです。なんだか頭に血が上って先回りして彼らとすれ違ってやりました。彼があっと言ったのと、妻が『あら、こんばんは』と言ったのが同時でした。彼は妻から私のことを聞いたんでしょう、『びっくりしたよ、妻に接触していたのか。何を企んでいるの』とメッセージが来ました。その駅の近くに昔お世話になった人がいて、療養しているのでときどき見舞いに行っているとウソをつきました。不倫するとこちらもウソがうまくなるんです」

それでも妻から疑いはかけられていないようで、アカネさんは今も彼との関係を続けている。だがそれ以前とは少し雰囲気が違ってきた。

「彼が警戒心をもっているのがわかります。私は自滅しかかっているんでしょう。でも別れるには今がいいときかもしれない。そんな思いもあります」

不倫関係は、先が見えない関係だからこそ「恋愛」を楽しめる一方、もっと一緒にいたい欲求との戦いでもある。進むも降りるも彼女次第だ。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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