大好きな彼が突然、豹変した理由とは

束縛彼氏

人は誰の所有物でもない。だが、男性の中には女性を「自分のもの」と思う人、思いたがる人が今でもいる。それがロマンティックな思いとともに女性の心を縛りつけることもある。

 

やっとつきあえることになった彼

彼とつきあうとはっきり決まるまで2年、そしてつきあって半年で別れたというのはナミさん(35歳)だ。彼と結婚したいと願っていたのに、いざつきあってみたらすぐにわかった彼の本性に驚いたという。

「彼と知り合ったのは31歳のころ。私の勤務先に中途入社してきたんです。人当たりがよくて明るくて謙虚な人だったので、すぐに社内の人気者になりました。女性社員からもすごく人気がありましたね」

彼に仕事を教えていたナミさんも、その人柄に惚れ込んだ。彼はナミさんより1歳年下。先輩、先輩と慕ってくれた。仕事の覚え方も早かったし、努力を欠かさないのもよくわかった。

「うちの部署にとっては即戦力。できるヤツだなと思っていました。彼のことは早くから男性として意識していたけど、同じ社内、同じ部署だからかえって親しくしすぎることができない。ずっと先輩後輩の立場は崩しませんでした」

1年たって、ようやく彼も独り立ちして仕事をするようになった。それでも彼は何かとナミさんにアドバイスを求めてくる。

「ふたりで食事をすることもよくありました。彼はうちの会社に来てすぐ、つきあっていた彼女と別れたとプライベートな話もしてくれて。私も同じ時期に恋人と別れたので偶然を感じました。彼は『僕にとって先輩は会うべくして会った人なのかも』なんて言うので、ちょっとドキッとしました」

それ以来、彼はふたりきりになると「先輩のことが好きです」「今日も素敵です」と臆面もなく言うようになった。だが、「つきあってほしい」とは言わない。

「そこが彼のズルいところですよね。つきあってほしいと言わないまま、ただひたすら口説かれました」

あるとき、食事をしての帰り際、彼が体調がおかしいと言い出した。どうやらお腹を下したらしい。ひとりで帰れる自信がないと言われ、彼女はタクシーで送っていくことにした。そしてそのまま部屋に泊まってしまったのである。

「私は彼に強烈に惹かれていましたから、もうつきあえなくてもいいと思いながら泊まったんです」

一夜限りでもいい。そんな覚悟があったという。

 

つきあおうと言ってから激変した彼

つきあうという言葉がないまま、ナミさんと彼は半同棲状態となった。

「つきあっている事実はあったし、夕方になると、今日はどうすると連絡しあっていたし、だんだんと“つきあう”という言葉にとらわれなくてもいいのかなと思うようになっていきました」

2年近くたって彼の友だちに会う機会があり、“オレの大事な人”と紹介されたときはうれしかったという。

「帰り際に大事な人ってどういう意味?私たち、つきあっていると思っていいの?と聞いたら、彼が改まって『オレとつきあってください』と言ったんですよ。やっと言ってくれた。これで公然とした恋人だよねって本当にうれしかった」

ところがそこから彼の束縛が始まった。それまでは連絡をとりあって夜の予定を決めていたし、どちらかが「今日は残業がある」「今日は他の用がある」と言えばすんでいたのだが、彼女が「今日は用がある」とメッセージを送ると、「どういう用?」と必ず聞いてくるようになったのだ。

「私にだって友だちと会う用もあるし、ひとりでいたいときもある。だけど彼はそれを詳細に聞きたがるんです。今までそんなことなかったじゃないと言うと、『おまえはオレの女になったんだろう』って。びっくりしました。彼にとって“つきあう”というのは、彼の女になる、彼に従属する身になるということだったみたいです」

ナミさんは、つきあうというのはそういうことではない。無用な束縛はやめようと必死に提案したのだが、彼は聞く耳をもたなかった。

「これからはオレに従ってもらいたい。だってきみはオレの女だからって。オレの女という言い方がイヤでたまらなかった。私は誰のものでもないんだけど、とそのつど言い返していましたね」

つきあうという言葉を出さないころのほうがずっと楽しく一緒にいられたとナミさんは感じていた。だがそれも彼の責任感が関与するのかと最初はいい方向に解釈していたらしい。

「だけどだんだん、彼がただ私を束縛したいだけだとわかってきて……。そのころ彼は他部署に異動していたのでフロアも違っていたんですが、ふとした拍子に廊下から私を見ていたりするんですよね。あれは怖かった。『○○さんとできてるのか』と言われたこともあります。嫉妬しているような感じでもなく、そういうことを言うんですよ。束縛すること自体に喜びを見いだしているみたいなところがありました」

あるとき仕事で上司と外出、帰社したところで彼とばったり会ったことがある。彼からはすぐにメッセージが来た。

「オレといるよりうれしそうだなって。もう無理だと思いました。別れてほしいとメッセージをしたら、その日の夜中、彼がうちに来てしまって……。玄関で大騒ぎしているので警察を呼びました」

結局、上司などに間に入ってもらって無事に別れることができたのだが、今でも彼女は不思議でたまらないという。つきあうまでは楽しくてやさしくていい人だったのに、なぜつきあうと決めてから相手を怖がらせるような束縛を見せたのか。

「恋愛が怖くなって、それ以来、誰ともつきあっていません」

傷ついた心が一刻も早く回復できたらいいのだが、先は見えないと彼女はため息をついた。
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