リアルな恋はめんどうくさい!?
ネットで知り合って恋に落ち、結婚に至るケースはよく聞く。一方で、ネット上ではうまくいっていたのにリアルで会ったら「何かが違う」と恋に発展しないケースも少なくない。
『#リモラブ~普通の恋は邪道~』(日本テレビ系、毎週水曜22時)は、波瑠演じる恋をさぼってきた産業医・大桜美々がSNSで知り合った「檸檬」という男と繰り広る恋愛ドラマ。自分が「檸檬」だと名乗りをあげた五文字(間宮祥太朗)とデートをするのだが、ひとりで気ままに過ごすことに慣れている美々(波瑠)は、実際のデートに疲弊してしまう。これは20代、30代の女性たちの「あるある」ではないだろうか。
(C)日本テレビ『#リモラブ ~普通の恋は邪道~』(毎週水曜22時~)
さらに「檸檬」が同じ勤務先の青林(松下洸平)ということがわかり、美々の恋はどうなるのか……。
SNSだけで恋をして
リアルで会ったことはないのだが、ネット上で「恋をしています」と言う女性がいる。ユウコさん(仮名・33歳)は、1年前、SNSで話しかけてきた「大吉さん」と恋愛中だという。
「その後、彼とはメッセージのやりとりを続けています。多いときは1日5回も6回も。ただ、どうやら彼は遠方に住んでいるらしいんですよね」
実際にはどこに住んでいるかまったくわからない。彼の年齢も職業も不詳だ。それでも彼女は彼に恋をしている。
「お互いに『好き』『あなたのいない世界は闇だと思う』というところで気持ちが一致しています」
だが、なぜか会おうという話にはなっていない。会いたいとは言うものの、「会おう」にはならないのだ。そしてユウコさんは、それでいいような気がしてきたともいう。
「実際に会って幻滅するくらいなら会わないほうがいい。だけど、このままでは恋が進まない。友だちにはずっと指摘されてきたし、私も会おうと言いかけたことはあるんですが、彼が言わない限り、私から会いたいとは言えなくて……。会いたくないと言われたら傷つくし、無理して会ってもらっても困るし。だったら会わなくてもいいかもしれない、と」
本音は「会いたい」のだ。だが1年もメッセージだけのやりとりをしていると、会ったときのギャップも大きいのではないかと不安になるのだという。
「しかも私、30歳を前に大失恋をして、それ以来、ちょっと男性不信なんですよね。もう3年も誰ともデートしていないし、ひとり暮らしですっかり自分の生活パターンができあがってしまってる」
ドラマの中の美々も、5年ぶりのデートで、最初は何を着ていこうか、どこへ行こうかとウキウキしていたのだが、すぐに「めんどくさ」とつぶやいていた。リアルで会って好きになってからのデートならいざ知らず、SNSでどんなに盛り上がっても「よく知らない人」との初デートを目前にするとめんどうくさくなるのかもしれない。
「私自身も、彼とのやりとりの中で、けっこう自分の理想とする女性になりきってメッセージしていることもあるし、相手も結局、そうなんだろうなと思うんですよね。だから彼のことは大好きで、ときどき苦しくなるんですが、その苦しさも恋の楽しさだし、実際に会ったら決着がついてしまうような気がして怖いんです」
この年になれば現実とバーチャルの区別はつくから、とユウコさんは笑った。それでも「彼がいること」が彼女の日常的な支えになっているのだそうだ。
リアルで会うのは早いほうがいい?
一方、ネットのコミュニティで知り合って、同い年の男性とつきあうようになったというのは、カナさん(仮名・29歳)だ。「お互いに音楽が好きで、好きなミュージシャンも一致。メッセージのやりとりをするようになったとき、彼は自己開示が早かったんです(笑)。どこの出身で今は何をしているか、どこに住んでいるのか、音楽以外に何が好きか……。そこにウソがあるようには思えなかった。それから『会いたい』という話になったので、やりとりするようになって1ヶ月後には会っていましたね。若干、遠距離ではあるんですが、週に1回くらいは会っていますよ」
会ったときもまったく違和感がなかったのは、お互いに自分をさらしてからの対面だったからではないかと彼女は言う。現在、つきあって7ヶ月になる。
「もし1年くらいメッセージのやりとりだけだったら、会ったときに違和感があるかもしれませんね。相手の文章を読みながら、どうしても自分の中で相手への妄想ができあがってしまうから。だからどうせなら、妄想や理想ができあがる前に会ったほうがいいと私は思います」
コロナ禍で合コンなどがしづらく、ネット上で知り合う機会も多くなった現在、“リモラブ”は誰にでも起こり得る。相手を見極めながら、自分の中の「恋愛観」をどう構築していくのか、新たな恋愛の時代が始まっているのかもしれない。