亀山早苗の恋愛コラム

「二股不倫」が悔しくて…相手の妻に暴露の手紙を送りつけた私の後悔

妻たちの不倫が止まらない。不倫といえども「恋愛」という意志が一昔前に比べてより強まっている。家庭は家庭、もちろんいちばん大事なもの。だが、恋愛は違う土俵にあるのだろう。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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不倫相手がさらに浮気、悔しくてたまらない

二股不倫
 

妻たちの不倫が止まらない。不倫といえども「恋愛」という意志が一昔前に比べてより強まっている。家庭は家庭、もちろんいちばん大事なもの。だが、恋愛は違う土俵にあるのだろう。

 

お互いの家庭を大事にしながら

「今年の初めまで、彼とはうまくいっていたんです」

そう言うのは、マリさん(45歳)だ。結婚して17年、中学3年生と1年生、ふたりの子がいる。2歳年上の夫との仲も悪くはない。彼女がなにより大切なのは家庭。そう思って生きてきた。

それなのに、5年前、彼女は恋に落ちてしまった。ちょうど下の子が小学校に上がってしばらくたったころだ。

「私自身も気の緩みがあったんでしょうね。下の子が小学校に行ってほっとして。少し自分のための時間もほしくなったので、毎週土曜日、仕事関係の習いごとを始めたんです。会社から補助も出るし、今のうちに勉強しておきたいと思って。そこで知り合ったのが3歳年下の彼でした。初日に隣になって、少しだけ会話を交わして、翌週も同じように隣同士の席になって。3回目だったかな、帰りにお茶でもしましょうとどちらからともなく誘い合ってカフェに寄りました」

家庭の話、仕事の話、好きな映画の話、なぜか話題が尽きなかった。彼女は思ったことをポンポンしゃべる性格で、夫からはいつも「もっと慎重に言葉を選んだほうがいい」と言われているが、彼はそんな彼女の言葉をおもしろがってくれた。

「楽しかったですね、素の自分で思うように話せて。家では、どうしても母としてとか妻としてとか、考えてないようで考えているので、なかなか本音を出せないこともあるんですよ。夫は私がいつでも本音でばんばんしゃべっていると思っているけど、これでも気を遣っているつもり(笑)。だから彼との会話はとても楽しかったんです」

翌週は居酒屋へ、その次の週は食事へとふたりの逢瀬はだんだん長時間になっていった。楽しければまた会いたくなる、会えば話したくなる、男女の関係はそうやってどんどんエスカレートしていくものだ。

「10回の講座だったんですが、7回目くらいかなあ、帰りに寄ったレストランで、『あなたを好きになってしまった。講座が終わるまで言うのは控えようと思ったけど、残りが少なくなってきて焦りにかられて。ごめんなさい』と言われたんです。うれしかった。そんなにストレートに気持ちを伝えてもらったのは初めてだったから。夫はもともと私が前に勤めていた会社の同僚だったんです。友人づきあいからそのまま結婚したようなものなので、ロマンティックな言葉とかもらった記憶がないんですよね」

ふたりの情熱は一気に盛り上がったという。その日は時間がなかったので、翌週、ふたりは食事もせずに講座の帰りにそのままホテルへ直行した。約束したわけではなかったが、それが自然だとふたりとも思っていたのだ。

 

4年半も続いた関係なのに

講座終了後も、マリさんは引き続き別の講習を受けると家族に言って、週末の外出を続けた。彼も同じウソを家族についていたようだ。

「彼にどんどんのめり込んでいきました。でも長くつきあうために無理はやめようと話し合っていました。二度目の架空の講習のあとは、毎週ではなく、お互いの時間の合うときに連絡を取り合って会うようになりました。月に2回は朝から夕方までホテルに入り浸っていましたね」

今年に入り、コロナの影響で子どもたちが家にいるようになると、さすがに自由には会えなくなった。夫もほとんど在宅勤務となり、彼女も2週間に一度の出社で、あとは家での仕事となった。彼も週に一度の出社だという。時間を合わせようとしたが、なかなかむずかしく、4月と5月は一度も会えなかった。

「連絡はとりあっていたんですが、6月末くらいから彼の様子が少しおかしくなった。連絡してもすぐ返事がこなかったり。7月からは私は通常勤務になったんですが、彼は『うちは当分在宅』って。私が合わせるから会おうと言っても反応が鈍いんですよ」

不安が押し寄せてきた。彼に何かあったに違いない。マリさんはそう確信した。このあたりの予感、女性は鋭い。

「8月に入って、彼からもう会うのをやめようとメッセージが来て。思わず電話してって返しました。すると彼は『家にいるから電話できない』と。どうして別れるのかと尋ねたら、どうしてもこのコロナ禍で会うのは無理がある、と。何があってもつきあっていこうと言ったじゃないと責めてしまいました。すると彼、返事を寄越さなかったんです」

彼女は焦った。彼と別れたくない。それしか考えられなかった。彼の出社日を見計らって、夕方、会社の前で待ち伏せした。多くの人が会社から出てくる。すでに通常勤務に戻ってるのではないかと彼女は推察した。

定時で終わってでてきた彼を運良くつかまえることができた。

「彼、ぎょっとしてました。そりゃそうですよね、不倫相手が待ち伏せしているんですから。でも私は本当のことが知りたかっただけなんです。近くの喫茶店で話そうとしたら、会社の人がいるかもしれないからとしばらく歩いた先のビルの地下の店に連れていかれました。歩いている最中も彼は無言のまま。私に気持ちがなくなっているのがわかって、帰りたくなったけど、やはり最後まできちんとけじめをつけたかった」

薄暗い喫茶店の片隅で彼が言ったのは、「他に好きな人ができた」というひと言。

「今思えば、妻に気づかれたとでも言ってくれれば、私も素直に引いたのに、どうしてあんなことを言ったのか。恋の初めで彼は浮かれていたのか、私の気持ちなどお構いなしに、彼女は20代で独身でなんて話し始めたんですよ。頭にきて途中で席を立って帰りました」

何度考えても、どう考えても納得がいかなかった。ただでさえ一方的な別れに納得するのはむずかしいが、「不倫なのにこんな裏切られ方をするなんて」というのがより腹が立った理由らしい。

「もともといいことをしているわけではない。それなのにさらに別の女性を好きになるってどういうことなんだろう、私は彼にとって何だったのか。これじゃ奥さんがかわいそうだと急に奥さんの気持ちを考えたりもして。自分でもちょっとおかしくなっていたと思います」

彼女は彼の自宅の住所を知っていた。2度目の講習を一緒に申し込んだとき、彼が住所を書くのを見ていてすぐにメモをとったのだ。その住所あてに会社で手紙を作り、会社近くのポストから投函した。

「奥さん宛てにです。奥さんの名前は知らなかったから、○○さまの奥様へと書きました。もちろん全部パソコンで作りました。内容はお宅のご主人が若い女と浮気しているというもの。それで家庭が崩壊しても知ったことではないと思いました」

数日後、彼からメッセージが来た。「きみを好きになった自分を呪うよ」と書いてあった。

「おそらく揉めたんでしょう。いい気味と思ったけど、その後、ひどく落ち込んでしまいました。彼もひどいけど私もひどい。せめてあのまま終わらせておけば、いい思い出になったかもしれないのに」

その後、彼がどうなったかはわからない。正直言うと少しは溜飲を下げた部分もあるが、やはり後悔のほうが日に日に強くなっている。彼の出方によっては、彼女の夫にバレる可能性もあることに最近、気づいた。不倫関係の別れ方はむずかしい。冷静に対処しないと、何もかも崩壊するリスクがあるのだから。
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