過去最悪の災害であった「関東大震災」

史上最悪の災害「南海トラフ地震」に備えよ

史上最悪の災害「南海トラフ地震」に備えよ

9月1日は関東大震災(1923年 大正・関東地震)の発生日。97年も前の出来事です。これは大規模な火災を伴い、10万人を超える死者が発生した過去における史上最悪の地震災害です。そこで、その史実を忘れないようにと、この日を「防災の日」として各地で避難訓練やキャンペーンが毎年開催されています。もっとも、本年は新型コロナウイルス感染症のリスクを考え、多くの集客イベントはすべて中止となっています。

さて、当時の約5倍もの人口密集地となった現代にこの「関東大震災」と同程度の地震が発生したら? 被害はケタ違いになり、この記録を大きく超える可能性も考えられます。ただし、この地震はイメージとして内陸型の地震としてとられがちですが、実は相模トラフを震源とする、プレート境界型(海溝型)の巨大地震です。

一定期間をおいて、プレートの移動に伴い、同一の地域でほぼ確実に発生する特徴を持ちます。これは東日本大震災や今、発生が迫っているとされる「南海トラフ地震」と同質のもの。関東大震災では、熱海や小田原、鎌倉などに最大20mを超える巨大津波が発生し、多くの死者を発生させていることはあまり周知されていません。今回はメディアでも多く取り上げられていて発生が迫っているとされる「南海トラフ地震」について、再度検証しましょう。
 

南海トラフ地震は日本最大のリスク

政府や内閣府中央防災会議が指摘する"日本列島における最大の災害リスク"が、「南海トラフ巨大地震」です。

静岡県から四国・九州の南の沖合いに存在する「フィリピン海プレート」と呼ばれる海溝では、そのプレートが地下の深部へと沈み込む動きが常に継続し、その影響によりおよそ100年おきに巨大地震が発生しています。多くの地震学者がすでに「危険水域」であることを指摘しています。

プレート境界型の地震は、内陸部で発生した地震とは異なり、震源域にある海底の大規模な変異を伴い、沿岸地域に巨大な津波を発生させます。そして巨大津波が到達すると予測される東海・四国・九州の沿岸には、100年前とは比較にならないほどの住宅・工業地域が広がっており、東日本大震災で甚大な被害を受けた東北地域の被害を大きく上回る被害想定が行われています。

昨年、中央防災会議が再検証した被害予測では、それまで32万人に及ぶとしていた死者数が、家屋の耐震性の向上や避難計画の浸透によって23万人に減少したと記されていますが、それでも東日本大震災の10倍を超え、経済的な損失は国家予算の14倍、1400兆円もの被害が発生すると試算されています。
 

災害リスクに対する理解力と常識は十分か?

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東日本大震災では沿岸地域に大変な被害が発生。この悪夢が再燃しないことを願う。

このような壊滅的な危機が日本列島に間近に迫っていることが明らかな今、残念ながら沿岸地域を回ってみる限りでは、未だ南海トラフ地震への効果的な対策に大規模な国家予算が集中投下されているようには思えません。

現実的には、沿岸地域住民の大規模移転や津波対策の護岸工事などには様々な支障があり、時間も莫大な予算もかかるものですが、先送りにして全てが「事後」とならないように政府や自治体には進めて欲しいと願うばかりです。

すでに新型コロナウイルスの蔓延により、バブル崩壊直後を超える経済的な被害を被っているこの日本で発生したなら。企業倒産は天文学的な数字へと拡大し、国や自治体の支援無しに生きて行くことが不可能な市民が数百万人に及び治安も悪化、日本の社会構造そのものが崩壊する可能性も考えなければならないでしょう。

しかしどんなに社会が疲弊したとしても、これまでも日本人は大規模な自然災害から這い上がってきたという実績を持ちます。個人の知恵と住民間の共助により必ず乗り越えられるはずだです。

「南海トラフ巨大地震」は発生すれば、沿岸地域に住む市民は言うまでもなく、日本列島に住むほぼ全ての市民生活に多大な影響をもたらすと考えられます。自分と家族が被災者の一人にならないためには、何よりもまず自分の住む場所と住居の持つ被災リスクを正確に把握し、目をそむけないこと。何を優先すべきかを考えること。そして政府や自治体に期待しすぎないことです。最終的に自らのリスクは自分で解決することしかありません。日本人には災害を他人事とは思わない、という理解力と常識を持って準備し、対処することが求められています。

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