「首都直下地震」で予想される最大被害規模とは

なかなか終息の見えない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に苦しむ2020年。そんな中でも日本列島では、おかまいなしに地震活動が活発化しています。

この数年を振り返っても、2016年の熊本地震、2018年の大阪北部地震、北海道胆振東部地震など、大きな被害を伴う内陸部の地震災害が多発しています。
首都直下地震

いつ首都直下地震が発生してもおかしくないという前提での備えとは

また今年は年初から、体感を伴う震度4以上の比較的大きな地震活動が数多く観測されているため、「首都直下地震の発生が近い」とする研究者の見解が多く発表されています。もちろん現実には、今の技術では地震予知は不可能ですが、関東周辺では、他の地域とは異なり、一定期間の間隔をおいて、大規模な被害を伴う地震が発生することが確率論的にも示されている特別な地域です。

間もなく「大規模地震は発生する」という前提で、関東周辺の地域住民は災害に備えなくてはなりません。

その首都圏における被害規模は、最大死者数23000人、被害総額95兆円という、内陸地震としては史上最大のものとなることが予測されています(「首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)」内閣府防災情報より)。

新型コロナウイルスに苦しむこの時期に地震が発生すれば、首都機能の長期停止のみならず、日本経済の長期低迷、失業率の急増、治安の悪化、さらなる社会不安などの増大など、戦後最大の危機が訪れることは間違いありません。
 

地震の「ファーストインパクト」回避が最優先

では首都直下地震に、市民はどんな備えが必要とされるのでしょうか。

一般の人は、地震に対して「水や食料の備蓄」をすることを災害への準備と思い込んでいる場合が多いのですが、過去にこれらが原因で亡くなったとされる方は皆無です。自治体は市民のための一定量の備蓄を必ず用意していますし、どんなに被害規模が大きくても、内陸部で起きた地震災害は、限られた地域でしか被害は発生しませんので、遅くとも発生翌日には、被害の無い自治体や自衛隊などから何らかの支援が動き出します。

内陸部で発生する直下型地震の人的な被害は、都市部においてはまず第一に「倒壊した家屋」による被害が大きくなります。地震による直接的な被害は発生直後の「数分以内」に起きるものであり、「安全な家」に住んでいれば、そして最初の数分間に被害を受けなければ、被災者になる確率は非常に低い、ということを示しています。

また家屋内で被害の発生する場所の統計によると、「寝室」が多くを占めています。耐震性の高い住宅を手に入れる、より安全な寝室にするために家具を固定するなどの対策こそが本当の地震対策と言えるでしょう。
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神戸市長田区/阪神淡路大震災当日/神戸市提供 

第二に、耐震性の低い住宅の密集地域では「地震火災」と呼ばれる同時多発的に発生する火災、家屋が次々に延焼する「延焼火災」も懸念されています。

消防車などの消火活動もならないこういった地域では、逃げ遅れる人が大量に発生し、その被災者は実に全体の70%にも及ぶという試算もあります。これらは個人で原因を解決することは難しく、地域と自治体がともに対策を講じる他はありません。
 

「新しい生活様式」における災害対策とは

新型コロナウイルス感染症の蔓延以降、避難所のあり方も大きく変わってきています。特に都市部においては、「三密」が発生しやすい避難所は避けるという人も圧倒的に多くなるでしょう。

残念ながら、これまで美徳とされていた住民同士の助け合いやボランティアの派遣なども、感染症蔓延下では難しくなり、個人、家族単位でいかに対策をするかということが求められるようになります。

そのため、倒壊などのリスクがなくて安全確保が出来るのであれば自宅で過ごす、その際に日常生活が継続出来るような住宅の仕様、インフラやエネルギーのハイブリッド化(多様化)が急速に進むと考えられます。

備蓄に対する考え方も、新型コロナウイルス感染症の蔓延によって大きく変わりつつあり、全く進んでいなかった水や食料などの備蓄率も急激に向上しています。

リモートでのビジネススタイルに移行しつつある昨今では、家庭でのインフラ確保(大型充電池や発電機)はじめ、ビジネスにおいて生き残るために対応する技術が求められる時代にすでになりつつあります。

また、マスクが日常の風景になっている現在、消毒液や他の衛生用品なども日常的に備蓄する必要があります。生活や仕事のスタイルが変わると同時に、災害への取り組みも、個人ベースで必要な項目が増えたということが言えるでしょう。

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