亀山早苗の恋愛コラム

大好きな兄を“奪った”私が憎い義妹…「小姑」の陰謀に苦しみ続けて

夫のきょうだいとのつきあい方はむずかしい。特に夫の姉や妹、俗に言う小姑は「小姑根性」などという言葉もあるくらい、口うるさくてしつこくてと悪いイメージばかりだ。そして実際、そんな小姑に苦しめられている女性もいる。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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大好きな兄をとられた義妹の陰謀

小姑

夫のきょうだいとのつきあい方はむずかしい。特に夫の姉や妹、俗に言う小姑は「小姑根性」などという言葉もあるくらい、口うるさくてしつこくてと悪いイメージばかりだ。そして実際、そんな小姑に苦しめられている女性もいる。
 

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仲がよすぎる兄妹

結婚するとき、義妹に大反対されたというミサさん(44歳)。何が原因かはわからない。夫に言わせれば「あいつはオレのことが大好きだから嫉妬しているんだよ。気にしないほうがいい」とのこと。義妹と同居するわけでもないからと結婚に踏み切った。

「当初は普通の兄妹だと思っていたんですが、通常よりずっと仲がいいことは結婚後に知りました」

結婚したのはミサさん29歳、夫が32歳のとき。そのとき義妹は28歳ですでに結婚していた。ところが3年後、義妹は離婚して実家に戻った。夫の実家は自宅から歩いて10分ほど。

「そこから義妹が頻繁にうちに出入りするようになったんです。私が妊娠して産休中は、自分の子を預けてはどこかへ行ってしまう。初めての子育てなのに、乳飲み子と3歳児を抱えてどうしたらいいかわからず、義母に助けを求めることもしばしばでした。義母は義妹のことを、『ワガママでしょうがないのよ』と匙を投げていましたね。ワガママに育てたのはあなたでしょと言いたかったですけどね」

その後、ミサさんはもうひとり子どもに恵まれ、一家は4人となった。その間も義妹と夫がふたりで外食に行ったり、義妹の身勝手な言動に振り回されたりしてきたが、それでもなんとか家庭の平和は保ってきた。現在、長女は14歳、次女は12歳となり、働くミサさんを応援してくれるようにもなっている。

「1年半ほど前のことです。長女が浮かない顔をしていたので、どうしたのと聞くと、『パパとママは離婚するの? おばちゃんみたいに』といきなり言うんです。どういうことか詳しく尋ねたら、義妹が娘に『あなたのパパは、本当はママじゃない人と結婚したかったの。でも事情があって結婚できなかった。だから今、パパはその人と再会してつきあっているのよ。いつかパパたちは離婚するから、あなたはどちらについていくか決めておいたほうがいい』と言ったんですって。さすがにこれには私、激怒しました」

すぐに義妹に電話をし、あらぬ話を吹き込まないでくれと文句を言った。

 

他につきあっている女性がいるのは事実だった

義妹はそのときは「冗談よ。ミサさんは兄貴のことが本当に好きなのねえ」とどこかバカにしたように笑っていた。たとえ冗談でも、子どもの心をかき乱すようなことはしないでほしいと、ミサさんは厳重に注意したつもりだった。

「だけどなんだかその話は夫にしづらくて言わなかったんです」

すると数日後、まったく知らない人からSNSを通して写真が送られてきた。それは夫が見知らぬ女性を抱きかかえるようにしてラブホテルへ入っていくものだった。

「頭が真っ白になりました。義妹が言っていたのは本当だったのか、と」

送り主を検索してもわからない。写真を送るためだけにアカウントを作り、すぐに削除したようだ。写真はしっかり保存したが、ミサさんの手は震えていたという。

「誰がどうしてこんなことをと思ったけど、義妹以外の見当がつかない。ただ、こんなことをして義妹に何のメリットがあるのかわからない。誰に相談しようかとしばらく悩みましたが、やはり義妹に聞いてみるしかないと思いました」

義妹と電話で話したが、知らないと言い張り埒が明かない。夫に直接聞いてみるしかないとミサさんは腹をくくった。すると義妹はすぐにやってきて、写真を見せてほしいという。渋々見せると、彼女は「これは確実に浮気よね。誰が送ってきたかより、浮気を重視したほうがいいんじゃない?」としたり顔で言った。

「しまった、と思いました。義妹にはそんな話をすべきではなかった。これが義妹に対する私の弱みになってしまう、と。案の定、義妹は『夫に浮気されるなんて、妻として至らないからじゃないかしら』なんて言い出して」

義妹の言葉はグサグサと彼女の心を刺した。だがミサさんは落ち着けと自分に言い聞かせる。まずは義妹の言うように夫の浮気について考えよう。

「私はストレートにしか言えないので、夫にこんな写真が来たんだけどなにこれ、と単刀直入に言いました。夫は顔色を変えて、あたふたして目が泳いで言葉が出なくて。もうその対応だけで真っ黒ですよ、疑惑が真実に変わった瞬間でした。情状酌量の余地はないと感じましたね」

ミサさんの頭の中には、すぐに「離婚」の二文字が浮かんだ。だが夫はその場にひれ伏し、「別れたくない。オレはミサが好きなんだ」と叫んだ。

「あまりにまっすぐな言い方に息を呑みました。夫がそんなふうに感情を露わにするのは珍しい。いつもよく言えば感情が平らで、悪く言えばことなかれ主義だと思っていたから」

その後、夫婦は初めてじっくりと語り合った。夫が言うには、相手は妹の友人なのだそうだ。

「相談があると妹に呼び出され、行ったら彼女がいた。彼女の相談にのってあげてと言って妹は適当なところで帰った。その後、その友人が泥酔し、帰れないというのでタクシーに乗せようとしたら気持ちが悪い、休みたいと言い出した。信じてくれなくてもしかたがないけど何もしていないと夫は言うんです。あの義妹ならやりそうだと思いました。目的は私を苦しめることでしょう」

幼いころから妹は兄が大好きだった。早くに父が亡くなり、母は朝から晩まで働いていたから、夫はいつも妹と一緒にいて、彼女を守ってきたのだという。

「夫が父親代わりでもあり、唯一の味方だと信じて愛してきたんでしょうね。彼女にとって、私は大好きな兄をとった憎い存在なんだと思う」

夫はその後、あえて妹を避けるようになった。妹も近づいてこない。相変わらず実家ではワガママ放題しているようだが、さすがに兄に対してはやり過ぎたと思っているのかもしれない。

「いや、わかりません、これからまた何があるか……。でも義妹の気持ちを思うとちょっとせつない気もするんですよ」

年月がたてば自然とまた寄り添える時期が来るかもしれない。ミサさんはそう感じながら、義妹の動向を見守っている。


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