健康状態のチェックに便利な「体温測定(検温)」
子どもの熱はどうやってはかるのが良い?
熱の測り方……脇、耳、おでこ、肛門、正確なのはどこ?
一言で体温と言っても、体の表面と内臓とでは異なります。皮膚の表面の温度は外気の影響を受けるため、実際の体温とは異なる数値が出てしまうこともあります。一方で、内臓、特に重要な臓器の温度は外気の影響を受けないので本当の体の状態がわかるのですが、日常的な体温測定は脇やおでこなどの表面で行うしかありません。皮膚の測定部位もさまざまで、おでこ、脇、口腔、耳、肛門などがあり、どれも値が違ってきます。日本の体温計の主流は脇だと思いますが、海外では口腔で測るタイプのものが多いです。脇よりも正確で細かい数値が取れるため、日本でも女性が基礎体温を測定するときのいわゆる婦人用体温計などは口腔タイプのものがほとんどでしょう。耳での検温は測定時間が短く済むため、小さな子ども用の体温計でよく使用されています。医療機関では新生児に対して肛門で測定することもあります。
いずれも少しずつ数値は異なりますが、重要なのは「発熱があるかどうかを判断するために、普段の自分の体温を知っておく」ということです。日常的にどの部位で、どの方法で測定するかを決めておき、その状態での自分の大体の平熱を把握しておきましょう。
脇で検温する場合、昔からある水銀体温計では10分間測定し、一定の値になった温度をそのときの体温と判断します。電子体温計は、最初の1分ぐらいの体温の上昇から10分後の体温を予測して値を出します。あくまでも実測ではなく予測の値なので、水銀体温計の結果とは微妙に誤差が生じます。最近増えている赤外線などを使用したサーモメーターなどによる非接触型体温計は、直接皮膚に触れずに検温ができるため、感染症の接触感染予防になる点ではメリットが大きいかもしれません。しかし外気の影響を受けやすいというデメリットもあるため、簡易的な使用以外では注意が必要です。
体温計の選び方……大切なのは普段の体温を把握しておくこと
多くの体温に関するデータで用いられるのは、正確な水銀体温計によるものです。しかし子どもの毎日の検温で10分間測定するのは大変ですし、大人の場合でも少し煩わしく感じてしまうかもしれません。体温計は日常的な利便性も考えて選んでよいと思いますが、大切なのは普段の体温をしっかりと知っておくことです。特に子どもの場合は、肌を触った感覚や機嫌などを含め、電子体温計を使用することが多いです。脇での測定が難しい場合は、耳、おでこになるでしょう。医療機関でも脇で測定する電子体温計を主に使用しています。もちろん、新型コロナウイルス感染症の流行以前から、一人使用するごとに必ずアルコール消毒を行っての使用です。ただ、緊急性のあるときには、内臓の体温が重要ですので、肛門での測定をすることがあります。非接触体温計は、短時間で簡便に測定できますので、測定値と臨床症状を総合的に考えながら、場合によっては複数回測定し、誤差がなければ正確と考えることもあります。
また、電子体温計は、水銀体温計より0.1~0.3度高く表示される傾向がありますので、もし違ったタイプの体温計で測定しなくてはならないときは、そのことも頭に入れておくとよいでしょう。
熱の測り方の注意点……脇の中心部でしっかりと挟む
脇で測定するときには、しっかりと脇をしめるようにしましょう。電子体温計の場合、正しく電源が入っていることを確認し、脇の「中心」に当てます。ポイントは、体温計を下から少し押しあげるような感じにし、脇をしっかりとしめて、脇と体温計が密着するように腕を軽く押さえることです。脇で測定する体温計は皮膚の接触が望ましいため、しっかりと挟むことが重要です。脇でも測定場所によって体温が異なってしまうので、上記のポイントを押さえ、いつも同じ測り方をすること。汗をかいていると熱の伝導率が異なってしまうので、汗を拭くことも忘れないようにしましょう。熱の伝導率が異なってしまうので、下着にも触らないようにしましょう。
また、耳で測定する場合は、耳の中が汚れていると正確に測定できません。耳垢などはきれいに取り除いておきましょう。小さな子どもの場合、暴れているときや泣いたあとは体温が上昇してしまうため無理に検温せず、機嫌の良いとき、または寝ている間に検温をしておきましょう。
体温による体調管理はあくまで「目安」…子どもの検温の考え方・コツ
検温を嫌がってしまうお子さんもいるかもしれませんが、「検温自体は痛くない」ということを毎日の検温で判らせていくことも大事です。1日の体温をどこかのタイミングで測定するのであれば、寝ているときに測るのも1つの方法です。低年齢の場合、短時間で測定するには、耳式体温計、非接触体温計を使用してもよいでしょう。ただし、体温だけですべてを判断するのではなく、機嫌や食欲、水分摂取、発熱以外の症状の有無など、全身の状態をしっかりと把握することが大切です。医療機関の受診が不要ないわゆる知恵熱のような発熱や、気温による体温の上昇もあります。いずれにしても、しっかりとお子さんの状態をみることです。また、測定方法の違いよる体温の変化に戸惑わないためには、毎日決まった体温計で、決まった方法で測定するようにしましょう。