亀山早苗の恋愛コラム

幸せ? 生涯独身を決めた50歳 vs 育児に明け暮れた既婚50歳

非婚の女性が増えていると実感する。そんな彼女たちが50歳になったとき、何を感じるのだろう。一方、既婚女性は、結婚してよかったと思っているのだろうか。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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独身50歳vs既婚50歳 どちらが幸せ?

非婚女性

非婚の女性が増えていると実感する。結婚の機会を逃してしまっただけで、今も結婚したいと思っている女性もいれば、結婚そのものに疑問を感じてしないまま生きてきた人もいる。そんな彼女たちが50歳になったとき、何を感じるのだろう。一方、既婚女性は、結婚してよかったと思っているのだろうか。

 

希望があるような不安しかないような……

人は100人いれば100通りの考え、生き方がある。それは重々わかったうえで、ある独身女性が50歳になったとき、何を感じ、自分の生き方をどう振り返るか聞いてみた。

「結婚しないと、誰にも選ばれなかった女と思われるのではないか。そんなふうに思った時期もありました。30代後半は、子どもを産まないまま年をとっていいのだろうかとも思っていた。ただ、40歳になったとき、私は本当に結婚したいのか、子どもがほしいのかと考えてみたら、どちらもあまり重視していないなと気づきました」

そう言うのは、マユさん(50歳)だ。だからといって恋愛を拒否してきたわけではない。しかし、日常生活にまで踏み込むような深いパートナーシップを求めてこなかったのも事実だという。

「恋愛は非日常だと思っているので、好きな人がいて連絡を取り合おうと思えばとれて、休日にデートするという関係は好きなんです。だけど日常的に一緒に暮らすとか、1日1回は電話で話すとか、そういうことは必要ない。パートナーシップというと互いの人生をともに背負う感じがあると思うんですよね。私はあくまでも自分の人生は自分のものだと思っているから、日常でないところで関わる“恋愛”は重視しています」

実際、今も恋人と呼べる人はいる。だが彼に何かしてもらおうとは思わないし、愚痴めいたことを言ったこともない。

「私、そもそも人に愚痴を言っても始まらないと思っているんです。自分のことは自分で解決するから、そちらもそうしてねと思うタイプ(笑)。恋愛はいいとこどりで楽しければいい。人生観みたいな深い話はしたいんです。だけどあくまでも客観的な議論をしたいだけで相談や愚痴はいらない。だからなかなか気の合う男性と知り合えない」

今の彼とは7年の関係になる。相手は既婚者だが、彼女は結婚したいと思っているわけではないのでトラブルはない。月に数回の逢瀬があれば満足だという。

「田舎に住む80歳の母親に、『あんたはとうとう結婚もしないで』と言われるとムッとしますけど、50歳になったとたんに、もはやそういうこともどうでもよくなりました。将来的にひとりでいることについては不安がないわけではないけど、独身だから明日、結婚しても誰も困らないししなくても誰も困らない。選択肢が多い意味で、希望のある人生かもしれないとも思う。まあ、今さら結婚する気はないですけどね、本音を言えば。だけど、別の素敵な男性と恋に落ちる可能性はありますよね」

不安をもつか希望をもつかは、自分の気持ちのコントロール次第なのかもしれない。子どもについてもまったく同じで、子どもがいるがゆえの心配もあれば、子どもがいないからこその寂しさもある。いずれも一長一短なのだ。

「自分の人生は自分のものとして生きてきたので、そこだけは譲れないでしょうね、これからも。身勝手に生きたオンナだったねと死後、言われれば本望というつもりで生きていきます」

マユさんは、かなり潔く爽やかに生きている。

 

幸せだと思うことにしている

一方、50歳の既婚女性はどう思っているのだろうか。

「トシを感じますねえ」

最初のひと言がそれだったのは、アサミさんだ。28歳のとき、3歳年上の男性と社内結婚。以来、3人の子育てに明け暮れながら家庭を切り盛りしてきた。現在、20歳、17歳、16歳の子がいる。

「あと一踏ん張りというところですが、子どもたちの年齢が上がるにつれて自分の年齢を痛感しますね。最近、特にそう思うようになりました」

下のふたりは高校生。まだ未成年だから、気は抜けないとアサミさんは言う。あと5年たったら、ようやくホッとできるはずだ、とも。

「あんまり深く結婚生活を振り返ったこともないんですが、まあ、夫婦ともに大きな病気をしなくてよかった、子どもたちも元気でよかったとは思います。それ以上のことは望んでなかったから」

あくまでも謙虚だが、子どもたちが小さいころは、いろいろな期待をしたこともあるという。だが子どもが3人いると、きめ細かい子育てなど無理だと悟ったのが40歳。最高基準を「元気で大人になってもらうこと」と決めたら気が楽になった。

「だって私の人生じゃないから(笑)。勉強ができようができまいが、本人の問題。私はがっつりご飯を食べさせて、最低限の躾をするだけ。夫にもそう話したんです。そうしたら夫もいいかげんな人だから、『それがいちばんだよ』って。結果、やはりあんまり勉強好きにはならなかったけど、本人たちが好きなように生きていけばいいと今も思っています」

この話からわかるように、夫婦の関係も「けっこう適当」だという。夫は時間があれば家のこともやる、妻は時間があればパートに出る。子どもたちが小学生のころから家事も手伝わせていた。

「上ふたりは男の子ですけど、家事のひとつもできないようじゃ生きていくのに困るでしょ。と言いつつ、私がラクしたいだけだったんですが。子育ても家事も手抜きしながら、なんとかやってきたという感じ。手抜きしている自分を責めたことはありません。そこが『おかあさんのいちばんすごいところ』だと、子どもたちが評価してくれてる(笑)」

アサミさん、人生を楽しんで生きてきたようだ。50歳になった今は更年期で心身ともにつらいこともあるが、これもまた長くは続かないだろうと楽観している。

「結婚しない、子どもをもたない人生もあっただろうなと想像することはあります。どちらがよかったかはわからない。私はこちらの道を選んでしまったから。今の自分は幸せなんだと思わなければやってこられなかったというのもありますよね」

子ども3人育てるのは決してラクではなかったはず。独身者とはまた違った、「家族がいるからこその孤独」もあるかもしれない。

どういう生き方を選択するかは、個人の自由だが、大事なのは「自分の人生をどう納得していくか」なのかもしれない。「幸せ」は、「なる」ものではなく、自分が「感じる」ものなのだから。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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