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コロナが変えた、2020年からの住宅選びとは?

政府主導の「働き方改革」では、目に見えての変化のなかった働き方。しかし、皮肉にも、新型コロナウイルスによって、オンライン会議をはじめとしたテレワークが浸透しはじめた2020年。このタイミングで、今後の住宅選びのポイントを探っていきます。

執筆者:大島 浩之

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コロナ時代の住宅選びのポイントとは?

新型コロナウイルスが、それほど騒がれていなかった2020年1月から2月にかけて調査された「2020年度における住宅市場動向について(住宅金融支援機構)」によると、一般消費者が住宅事業者選びで重視するポイントについて、「建物の性能」が58.0%と最も多く、次いで「住宅の立地」「デザイン」の順となっています。
 
出典:2020年度における住宅市場動向について p13(住宅金融支援機構)

「住宅事業者選び」で重視するポイントは? 出典:『2020年度における住宅市場動向について』 P.13(住宅金融支援機構)
 

今後も、この傾向自体には、大きな変化はないものと予想されます。しかし、厚生労働省より公表された「新しい生活様式」にも見られるソーシャルディスタンスなど、これからの非接触時代においては、「建物の性能」「住宅の立地」の意味合いが大きく変わってきます。

それでは、コロナ時代における住宅選びについて、住宅のどの部分に価値を見い出し、お金をかけていくことになるか、具体的に検討していきましょう。
 

建物の性能のなかでも重要視するポイントは?

2020年1月から2月の調査のタイミングでは、「建物の性能」を選択した一般消費者が重視するポイントについて、「高耐久性」が74.1%で最も多く、次いで「耐震性」「省エネルギー性」の順となっています。
 
出典:2020年度における住宅市場動向について p14(住宅金融支援機構)

「建物の性能」で重視するポイントは? 出典:『2020年度における住宅市場動向について』P.14(住宅金融支援機構)
 

今後は、これらのポイント以上に重要度が増してくるのが、「通風・換気性」であることは言うまでもありません。具体的には、自然換気のできない高層マンションのフィックス窓、外気に接していないホテルライクな内廊下型のマンション、さらには、エレベーターなどの密集・密接・密閉になりやすい共用空間は、敬遠される傾向となるでしょう。

また、テレワークなどの影響で在宅時間が長くなることから、これまで以上に建物の質、快適性を求めるという点では、「遮音性」の重要度も増してきます。さらに、インターネット環境が整備されていることや、書斎などのスペースが確保されていることなども、重要なポイントとなってきます。
 

「都心至上主義」の崩壊

次に、2020年1月から2月の調査のタイミングでは、「住宅の立地」を選択した一般消費者が重視するポイントについて、「公共交通機関へのアクセス」とする回答が71.1%と最も多く、次いで「商業施設へのアクセス」「治安」の順となっています。
出典:2020年度における住宅市場動向について p15(住宅金融支援機構)

「住宅の立地」で重視するポイントは? 出典:『2020年度における住宅市場動向について』P.15(住宅金融支援機構)
 

今後は、通勤といった概念自体のウエイトが低くなり、また、商業施設へ足を運ぶといったスタイルの購買行動の変化も大きくなれば、利便性よりも安全性を重視した選び方となり、「地盤の強さ」の重要度が増してくることでしょう。安全性を犠牲にしてまで、利便性を追求する結果、その土地に縁もゆかりもないのに、あえて、ハザードマップで危険な地域に住むといった選択をしないで済むのです。

これまでの「都心至上主義」は崩壊し、そもそも、都心にこだわる必要性もなくなり、駅近物件にこだわる必要性すらなくなっていくことでしょう。
 

「どこに住むか」ではなく「どのように生きるか」

今後の住宅選びの動向を占う上で比較したいのが、2011年に起こった東日本大震災後の住宅市場の動きです。震災直後は、地震への恐れから、タワーマンションなどの高層マンションの価格が約2割も安くなりましたが、近年では、予定されていた東京オリンピックなどの影響もあって、むしろ2割以上も高くなるというように、いわば「喉元過ぎれば熱さを忘れる」といった状況です。

しかし、今回の新型コロナウイルスについては、地震の場合とは異なり、これまでどおりの生活に戻れることを期待できないのではないでしょうか。「新しい生活様式」が示されたこともあり、大袈裟に言えば、これまでの「文化」が変わったことを認識すべきなのです。

通勤圏といったエリアに縛られない住宅選びにおいては、広がった選択肢の中から、利便性よりも安全性に対して、住宅購入の際の費用をかけていくこととなります。そして、これまでのコロナ時代以前にも増して、どこに住まうのかといった住宅選びが、どのように生きるのかといった生き方選びに直結してくるのではないでしょうか。
 
●参考文献
・『2020年度における住宅市場動向について』(住宅金融支援機構)
 https://www.jhf.go.jp/files/400352689.pdf
・『「新しい生活様式」の実例』(厚生労働省)
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_newlifestyle.html
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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