損切り貧乏にならない基本は「トカゲのしっぽ切り」
損切りとは「含み損(評価損)の株を手仕舞って、傷が広がらないうちに切る」ことを指します。損切りの目的は「トカゲのしっぽ切り」です。だから、しっぽ切りにならないものはすべて失敗します。中でもありがちなのが、以下の2つのケースです。【損切り貧乏にありがちな失敗】
- 相場が好調なとき損切りしている
- 暴落した直後に株を損切りしている
これらは株での損切りあるあるです。損切りが有効なのは「下がったけど戻らない株」を売るから。 しかし、「1」も「2」も待っていれば戻るケースが多いです(※1、※2)。だいたいの失敗はこの2パターン。
「1」のように、相場が好調なときは、だいたいの株は待っていれば上がります。「2」のように暴落した直後も、よほど危ない株でもない限り反発します。
だから、「1」や「2」に当てはまるときに損切りすると、「トカゲのしっぽ切り」ならぬ「トカゲの胴体切り」になってしまうわけです。
株の損切りで失敗する人の特徴って?
損切り貧乏になる人の典型例は「ポジポジ病」
ここまでは基本的なお話。ここからはもう少し踏み込んだ話をします。直接的ではありませんが、間接的に損切りで失敗する人がいます。それが、「ポジポジ病」です。ポジポジ病とは「ポジション(株を買い持ち/売り持ちすること)」を持たずにはいられず、「ポジション!ポジション!」となる人のこと。
ポジポジ病の人は、1つの損切りがうまくても、売った矢先に違う株へと乗り換えます。そして、そっちで損をしてしまい、せっかくうまくいった損切りを台無しにします。
チャンスがないときには「株を持たず、現金で待機する」ことも大事です。損切り貧乏になりたくない方は、ポジポジ病から脱却するとよいでしょう。損切りで失敗したくない人は、以上3つの点をひっくり返すとよいです。
- 相場が不調なときに損切りする
- 暴落していないときに損切りする
- チャンスが無いときは「現金化」する
損切りが上手い人の特徴
ここまで「損切り貧乏」の話をまとめました。ここで気になるのが、「じゃあ、損切りが上手い人はどんな人なんだ?」という点。損切りが上手な人は「利益が出ていようが、損失が出ていようが、適切な頃合いを見計らって株を手仕舞うことができる人」のことです。利益か損失かは関係なく、「退きどきをわきまえている」ということです。しいて「損切りの腕」を測るのであれば、それは税金の扱いに長けている人です。損切りをすれば税金を節約できる場合があります。
この法制度を巧みに駆使して、トカゲのしっぽ切りと「上手く節税する」ことを両立できる人は損切りの達人といえるでしょう。
まとめ
話をまとめると、以下のとおりです。損切り貧乏・ポジポジ病で失敗しない方法
- 損切り貧乏にならない基本は「トカゲのしっぽ切り」
- 損切り貧乏になる人の典型例は「ポジポジ病」
- 損切りの達人=退きどきをわきまえた「節税の達人」
そして最後に、そもそも論の話を補足します。株の達人は、そもそも損切りが少ないです。なぜなら、「損切りが必要=期待を裏切られた失敗」だから。たまに「ワシは損切りが上手い!」なんて自慢をする人がいます。損切りが上手いのは立派ですが、それでは目的から逸れています。
損切りは柔道でいえば「受け身」です。ダメージを最小限に食い止めるためには重要ですが、理想は「受け身を取らずに勝つ」こと。「ワシは受け身が上手い!」なんて言われても、柔道家からは尊敬されません。受け身の達人ではなく、柔道の達人になりたいものです。
「損切りなんて要らない」というのが理想。損切りはあくまで保険です。保険は必要ないのがベスト。基本を押さえたあとは、使わずに済ませるために知恵を絞るのが本筋です。
●参考文献
- ※1論文:Tobias J. Moskowitz, Yao Hua Ooi, and Lasse Heje Pedersen, 2012, "Time series momentum", Journal of Financial Economics, 104, pp. 228-250
- ※2論文:Narasimhan Jegadeesh, 1990, "Evidence of Predictable Behavior of Security Returns", The Journal of Finance, 45(3), pp. 881-898
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