2019年、世界を席巻したドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』が最終回を迎えました。本国アメリカではエミー賞を総なめにし、数々の金字塔を打ち立てたモンスター・ドラマです。
このドラマの原作となったのが、ジョージ・R・R・マーティンによるファンタジー小説シリーズ『氷と炎の歌』なんです。
\d払いがとってもおトク!/
J・R・R・トールキンの『指輪物語』にも匹敵する壮大な世界観
『氷と炎の歌』は、累計7000万部突破の大ベストセラー・シリーズで、昨年完結したドラマと違って、原作は未完。作者によれば全7部作の予定で、現在第5部まで発刊されています。日本ではドラゴンや魔法などファンタジー要素のある作品の人気がそこまで高くないからか、残念ながら諸外国ほど話題になっていませんが、実際に観た人の評価は高いようです。私も当初は敬遠していたものの、意を決して見てみたところ大ハマりしました!
そして、原作も読み始めたのですが、緻密に練り上げられた世界観、映画を超える壮大なスケールなど、ドラマ以上の面白さでページをめくる手が止まりません……! 『氷と炎の歌』はこれまでのドラマの常識を覆した『ゲーム・オブ・スローンズ』以上の名作だったのです。
モチーフになっているイギリス史を知るとさらに楽しめる!
『氷と炎の歌』は、ファンタジーという形式こそ取っていますが、その実多彩な登場人物が織りなす、中世イギリスや薔薇戦争をモチーフにした人間ドラマで、それもそのはず、作者のジョージ・R・R・マーティンは大の歴史好き。中でも中世がお気に入りとのことで、『氷と炎の歌』も当初は史実に基づいた歴史小説を書こうとしたそう。でも歴史小説となると、結末がわかってしまっていますよね。例えば織田信長だと本能寺の変で死ぬことを、日本人であればみんな知っています。
そこでファンタジー要素を組み合わせ、異世界の物語とすることで結末がわからないようにしたのです。史実をモチーフにしていることで物語にリアルさや深みが増し、且つ最後までどうなるかわからないドキドキワクワク感も得られる。一石二鳥ですね。
複雑なプロットと多彩な登場人物が織りなす一大叙事詩
『氷と炎の歌』を読んで驚いたのは、原作を忠実に再現していると言われているドラマであっても、かなり端折られていたこと。でも原作のページ数を考えると、さもありなん。
何せ日本語版では1部につき上・下巻や上・中・下巻に分かれているほど、とにかくボリュームが半端じゃありません。
設定の複雑さや登場人物の数もドラマ以上で、ドラマでさえ地名や人物名を覚えるのに四苦八苦したのに、原作は巻末や巻頭に付けられている設定資料をチェックしながら読まないとお手上げです。
それでも複雑に絡み合う物語やあちこちに張り巡らされた伏線などとにかく面白く、何度読んでも飽きません(何度も読み返さないと細かい設定などを覚えられない複雑さ、という事情もありますが)。
中でも魅力的なのは人間味溢れる登場人物たち。『氷と炎の歌』には単純な悪人、善人はいません。すべての人間がそうであるようにいい面と悪い面があって、視点人物であっても酷いことをするし、悪役ポジションの人でもいいことをします。
いい意味でも悪い意味でもすべての登場人物が人間。そして、だからこそ面白い。ファンタジー要素というのはあくまで『氷と炎の歌』を構成する一部であって、ファンタジーが苦手な人でも一度読めば夢中になること間違いなしです。
ただ、最初に書いたように現在発刊されているのは第5部まで。すでに第5部まで読みつくした私としては、1日も早く続きが読みたくてたまりません。
作者によれば、今夏に第6部が脱稿予定のようですが(それまでに完成しなければ自宅軟禁にしてもいいと本人が言っているので)、日本語版が出るまでどれだけ待たなければいけないのか……溜息です。
とは言え、第5部まででも大変なボリュームなので、ステイホームで時間がたっぷりある今、じっくり読むにはもってこいの作品ですよ。
\d払いがとってもおトク!/
DATA
早川書房┃『氷と炎の歌』シリーズ
著者:ジョージ・R・R・マーティン
サイズ:A6判(文庫本)