夫を「つくづく他人だなあ」と思う……コロナ禍だから気づけたのかも
コロナ禍、夫を「つくづく他人だなあ」と思う瞬間
夫婦といえどももとは他人。そしてこのコロナ禍の状況で、それをはっきり知らされたような気がするという女性は少なくない。ただ、「他人だ」と感じたからこそ、うまいくこともあるし、逆にぎくしゃくすることもあるのが「組み合わせ」の興味深いところかもしれない。
ケース1. 仕事ができない夫にがっかり……ユキノさんの場合
ユキノさん(43歳)は、同い年の男性と結婚して13年。10歳のひとり娘がいる。
「本当はもうひとりほしかったんですけど、恵まれなくて。私は仕事を続けています。夫は娘にメロメロ。それなりにうまくいっている家族だと思っていました」
今は、夫婦ふたりとも在宅ワークとなっている。夫が家にいるようになってから、彼女は夫への見方が少し変わったという。
「夫とは会社も別だし、どういう仕事をしているのかも詳細はわからなかったんですが、夫のテレワークのやり方を見ていると、ああ、この人は仕事ができるタイプではないなあ、とわかってしまって。会議をしているのを小耳に挟んでも、全然、論理的な議論ができていない。ちょっとがっかりでしたね」
出世はしなくてもいいが、夫は会社のお荷物になっていないだろうかと彼女は心配だった。周りも仕事がなかなか捗らないに違いないと感じたのだ。
「でも、それは私が心配しても始まらないことですからね。ただ、夫はいつも仕事ができることを自慢していたんです。だから実際に仕事ぶりを見て、夫に対して抱いていた敬意みたいなものはなくなってしまいました。しかもこの人は何を根拠に仕事ができると思っているんだろうと、夫の人格までわからなくなって……」
日々、気持ちが離れていく。娘にとってはいい父親だと自分に思い込ませるのに必死だという。
「これで夫に対して父親としてがっかりさせられることがあったら、もうそのときは終わりだなと思いますね」
冷めた自分をどうすることもできないとユキノさんは言った。
ケース2. 夫は他人だから仕方ない!ミチカさんの場合
同じように、家族4人で長い時間をともにするようになって、改めて「夫は他人だ」と思ったことでかえって心が軽くなったという女性もいる。ミチカさん(44歳)は、2歳年下の男性と結婚して13年。12歳と10歳の子がいる。彼女はパート仕事が自宅待機となり、夫は週に1度出社、他の日は家で仕事をしているそうだ。
「家で過ごす時間が長くなって、夫が以前とは変わりました。精神的に不安定になった。ちょっとした物音に『うるさい』と反応したり、子どもたちの勉強を見ながらむやみに叱ったり。以前は『勉強なんてできなくたっていい』と言っていたのに、どうしてこんなこともわからないんだと声を荒げるんです。今まで私が知っている夫とはちょっと違う。『あなた自身のストレスを子どもにはぶつけないで』と言うと、オレはそんな小さな人間じゃないと怒鳴って。じゅうぶん小さいと思うんですけどね(笑)」
狭いマンションに4人で生活していると、ミチカさんはふと、これが現実なのか夢なのかわからなくなる瞬間がある。
「たった2カ月くらいで生活が激変しているんですから、人生って本当に何があるかわからないなと思います。ずっと引いて夫を見ると、私、どうしてこの人と結婚したんだろうと感じることもあります」
もっといい人がいたのではないかと過去の恋愛を思い出すこともある。それでも、今の人生は自分の選択が作ってきたのだと気持ちを改めた。
「この2カ月でいちばん感じるのは、夫は他人なんだなということ。子どもたちが考えていることはわかることもあるけど、夫が何を考えているのかはまったくわからない。言葉にせずにわかりあえる部分がないんですよね」
ただ、彼女はそれでいいと思えるようになってきたという。夫は他人、だから夫のことはわからないという前提で接していけばいいのだ、と。夫婦だから、家族だから何でもわかりあえるわけではない。
「わからないままでもいい、無理にわかろうとしなくていい。今はそんなふうに思っています。夫にも『あなたと私は他人なんだとつくづく思う』と言ったんです。そこからそれでもいいから共に生活していこうという話をしたかったんですが、夫はそれだけで不機嫌になっちゃって。やっぱり小さい男だと思います(笑)」
夫を否定しているわけではないのだが、伝わらなかったらしい。そこでもまた、やっぱり他人だとミチカさんは確認したと笑った。
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