高値を更新している金価格を見て、「純金積立に興味があるのですが……」なんて相談を受けることも増えてきました。
ちなみに僕自身も運用資産のうち、100万円ほどは「金ETF」に投じています。目先は株よりも金が上がる可能性もあると思います。そこで今回は、コロナ不況において「純金積立」が魅力的なのかどうか、僕なりの見解をまとめていきます。
コロナ不況で純金積立が注目されるのはなぜ?
復習:純金積立は「儲からない」
本題に移る前に1つだけ復習しておきましょう。それは、もともと純金積立は「儲からない」という点です。先日、「純金積立にまつわる2つの嘘」という記事を書きました。この記事では、純金積立は「そもそも投資ではない」と説明しました。なぜなら、純金の価格は需要と供給で上がったり下がったりするだけで、株式や債券のように利回りの裏付けがある訳ではないからです。
よって、純金積立の主な活用法は、リスクを分散すること。つまり「損をするリスクを避けるため」と考えておくのが基本です。
純金積立が選ばれる2つの理由
ここからが本題です。コロナ不況で純金積立が選ばれる理由は2つあります。1つ目は、純金は「自由にばら撒けない」という点です。現金は印刷できますが、純金は印刷できません。ここ最近は、世界の中央銀行が次々に金融緩和を発表しています。つまり、「通貨をばら撒いて」います。ばら撒きが物価上昇(インフレ)につながり、通貨の価値が薄れてしまう恐れがあります。
その点、純金は自由にばら撒けません。この「融通の利かなさ」が大事で、通貨よりも価値が薄れにくいと期待できます。
2つ目は「倒産しない」という理由です。株式投資では投資先が倒産することがあります。ですが、純金は倒産しません。不況では、企業の業績が悪化することは日常茶飯事です。株式などに投資をすると、投資先の業績が悪化して株価が下がってしまう恐れがあります。
その点、純金価格は「人気がなくなり価格が下がる」リスクはありますが、少なくとも株式のように「買い付けたものが著しく劣化してしまう」恐れはありません。
まとめると、「自由にばら撒けない」「倒産しない」といった特徴を持ち合わせているからこそ、いま純金積立が選ばれるのでしょう。
純金積立は「現金を持ちたくない、でも良い投資先も見つからない」というときに、有力な避難先です。今後の不況に備えて、財産のいくらかは持っておいてもよいかもしれませんね。
【参考文献】
- WEB記事:日本経済新聞, 2020, "「リスクの国有化」が加速 金相場に追い風", 2020年4月25日時点
- WEB検索:Google検索, 2020, "SPDRゴールド・シェアーズ", 2020年4月28日時点