避妊以外の効果も様々な低用量ピル
低用量ピルは、避妊効果だけでなく、月経不順や月経困難症、PMS、ニキビなどの改善目的でも処方されます
婦人科では避妊の目的だけでなく、月経困難症、特に子宮内膜症や子宮筋腫など、女性ホルモンに依存する症状がある場合などに低用量ピルが使用されることがあります。今回は、低用量ピルの一つである「トリキュラー」について解説します。
トリキュラーとは・効果……避妊・月経不順や月経困難症、PMSの改善等
トリキュラーは、1錠あたりに異なる量の黄体ホルモンと卵胞ホルモンを含有した錠剤です。正しく服用することにより、排卵の抑制ができることと、女性の自然なホルモンバランスの作り出すことで、下記の効果が期待できます。- 高い確率での避妊効果(飲み忘れなく服用できた場合には、99%以上)
- 月経不順の改善
- 月経困難症(特に子宮内膜症や子宮筋腫など、女性ホルモンに依存する症状)
- PMS(月経前症候群)の改善
- 肌荒れ(ニキビなど)の改善
「トリキュラー21」「トリキュラー28」の飲み方
トリキュラー錠には服用方法の違いにより、21日服用するタイプの「トリキュラー21」と28日服用するタイプの「トリキュラー28」があります。■トリキュラー21の飲み方
トリキュラー21を服用する場合、初回は月経が始まった日から服用を開始し、1周期(28日間)の間、薬剤シートの番号「1」から「21」まで毎日服用します。21 日間は毎日1錠ずつ服用し、次の7日間は休薬します。飲み忘れをなくすために、毎日ほぼ一定の時刻に服用するように習慣づけましょう。
避妊を目的で服用する場合には、服用開始が月経初日よりも遅れてしまった場合、最初の1週間は他の避妊法も合わせて取り入れてください。通常であれば、21日間服用後、7日間の休薬期間中に月経が始まります。
7日間の休薬期間終了したあとは、月経の継続、終了に関わらず、翌日から新しい薬剤シートの「1」から服用を開始してください。
■トリキュラー28の飲み方
トリキュラー28は、トリキュラー21のように、休薬期間がありません。トリキュラー21と同様に、21日間は女性モルモンが配合された錠剤を服用しますが、その後の7日間は女性ホルモンの入っていない錠剤であるプラセボ錠を服用します。
シートの28まで服用した時点で、月経の継続、終了に関わらず、翌日から新しい薬剤シートの「1」から服用を開始してください。
28タイプのメリットは、毎日一定の時間に服用するという習慣を崩すことなく、服用を継続できる点です。
トリキュラー21、トリキュラー28を飲み忘れた場合
飲み忘れた場合は、気づいた時点で飲み忘れた分の1錠を直ちに服用し、加えて、その日の分も通常どおりに服用してください。その日は1日に2錠服用することになります。トリキュラー28のプラセボ錠剤は、飲み忘れても問題ありません。もし飲み忘れたまま24時間以上経過してしまった場合は、一旦服用を中止し、次の月経を待って新しいシートで、再び服用を開始してください。この場合の周期は、妊娠する可能性が高なるため、その周期は他の避妊法を使用するようにしましょう。
トリキュラーの副作用・注意点・禁忌
トリキュラーで注意すべき重篤な副作用は、血栓症です。発生頻度は高くありませんが、長時間体が動かせない状態が続いたり、水分不足が続いたりした場合、血栓症を招きやすくなります。喫煙者は血栓症のリスクが高くなりますので、トリキュラーを服用する場合には禁煙する必要があります。服用開始後に下記のような症状が出た場合は服用を中止し、直ちに医療機関を受診してください。
- 手足の突然の痛み・腫れ、脱力・まひ
- 突然の息切れ、胸の押しつぶされるような痛み
- 激しい頭痛
- 舌のもつれ・しゃべりにくい
- 突然の視力障害
- その他、血栓症が疑われるような症状(足のしびれ・発赤・ほてり、吐き気など)
また、下記の方は、トリキュラーの服用ができません。
- トリキュラーの成分が体に合わない方
- 妊娠中、授乳中、妊娠の可能性がある方
- 血栓症の既往がある方
- 肝機能障害、腎機能障害のある方
- 35歳以上で、1日15本以上のタバコを吸う方
- その他血栓症の素因のある方
トリキュラー服用後、生理はいつくる? 生理が来ない場合に考えられること
トリキュラー21の服用が終了すると、通常は2日から5日の間に月経がきます。トリキュラー28の場合は薬効のないプラセボ錠の服用中に月経がきます。初回の服用で月経がこない場合も、通常通りの服用を継続し、医師に相談してください。また、指示通りの服用ができなかった場合や、飲み忘れがあった場合には、排卵し、妊娠することがあります。
トリキュラー通販の利便性・注意点
現在、トリキュラーなどの低用量ピルの医薬品を販売する「個人輸入代行サイト」を利用される方もいらっしゃるようです。ただ、 個人輸入代行サイトは、あくまで個人輸入を代わりに行うだけですので、製品の質を保証する責任がなく、取り扱う医薬品が、偽造品である可能性も否定できません。また、万一、副作用による健康被害が起きた場合も、日本の医薬品であれば「医薬品副作用被害救済制度」を利用して、医療費などの給付を受けることができますが、個人輸入品の場合には、制度の対象外となります。
正しく使えば女性ホルモンを安定させ、メリットも多い薬になりますが、上記にあげた副作用や、服用における注意点もあります。何かがあった時に相談できる医療機関があるのは、お体を守る上でも大切なことですので、まずは医療機関から処方を受けることをお勧めします。
安心して相談できる場所を確保した上でピルの活用を
現在、ピル服用の利便性を広げるために、オンライン診療などを実施する医療機関も増えつつあります。オンライン診療であれば、不安なことがあった場合には、医師への相談が可能で、品質も保証された製品を入手することができます。トリキュラーを始めとする低用量ピルは、服用することで高い確率で避妊効果が得られたり、体調を整えることができたりと、有益な点も多いですが、いくつか注意点もありますので、安心して相談できる場所を確保しながら、活用していただければと思います。