亀山早苗の恋愛コラム

夫の単身赴任で「毎日が楽しくなった」妻が気づけたこと

夫の些細なひと言に、長い年月、苦しめられている妻は多い。そんな妻のひとりが、夫の単身赴任によって、「日常生活が楽しくなった」と生きる喜びに目覚めたと話してくれた。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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夫の単身赴任で、生きる喜びを取り戻した私

鬼の居ぬ間に洗濯

夫の些細なひと言に、長い年月、苦しめられている妻は多い。そんな妻のひとりが、夫の単身赴任によって、「日常生活が楽しくなった」と生きる喜びに目覚めたと話してくれた。

 

実は夫の顔色をうかがっていたと気づいた

「恋愛結婚ですからね、私はそれほど夫にビクビクしながら暮らしていたわけではないんです。ただ、今、振り返ると、言いたいことを言うとめんどうくさいから言わないでおこう、ということは多々あったと思う」

そう言うのはハルエさん(42歳)だ。結婚して12年、10歳のひとり娘がいる。夫は2歳年上で友だちの飲み会で知り合い、2年つきあって結婚した。

「子どもが産まれたとき、夫は立ち会いもしてくれたし、できる限り早く帰って娘の顔を見ようとしていた。それなりに手伝ってくれていました。私は育休をとっていましたから、よほどのことがない限り、夫に負担をかけまいとはしていたと思います。ただ、夫はもともと口数の多いタイプ。ひと言いうと百言返ってくるので、子育てに忙しい身にとってはめんどうなんですよね」

夫と話すとめんどう。それがハルエさんにインプットされたのは出産後の子育て時期なのかもしれない。

夫は密なコミュニケーションを求めるタイプなのだという。何かを話していても、「どうして?」「そこでハルエはどう思ったの?」と細々聞きたがる。人はなにげなく行動を起こすこともあるのだが、彼はそこには必ず理由があるはずだと言い張って理由を聞きたがるのだ。

「私、趣味がフルートなので、あるときフルートのクラシック曲を流していたんですよ。そうしたら夫が、『どうして今、この曲なの?』って。理由なんてない、と叫んでしまいました。人がなにげなくすることを夫は許さないんですよね」

夫と関わるときは体力が必要なのだ。

 

もっとぼんやりできる時間がほしい

つまり夫は「人をぼんやりさせない」人。一方でハルエさんは、おっとりした性格で、ひとりでぼうっとしているのも好きなのだという。

「子どもを育てているとぼうっとしてもいられないんですが。1歳になったとき保育園に入れたので、私も職場復帰しました。忙しい日々の中で、少しでもぼんやりできる時間は確保しました」

帰宅すれば夫はひとりにはしてくれない。週末、夫が子どもと遊んでいるので、少しひとりになる時間がほしいと思っても、夫がどこへでもついてくる。

娘が小学校に上がるとき、夫が地方に転勤になった。彼女はこれ幸いと、教育の問題があるから単身赴任で行ってほしいと夫に告げた。

「娘のためならしかたがないと思ったんでしょうね。それから3年、夫は単身赴任しています。夫がいなくなって、私は毎日ぼんやりする時間がとれるようになり、自分の生活ペースができてきました。帰宅した夫につきまとわれることもなく(笑)、毎日安心して暮らしています」

自分の生活を取り戻し、逆にいろいろなことに意欲的になっているという。アレルギーをもつ娘のために米粉でケーキを作ったりもしているし、またフルートを習い始めてもいる。

夫は毎日のようにテレビ電話を要求してくる。それは娘に任せていたのだが、先日、とうとう娘が「おとうさん、毎日じゃなくていいよ。私も忙しいから週に2回くらいにして」と言っているのを聞き、ハルエさんは吹きだしてしまったという。

「なんていうのかな、人に対する温度が高すぎるんですよね。特に家族に対してなのか、仕事でもああいう感じなのかわかりませんが」

温度の高い夫は悪い人ではないだろうが、夫婦間でも、相手を尊重する気があるのなら、相手のプライベートな時間や空間には踏み入れないほうがいい。ハルエさんは、自分がここまでプライベートな時間を必要としていると気づいていなかったのだ。夫が日常的にいなくなって初めて、自分のペースを再確認した。


「夫の単身赴任がずっと続いてほしい。本気でそう思っています」

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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