All About『マネープランクリニック』でアドバイスをするFP深野康彦さんとマネーライターの清水京武さんが、サラリーマンが副業をする上での税金の注意点について解説します。勤務先に分からないようにするときの手続きとは?給与収入の他の所得の合計が20万円以下であれば、確定申告免除という制度がありますが、住民税の申告はしなくてはなりません。
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第1回『働き方改革で減る収入と隠れ値上げに注意』
第2回『家計管理や支出で陥りやすいワナに注意!』
第3回『もっとお金が貯まる保険の見直し方』
第9回『サラリーマンが確定申告をする際に気をつけたいことは?』
FP深野が緊急メッセージ!新型コロナウイルスに負けない家計の守り方
【サラリーマンが副業する時の税金の注意点は?】
生活が苦しいから副業、でも「会社にバレたくない」という人も!
深野康彦さん:皆さんこんにちは。ファイナンシャルプランナーの、深野康彦です。清水京武さん:皆さんこんにちは。マネーライターの清水です。よろしくお願いします! 今回は、今話題と言えるサラリーマンの副業についての注意点をお話しいただきたいと思います。
深野さん:清水さんとやっていて、それこそ収入が減ってしまったので、我々もたまにアドバイスで、「時間があれば副業したらいいんじゃないですか?」と。場合によっては、「副業をしています」という方もいるので、副業というのはタイムリーな話題でしょうね。
清水さん:ただ、企業で公言して副業を認めている企業は、ざっくりと2~3割ですかね。いろいろな調査があるみたいですが。7~8割の会社は、公には副業を認めていません。でも副業をしないと経済的に家計的に厳しい方は多々いらっしゃると思います。
深野さん:背に腹は代えられない、ということですよね。
清水さん:だから「会社にバレたくない」というのは言葉が過ぎるかもしれませんが、副業をするにあたって注意点があれば今回伺いたいのですが。
どうして副業をしていると勤務先にバレるの?
深野さん:今回税金のところに絞ってお話をします。まず注意しなくてはいけないことは、1年間の副業の収入がどれくらいあるかを考えるということです。通常働いている人は、給与収入がありますよね。実は、給与収入の他の所得の合計が20万円以下であれば、確定申告免除という制度があるんです。例えば副業の収入が月1万5000円程度で年間18万円でしたと。それ以外にお給料しかもらっていないという人は、確定申告免除です。してもいいですよという話にはなっていますが、20万円以下なら確定申告をしなくても大丈夫なので、それに該当する方は、基本的には確定申告をしなくてもいいんです。 ただし一つ条件があります。
税金というと、一般的には所得税と住民税を払っているでしょう? 今の20万円の論理は、所得税の面では申告しなくていいけれど、住民税ではしなくてはいけないとなっているんです。それを考えると、実際には20万円といってもするのが原則です。 なぜそれを言ったかというと、清水さんがおっしゃったように、会社が公認していれば別に副業をやるのはやぶさかではないけれど、残念ながら認められていないところが7~8割あるわけですから、そちらのほうが多数派なのかと思います。
ではその人たちが確定申告をすると何が起こるかというと、まず一つは住民税でバレる可能性があるんです。住民税は例えば会社のほうで言うと特別徴収というかたちになります。通常住民税は、原則自分が住民票を置いている自治体から会社に連絡がいきます。 例えば私なら「深野康彦は1年間でこれくらいの住民税を徴収するので、毎月いくら徴収してください」という徴収の依頼を、市区町村から勤務先に出しているんです。勤務先は市区町村、地方自治体の代行をしているだけなんです。
清水さん:税金計算をしているんですね。
副業を勤務先に知られたくない場合は、普通徴収を選択する
深野さん:所得税は違いますけどね。所得税は国の代行というイメージです。何がポイントかというと、勤務先の給料だと住民税はこれくらいだけど、市区町村から来ると数万円違うということになります。例えば清水さんがもし該当したら、「清水は何かやっているんじゃないか?」と、会社からマークされる、呼び出されてしまうケースがあるんです。 だから基本的には確定申告をしたとしても、所得税からバレることはほとんどありません。給料と副業があったら、その所得税に関しては、確定申告をして「あなたは3万円納めてください」となったら、自分でそれを納めればバレません。 逆に言うと、払い過ぎです、取り過ぎですとなれば、還付が来ることになります。ただし住民税は先ほど言ったように、一般的には特別徴収というかたちで、勤務先に徴収が来るからバレてしまいます。
そうするとよく言われるのは、「深野先生、バレない方法はないんですか?」ということです。 住民税には特別徴収と呼ばれるものと、普通徴収と呼ばれるものがあります。特別徴収は勤務先が代行して自治体の代わりに徴収して納めてくれます。普通徴収は自分で納めます。だから副業のほうで普通徴収を選ぶことで、勤務先には知られることはないといわれています。
清水さん:そうすると、うっかり特別徴収を選択してしまうと、副業をやったことがバレてしまって居づらくなる可能性があるので、どうしてもやむを得ず副業をせざるを得ない場合には、普通徴収を選択すると。これは自分で納付するということなので手間はかかりますが、それをやっていくことが一つ注意点としてあるかなということですね。
深野さん:確定申告をする場合、提出するための申告書についてネットで調べたりすると思いますが、一般的に出てくるのは国税庁の所得税の確定申告の用紙であることが多いでしょうね。確定申告で税務署で所得税を計算した後に、そのデータが自治体にいき、各自治体で住民税の計算がされて住民税の金額が決まります。注意してほしいのは所得税の確定申告書に住民税の徴収方法、特別徴収か普通徴収のどちらにするかを選ぶ場所があるんです。会社にバレたくない人は、「住民税をどうやって納めるか」の欄にチェックするのを忘れないでください。必ず「自分で納付」つまり普通徴収を選んでください。確定申告用紙を提出するときは、そこだけは何度も見ておいたほうがいいと思いますよ。
清水さん:今回副業している会社員、サラリーマンの方で、会社が認めていないような方の場合、税金での注意点を中心にお話しいただきました。次回はその他に副業でいろいろ注意点があるみたいなので、それをまた伺いたいと思います。ありがとうございました。
★2020年の家計防衛は次回に続きます