首都圏在住のめぐみさん(41)は、共働きで一児を育てているママ。10年前に結婚し、紆余曲折を経て、いま夫に対する気持ちは「『ありがとう』と『ごめんね』。夫に新しく彼女ができればいいなという思い」だといいます。一体、夫の不倫を願う気持ちに至るまでには、何があったのでしょうか。
不安から暴言をくりかえす夫
浮気の責任も妻のせい?
出産から数カ月後、旦那さんの病気が発覚し、めぐみさんは新生児を抱えながら夫のサポートをすることを余儀なくされました。
めぐみ:夫が病気のせいで放心状態だったので、サポートしなくちゃ、私がしっかりしなきゃと思っていました。夫が身体にいい食事を望むので、お弁当や食事をすべて手作りしていたのですが、夫からは『こんなの食べられない』と捨てられたり、『オレと赤ん坊、どっちが大切なんだ!?』とか『あなたみたいな冷たい女じゃなくて、オレを思ってくれる女と結婚する』などと言われて、疲れましたね。そりゃ赤ちゃんの方が大切ですよ。夫があまりにも不安定なので、私は一度実家に帰りました。
ガイド:母親が不安定になる新生児期に苛酷でしたね。旦那さんはお子さんの世話をしていたのですか?
めぐみ:自分でせいいっぱいで、ほとんど何もしませんでしたね。私が実家に帰ったときも、夫から狂ったメールがやまないので、離婚を提案したのですが、離婚という言葉を出したとたん、歩み寄ってきたのでいったん仕切り直しをしました。
ガイド:旦那さんは、ずいぶん感情に揺れがあるようですが。
めぐみ:夫は、もともと他人に対する期待が高く、自分に甘いところがあります。病気によってその性質に拍車がかかったのでしょうね。病気は治りましたが、暴言や狂ったメールはやみませんでした。なので、もう一度離婚を考えて、夫に実家に帰ってくれと頼んだんです。その方がお義母さんの愛情たっぷりの手作り料理も食べられるし、と。
ガイド:旦那さんは受け入れてくれたのでしょうか。
めぐみ:いいえ、今度は『死にたい、生きていても意味がない』と言い出して『いま、橋の上にいる』と電話がかかってきました。
ガイド:自殺を試みた、ということですか?
めぐみ:どうなんでしょうか。本当に死ぬ気はなかったと思いますが、すぐ夫の実家に電話してその時の状況と『私の手には負えない』と報告して。夫はその日の朝、帰ってきました。
ガイド:うつ病のおそれはあったのでしょうか。
めぐみ:そうかもしれませんが、過剰にかまってほしいと甘えているようにしか思えませんでしたね。何度も『他のもっと優しい女と結婚する』と言うので、弁護士に相談をして離婚調停をもちかけました。するとそれには、待ってほしいと言ってくる。あきれますよ。
ガイド:現在離婚をしていないわけですが、また仕切り直しがあったのですか?
めぐみ:私の友人に母子家庭で育った子がいて、顛末を話したら離婚にものすごく反対されたからです。当時、母子家庭は珍しかったみたいで父親がいなくて苦労したことがたくさんあったと聞きました。子どもは夫のことが好きだし、夫も子どものことが大好きなので踏みとどまりました。
弱者マウントをとる夫
ガイド:辛抱強いですね。めぐみ:たぶん、夫への期待が消えていたからでしょう。その後も浮気疑惑があって(のちほど確定)、夫は本当にダメだなと。その時の言い分は『セックスレスで辛かったから、もっとスキンシップを取りたい、子どもが欲しい』です。そこで第二子をがんばった時期もありましたが、考えてみたら彼はいつも弱者だと主張してマウントを取ってくる。いつも『かわいそうなのはオレ』で、私の気持ちに寄り添ってもらったことは一度もありません。私はメンタルが強いほうだと思いますが、彼は弱いし、それを押しつけてきて、不公平だと感じます。
ガイド:夫に彼女ができてほしい、というのは本音ですか。
めぐみ:はい。もはや夫には、私と合わなくて申し訳ないなという気持ちです。優しくて尽くす専業主婦という理想の妻じゃなくてごめんねと。夫に好きな人ができて、『別れてほしい』と言われたい。そしたら怒るフリをしますが、たぶん私の顔はニヤけているでしょうね。
ガイド:夫から別れを切り出されるのを待つのですか?
めぐみ:子どもが巣立ったら一緒にいるのは無理なので、離婚の日を夢見ています。私は正社員で働いていて生活が安定しているので経済的な不安はありません。私が両目をつぶっていれば結婚生活は淡々と続くので、子どもが小さいうちはやり過ごそうかと。
夫は日々の生活で重箱の隅をつつくように私を責めたりもしますが、適度にスルーしています。私が機嫌よく対応すればあちらも気持ちが晴れると思いますが、また『結婚生活は、まだイケる!』と思われるのもイヤなのであくまでクールに対応しています(笑)。
「私は出産したとき底辺を体験しているので、夫に対して希望や期待は一切ない」と語るめぐみさん。これまでのインタビューでは、「夫に振り向いてもらえず苦悩する妻」が多かったのですが、めぐみさんは真逆です。
妻の一挙一動に介入し、自分を心配してほしい夫と、それにある程度応えてきた妻。しかし、仏の顔も三度までなのでしょう。夫に対する落胆が底までいき、「あわれむべき他人」という観念にまで到達しているようです。
めぐみさんは「いざ、離婚となって判を押すときは、これまでの結婚生活を思って胸がザワつく(感慨深い)と思う」と言っていましたが、離婚に対して心底明るい希望をもっている様子がうかがえました。