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僕は株を10年ほどやっていますが、株が暴落する度に「もう株をやめます」と資産運用をやめる人を見ては、「もったいないなぁ……」と感じます。
株暴落で損をしない秘訣とは
株価が下がれば、株がお買い得になる
個人的に疑問なのが、「どうして人は、株価が下がると売りたくなるのだろうか?」という点です。もともと株式投資は、「投資先の財産や収益の一部を受け取る権利」である株式を購入します。そして、投資先の収益の一部を受け取ることで収入を増やします。つまり、株式投資は「収入を買う」ことに他なりません。そして、増えた収入でさらに収入を買い、少しずつ収入を増やしていきます。収入は複利で増えていき、いつしか多額の収入を得るようになるのです。
にもかかわらず、相場が暴落すると「安くてもよいから株を売りたい!」という動きが多発します。つまり、収入源を安売りする人が増えるのです。これは合理的ではありません。
歴史的に見ると、株式投資の平均的な利回りは「金利+年率4~5%」です(1)。今は金利がほぼゼロなので、年率4~5%以上の益回りが期待できる株であれば、むやみに売るよりも、保有を継続すべきでしょう。
有名な論文でも、「益回りが高い会社ほど、株価が上がりやすいぞ!」という傾向も確認されています(2)。
益回りは、「1÷PER」という式で算出できます。なので、株式情報サイトなどを確認するときには、「PER」の数字を確認するとよいでしょう。目安としては、PERが20~25倍よりも小さな株は、長い目で見て株価が上がりやすいと期待できます。
当たり前の話ですが、株は安く買うほど得であり、高く売るほど得です。だから、「株価が下がったから売りたい」という発想は、王道からほど遠く、ほぼ真逆です。
(ボロボロの株を売った場合は、立場が逆転するかもしれませんが、優れた投資先に限って言えば、)株価が下がったときにニヤリとしているのは常に、株を売り抜けた投資家ではなく、株を買い増ししている投資家のほうです。
株暴落で損をしない秘訣は?
大事なポイントは2つあります。1つは、「株価が下がって気持ちが悪いから」という、感情的な理由で株を売らないことです。株価が下がっても、投資先のビジネスに支障がなければ、いずれ株価はもどるはずです。一時的な感情に振り回されると、財産とも呼べる株を、安売りしてしまいます。そうならないためにも、「もし今、株価が下がっていなかったとしても、この株を売っていただろうか?」と考えるとよいでしょう。
もう1つは、「株価が下がったぐらいで不安になってしまうような株は、そもそも買わない」ことです。優れた株を持っている場合、株価が下がったら、売るどころか買いたいところです。
株価が下がって不安になるのは、そもそも株を買う前の分析が甘いからです。「良いか悪いか分からないけど、なんとなく株を買っている」から、少し株価が下がっただけで心配になってしまうのでしょう。
きちんと分析さえしていれば、多少株価が下がってもどっしりと身構えられます。株価が下がってから狼狽するのは、結局手を抜いたからに他ならないのです。
まとめ
相場が乱高下すると僕らは動転し、基本を忘れてしまいます。その結果、冷静なときには考えられないようなミスをしてしまうのです。株式投資の基本はシンプルです。それは、「株を買うことで、収入を買うこと」「安く買えば得だし、安く売れば損だ」という2つです。
この基本を忘れずに、手堅くお金を増やしたいものですね。
【参考文献】
- 論文:山口勝業, 2016, "株式リスクプレミアムの時系列変動の推計 --日米市場での62年間の実証分析", 証券経済研究, 93, pp. 103-111
- 論文:S. Basu, 1977, "Investment Performance of Common Stocks in Relation to Their Price-Earnings Ratios: A Test of the Efficient Market Hypothesis", The Journal of Finance, 32(3), pp. 663-68
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