水色に染まるディズニーストア
世界中で社会現象を巻き起こしたディズニーアニメ「アナと雪の女王」(2013年)。2019年11月には続編となる「アナと雪の女王2」が公開され、2020年1月31日現在もロングラン上映が続いています。主人公であるアナとエルサの姉妹は、子どもたち、特に女の子に人気が高く、人気キャラクターランキングの上位に名前が上がります。ディズニーストアには、「アナ雪」のグッズが並び、氷の女王となったエルサが作り上げた氷の城のように、店内の広い面積を水色が占めています。
女の子はピンクが好き、ピンクは女の子の色と思われがちですが、実は水色も女の子に人気の高い色のひとつ。シンデレラや「アラジン」に登場するジャスミンなど、ディズニーアニメの中でも、水色のドレスを身につけたプリンセスは人気です。アナ雪では、氷の女王となったエルサのドレスが水色になり、物語の舞台となるアレンデール王国が雪と氷に覆われます。そのため、作品全体が水色に染まります。
アナ雪では、姉のエルサは氷や雪を操る魔法の力を持つ“ありのままの自分”を受け入れ、妹のアナはエルサの魔法の力の秘密を解き明そうと、未知の世界へ冒険を始めます。アナとエルサの姉妹は、オラフやクリストフといった仲間たちとともに、数々の試練を乗り越え、アレンデール王国に陽光を取り戻します。
青い空、木々の緑、美しい海の青に恵まれたアレンデール王国は美しく、明るいキャラクターのアナのドレスの色とリンクしています。アナが身につけているグリーンのドレスの方が、幸せの象徴であるように思えるのですが、「アナ雪」のグッズには、エルサを象徴する水色が多く見られます。エルサの水色は、魔法の力を象徴するもの。女の子たちは、エルサの魔法の力に憧れを抱くのかもしれません。
映像技術の進歩によって広がる水色の表現
アニメや映画などの映像作品には独特のトーンがあります。それは、監督やカメラマンなど、作り手のこだわりもありますが、映像技術と密接な関係があります。映画は、白黒の映像がカラーになり、画面の縦横比も4:3(スタンダード)から、16:9(ワイド)や2.35:1(シネスコ)へと変わってきました。現在の技術では、人間が知覚できる色のすべてを再現することはできませんが、青や緑の明るく鮮やかな色を中心に、画面に映し出される色は豊かになっています。アナ雪がヒットしたのは、ストーリーやキャラクターの魅力もありますが、これまでのディズニーアニメになかった美しい水色の表現に、大人たちも魅了されたからではないでしょうか。
水色に惹きつけられる心理
ところで、今まで特に好きでもなかった色が、急に美しく魅力的に見えてくることがあります。どうしてこんな変化が起きるのでしょうか? それは、あなたの心と体の変化、そして、環境の変化にあります。水色は、赤やオレンジとは対照的にとても静かな色です。怒ったり、イライラしたり、興奮状態にある人の心にはなかなか響かない色です。水色に惹かれるのは、ものごとを冷静に受けとめて、正しく判断しようとする意識が強い人。感情に振り回されたくないと考える、知的なタイプだといえるでしょう。その一方で、自分の理想を大切にするがゆえに、理想どおりにならない現実に、自分でも気づかないうちに、怒りや憎しみを抱いてしまうことがあるのかもしれません。
水色は心の中にある荒れ狂う海を鎮めてくれます。心の中に穏やかな海が広がっていくと、持ち前の冷静さや創造力が働くようになります。水色はあなたの不安を和らげ、わだかまりを消し、慈悲深い心をつくってくれる色なのです。
季節が変わると、魅力的に映る色も変わっていきます。「アナ雪」には、雪と氷に閉ざされた水色だけでなく、明るく若々しい春の彩り、深まりゆく秋の彩りなど、季節の移り変わりも表現されています。「アナ雪」には、これまで見たことのない美しい水色の表現、そして、四季の彩りの変化など、多くの人々の心に響く色があります。ロングラン上映となったのは、色の力も無縁ではないでしょう。
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