日本はピル後進国? 諸外国と比べて低いピル使用率

ピルの効果・副作用

どんな薬にも、効果・副作用・服用方法などについての正しい知識が大切です


日本は、諸外国と比較して低用量ピルの使用率がかなり低い国です。その背景としては、
  • ピルに対する偏見が根深い
  • 海外では薬局で購入できる国が多いが、日本では医療機関でしか処方されずハードルが高い
  • 費用が高い
といったものが考えらます。
 

主なピルの種類・特徴

ピルは、含有する女性ホルモンの量によってに分類され、大きく「中用量ピル」「低用量ピル」「超低用量ピル」の3つに分けられます。現在一般に使われているのは「低用量ピル」と「超低用量ピル」です。アフターピルや生理周期を調整するピルとしては「中用量ピル」を服用する場合が多いです。
 
また、シートには「21錠タイプ」と「28錠タイプ」があります。21錠タイプは、3週間飲んで、1週間は薬を飲まない時期を設ける方式です。28錠タイプも同じですが、21回分の実薬と7日分の偽薬(プラセボ)が入っており、飲み忘れが起こりにくいように工夫されています。効果はどちらも同じです。
 
また少し専門的になりますが、ピルの種類の考え方として、「1相性」と「3相性(中間増量型/漸増型)」があります。「1相性」は、全ての錠剤に配合されている黄体ホルモンと卵胞ホルモンの量が同じものです。飲み間違えにくいこと、飲み忘れ時の対応が取りやすいことがメリットです。「3相性」は、錠剤に配合されているホルモンの量が3段階に変化するものです。生理的な月経周期のホルモンパターンに近く、不正出血が起きにくいという特長がメリットと言えるでしょう。
 

低用量ピル・超低用量ピルの世代の違い 

低用量・超低用量ピルには、発売時期や成分で第1世代から第4世代に分かれます。
 
■第1世代のピル(「ルナベル」)
第1世代のピルの黄体ホルモンには「ノルエステロン」が使われています。ただ、作用が弱いため、黄体ホルモンの量は多めに含まれます。卵胞ホルモンには黄体ホルモンの作用を増強する性質がありますが、卵胞ホルモンが多いことで、吐き気や頭痛などの副作用が起こりやすくなります。その半面、ニキビや体重増加など、男性化症状(アンドロゲン作用)が少ないというメリットもあります。「ルナベル」はこの第1世代に分類されます。
 
■第2世代のピル(「「アンジュ」「トリキュラー」「ラベルフィーユ」など)
第2世代に分類されるピルには「レボノルゲストレル」という黄体ホルモンが使われています。第1世代と比較して黄体ホルモン作用が高いため、卵胞ホルモン量を抑え、黄体ホルモンの量を少なくしても高い避妊効果が得られるようになりました。ただし、男性化症状(アンドロゲン作用)は出やすくなっているため、このアンドロゲン作用をできるだけ抑えるために、黄体ホルモン量を段階的に変化させていく「3相性」式になっているものが多いです。「アンジュ」「トリキュラー」「ラベルフィーユ」などがこの第2世代に分類されます。
 
■第3世代のピル(「マーベロン」「ファボワール」など)
第3世代に分類されるピルには、「デゾゲストレル」または「ゲストデン」という黄体ホルモンが使われています。第2世代の高い避妊効果を維持したまま、アンドロゲン作用や、吐き気や頭痛などの副作用が抑えられています。男性ホルモン作用が弱いので、ニキビに効果が高いとも言われています。「マーベロン」「ファボワール」などがこの第3世代に分類される。
 
■第4世代のピル(「ヤーズ」)
第4世代では「ドロスピレノン」という黄体ホルモンが使われています。「超低用量ピル」とも言われ、体内で分泌される黄体ホルモンに近い性質なため、副作用が更に軽減されているのが特徴です。また、卵胞ホルモン(エストロゲン)は最小に抑えられています。「ヤーズ」などがこの第4世代に分類されます。ただし、ヤーズは24日間服用し、休薬期間は4日になります。
 
※ヤーズとヤーズフレックス
第4世代のピルであるヤーズは「超低用量ピル」と言われます。月経困難症や子宮内膜症のために処方されるお薬ですが、規定通り服用していれば、避妊効果も得られるため、避妊薬としても使用されます。ヤーズフレックスは最長で120日間飲み続けることのできます。成分はヤーズと同じで、最長120日間(約4ヶ月)月経を無くすことができるという特徴があります。
 

ピルの値段……保険扱いか自費診療かでも異なる

月経困難症や子宮内膜症のために処方される場合は保険扱いですが、避妊目的の場合は自費診療の扱いとなるため、処方の値段も医療機関により異なります。
 

正しいピルの飲み方・注意点

ピルは毎日正しく内服する必要があります(正しくは、プラセボが入っていないものの場合は21日間飲み続け、7日間休薬する必要があります。休薬している7日間の間に月経がきます。)飲み忘れたら、気が付いた時点で飲み忘れた1錠を飲み、その日の分も予定通り服用する必要があります。 

ピルの注意点としては、血栓症のリスクが百数十倍にも跳ね上がるため、タバコとの併用はできないという点です。ガイドラインとして「35歳以上で1日15本以上タバコを吸う人はピルを服用してはならない」という記載があります。
 

ピルの効果……月経周期が整う・PMS軽減・月経量の軽減・避妊効果など

ピルには様々な効果があります。

■月経周期を整える効果
月経周期が規則正しくなります。ピルは21日間内服し7日間休薬することで、月経周期を28日周期にするため、月経不順は解消されることになります。
 
■月経前症候群(PMS)を軽減する効果
月経前症候群(PMS)の症状が軽くなります。PMSは、「月経前の3~10日間続く精神的あるいは身体的症状で、月経発来とともに減退ない消退するもの」と定義されており、イライラや頭痛、腹痛や腰痛や眠気、倦怠感、乳房の圧痛や四肢のむくみといった症状が出現します。頻度は全女性の50~80%、症状は200~300のあると報告されており、女性ホルモンのバランスの変化が、PMSを発生させる原因の一つだと考えられています。低用量ピルを内服することで、常に女性ホルモンのバランスを一定に保つことができるため、PMSの治療薬として効果を発揮してくれるのです。
 
■月経痛や月経量を軽減する効果
月経痛や月経量を軽減してくれます。月経中に増殖する子宮内膜には、子宮の収縮を促すプロスタグランジンという物質が含まれており、このプロスタグランジンの分泌過剰によって子宮収縮の増強をもたらすために、痛みを引き起こしてしまうのです。低用量ピルを内服すると、子宮内膜の増殖が抑えられるため、プロスタグランジンの量は減少し、月経痛が改善され、月経量も少なくなるというメカニズムです。
 
■避妊効果
避妊効果があります。継続して1年間ピルを内服した場合の妊娠率は0.3%と言われています。もちろん、内服を中止すれば、妊娠することが可能です。低用量ピルの内服を中止してから1年後の妊娠率は、94%であったという報告もあります。
 

ピルの副作用

「ルナベル配合錠LD/ルナベル配合錠ULD」の添付文書によると、機能性(特に原因となる疾患がない)月経困難症に対するルナベル配合錠を内服した652症例において、主な副作用は不正性器出血22例(3.4%)、悪心21例(3.2%)、浮腫9例(1.4%)、嘔吐8例(1.2%)、頭痛7例(1.1%)を認めたとあります。

稀ではありますが、血栓症(0.16%)やアナフィラキシー(頻度不明)も重大な副作用として知られています。これらの症状が現れた場合は、内服を中止する必要があります。
 

正しいピルの知識を持って、毎日の体調管理に活用を

低用量ピルを内服し、月経をコントロールすることで体調管理している女性が徐々に増えてきています。しかしピルについては、まだまだ理解が追いついていないのが現状です。月経痛は辛いものではなく、軽くすることができるもの。ピルに対する正しい知識を多くの方が身につけ、月経に振り回されることのない毎日を送れる女性が一人でも増えることを願っています。
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