「夫」と呼ぶ妻は、意外にも少ない?
ゲンナイ製薬株式会社が行った「夫婦の呼び方に関するアンケート調査」(2019年8月、全国の既婚女性1663名)によれば、女性がパートナーを示す言葉は、多い順に、「旦那」52.6%、「夫」30.2%、「主人」4.7%、「相方」0.5%でした。「主従関係」をイメージさせる「主人」の支持が低いのは予想通りでしたが、最もフラットな夫婦の関係性を示すと思われる「夫」の支持は3割程度で、「旦那」よりも少ないという結果でした。
「旦那」という呼称は、もともとサンスクリット語の「ダーナ」(=与える、施す、布施)から来ているそうで、僧侶がお布施をくれる人を指す言葉だったのだそう。それが次第に「面倒を見る人」「お金を出してくれる人」といった意味から、使用人が主人を、商人が客を指すようになり、やがて妻が夫を呼ぶ呼称になっていったのだとか。
「俺は奥さんのATMみたいなもんだ」とぼやく声を何度も聞きましたが、ドンピシャとあてはまります。
昭和の専業主婦が多かった時代には、「稼いできてくれる人」「養ってくれる人」であった既婚男性を指すにはぴったりな言葉だったのかもしれません。
しかしワーキング主婦が専業主婦を上回る現在でも、「旦那」と呼ぶ人が多いのはなぜでしょう? これについてヒアリングしてみました。
■若菜さん(仮名:41歳)の意見
なるほど、意識高い系妻は、そこまで策士になっているのですね。私が他の人に対して、夫を「旦那さん」とか「だんな様」と呼ぶのは、はっきり言って計算です。
「夫」という呼称は夫婦対等を掲げる「意識高めな妻の言葉」って印象が強くて、特に年配者には「女性が強いカップル」みたいな印象を持たれがちです。「旦那さん」とか「だんな様」の方が、妻より夫が上という男性を立てるイメージがあって、義父母ウケはいいんです。夫に確認したことはないですが、「だんな様」と紹介された方が本人も嬉しそうだし。
でも「旦那」って言葉には、「パートナーの男性を立て」つつ、「養ってくれる人は君だよ」とプレッシャーを裏でかけるという、「アメとムチ」的な奥深い戦略が潜んでいるんです。
呼称に潜む、したたか妻の本音
自分が紹介される時には、「嫁」よりもフラットな関係を示す「妻」の方を好むのに、自分がパートナーを紹介するときには、「旦那」の呼称で一段下がったふりをして夫に「お金を出してくれる人」の役割をこっそり自覚してもらう。「だんな様」という呼称一つにも、微妙な夫婦間の駆け引きが潜んでいると感じます。
友人同士の会話で「うちの子熊さん」「うちのゴリちゃん」と愛らしい動物に例えている妻たちもいます。愛情たっぷりでいい印象を与えます。呼び方ひとつで場が和む。
新しい時代なので、ダーリンとかハニーとかラブくんなど、我が家のオリジナル呼称を作成して夫婦円満化に努めようではありませんか。