■リーチDSLはADSLの救世主!?
ところで、リーチDSLを知らないという人のために、簡単に説明します。詳しくはガイド記事『リーチDSLモデムの実力を探る!』をご覧下さい。
リーチDSLとは、米パラダインが開発した技術で、ADSLの最大の弱点である「距離」の問題を克服したと言われる技術です。8MのADSLサービスでは収容局から約4km以上、12Mのサービスでも約6km以上離れてしまうと、接続できなくなってしまうのですが、リーチDSLモデムを利用して国内でも9kmで接続できた実績をもつ脅威の技術です。
その代わりといっては何ですが、最高速度が上下960Kbpsと、12Mbps(12000Kbps)が主流になりつつある今物足りなさを感じてしまいますが、最近公表された「リーチDSLバージョン2.2」では、最高2.2Mbps(2200Kbps)で通信できるようになったそうです。
ちなみに「Yahoo!BB」で採用されているリーチDSLは、最高速度が960Kbpsです(平成14年11月30日現在)。
土屋氏の場合、リンクが頻繁に切断され、運良く接続されても50Kbps以下という速度しかでなかったわけですから、リーチDSLを導入する意義は十分にあるわけです。
■リーチDSLの実力は凄かった!
リーチDSL開通当日。吉と出るか凶と出るか、ドキドキしながらモデムを繋いでみる……。果たしてちゃんと繋がるのだろうか……繋がりました!どうやら切断される様子はありません。早速速度計測をしてみると……平均して500Kbpsオーバーでした!
リーチDSLを導入した結果、安定して接続されるようになり、速度も以前の10倍以上も出るようになりました!
パラダイン・ワールドワイド・コーポレーション日本支社のデータを見ると、リーチDSLで500Kbpsでリンクする距離では、8Mはもちろん、12Mサービスでもリンクする可能性がかなり低いことがわかります。結果を見る限りでは、土屋氏の場合、リーチDSLがADSLを利用する唯一の方法だったように思われます。
■他社も導入してほしい!
ADSL事業者間で、高速化競争が激化する中、「距離」の問題がないがしろにされているような気がします。1.5MbpsのADSLが今や12Mbpsになり、最高速度は10倍になっていますが、利用可能距離は1.5倍程度にしかなっていません。高速化のメリットを十分に受けられるのは、NTT収容局からの距離が短いユーザーだけであり、距離や伝送損失の問題でADSLサービスを受けたくても受けられないユーザーがまだ多くいることも事実です。
ADSLは、CATVインターネットのような「局所的なサービス」であり、どこでも誰でも受けられる電気や水道のような「グローバルサービス」ではありません。ADSLが利用できないような場所は光ファイバーが来る可能性も低く、CATVのような他のブロードバンドサービスがない場合が多いと言えます。いまだに「ISDNが最速」というADSL難民地域があるのです。高速化も結構ですが、都市と地方の情報格差が無くなるようにして頂きたいと強く望みます。
今回の人柱体験で『リーチDSL』はADSL難民を救済する手段として非常に有効だということがわかりました。しかし『リーチDSL』を採用しているADSL事業者はほとんどありません。もっとたくさんの事業者が採用すべき技術ではないのでしょうか?
関連サイト: | ◆ガイド記事『リーチDSLモデムの実力を探る!』 |
◆「パラダイン・ワールドワイド・コーポレーション日本支社」 | |
◆「Yahoo!BB」 |