■無料が適用されるケースはほとんどない!?
NTTのフレッツ・ADSLの場合、申し込みがあると、事前調査(机上調査)を行い、その結果に基づいてADSLのサービス提供ができるかどうか、どのタイプのサービスが適しているかなどをユーザーにコンサルティングしています。(他の事業者のADSLの場合でもNTTの机上調査は行われ、その結果がADSL事業者に伝えられています)
私の経験上、今まででも、かなり「安全マージン」をとってコンサルティングをしていると言えます。ちょっと怪しそうなエリアでは「ADSLは利用できない(リンクしない)と思われます」という説明をされ、どうしても工事をしたいと言うと「もし繋がっても超低速でしかリンクしない可能性があり 、その場合ADSLをキャンセルしても工事費は頂きますが、よろしいでしょうか?」と言われるのが一般的なようです。
ここまで言われて、「それでも工事したい!」と言うユーザーが、果たしてどれくらいいるのでしょうか?
NTTのコンサルティングの結果がOKでリンクしなかったというケースはほとんど皆無だそうです。リンクしないであろうユーザーはコンサルティングの段階ではじいているわけで、実際に工事が行われることはほとんどないと思われます。
以上を考慮すると、今回の工事費無料が適用される「工事をしたけれどリンクが確立しなかった」という現象が発生する件数は、今までも非常に少なかったと考えられますし、今回の工事費見直しによってその数字はさほど変わらないと考えられます。
■はじめに「値上げ」ありき?
にもかかわらず、今回の工事費見直しでは「安心料」という意味合いで工事費を値上げしたわけです。今まで、工事をしてリンクしなかった事例が何件くらいあったのかという、値上げの根拠となっている数字はNTT東日本も、NTT西日本も非公開です。
「お客様の声が今回の工事費見直しの発端になっている」ということですが、工事費無料を実現するために、工事費の値上げをするならば(それもどうかと思いますが)、せめて値上げの根拠となるデータを公開して欲しいと思いますし、アナログ、ISDNの区別なく、ADSL導入関係費用を全額無料にするか、無料額を同じにすべきではないでしょうか?
「はじめに値上げありき?」と思ってしまうのは私だけでしょうか?
■まだ安心してADSLに申し込めない
そもそも、サービスを提供するために工事をし、その結果サービスが提供されなかった場合に、ユーザーに非が無いのに工事費を請求するという乱暴なサービスは他にあまり例を見ないと思います。それがADSLの技術的な問題であれ、一般的に受け入れられにくいものであることは最初から容易に想像できたはずです。
今回の工事費見直しでは、ユーザーはまだ安心してADSLに申し込めないと思われます。
誰でも安心してADSLに申し込めるようになるためには、以下の条件をクリアする必要があるでしょう。
(1) | アナログ回線、ISDNに関わらず、ADSLサービスが利用出来なかった場合、導入に関する契約料・工事費はすべて無料にする |
(2) |
最低リンク速度を保証する。 |
(3) | 超低速(最低リンク速度以下)の場合でユーザーがキャンセルした場合は、導入に関する契約料・工事費はすべて無料にし、無料で申込み前の状態に回復する。 |
「さらなる工事費見直しは予定がない」とのことですが、誰でも安心してADSLが申し込めるようにより一層の努力を期待します。
※1…今回はフレッツ・ADSLを導入した場合の工事費で比較しています。他の事業者のADSLサービスの場合金額が異なる場合があります。
関連サイト: | ◆NTT東日本・ニュースリリース |